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試合

アルバイトのストレスで二日休憩しました。

心よりお詫び申し上げます

 あれから一週間が経った。百鬼夜行は順調に各地の陰陽師から式神を解放し、その構成員の情報も全く浮かび上がっては来ない。はっきりしたのは、大御所達がようやく真剣に焦り出したことだ。討伐隊なんて話も耳にする。


 俺は俺でこの一週間は大変だった。学校から帰ったらずっと修行をしていたのだから。これで進歩が少しでもあれば涙ぐましい話なのだが、案の定俺は先生から呆れられるほどに何一つ上達していない。


 強い式神を捕獲に向かいたかったが、学校の影響でそんな悠長な時間はなかった。仕方ないので真面目に修行をやってみたが、人生そんなに都合が良く出来ていなかったみたいだ。火車との連携は上手く出来ないし、鬼神スキルもおよそ戦闘向きの術は習得出来なかった。会得したのは二つだけ。しかも回避能力と移動能力、重要じゃないとは言わないけど、一番はやっぱり攻撃に関係のある力が欲しかった。だが鬼神スキルはある程度センスの問題であり、努力云々で賄える芸当ではない。


 で、今日は御上の家で修行を行う。実践経験を着ける為に、飛鳥と一騎打ちをするのだ。


 「行弓、せいぜい頑張るのじゃー」


 「せいぜいが余計なんだよ、よつば!!」


 観客としては、よつば、先生。あと地元妖怪の皆さん。

  

 「さあて、一週間の修行の成果を見せてやるぜ」


 と、取り敢えず言うだけ言ってみたが、勿論あの天才陰陽師たる日野内飛鳥さんに一騎打ちなんかで敵うなんて思ってない。そもそも一週間の修行の成果なんて淡い幻想はどこにもない。それが分かっているからか、見透かしているからか、先生が憑依した部長は呆れて下を向いたまま動かない。あれは人間が絶望した顔だ、式神もあんな顔するんだな。因みに飛鳥はいつも通りの希薄なぼんやりフェイスで、黙って俺を眺めている。


 よつばは興味無さそうにスマホを弄っている、見る価値が無いということなのだ。俺、どんだけ小学生から舐められているんだよ、おい。一番気に食わないのが、妖怪ギャラリーだ。何しに現れやがったと思っていたら、スポーツの部活の他校との練習試合で、応援しにきたお母さんの如く、試合が始まる前から気合い入れて陣を作っている。普通の人の反応は嬉しいなあとか、これは頑張らなくては、とかなんだろうが……ここまで負けるのが確定している試合でそんな行幸をされてもイライラするだけだ。消え失せろ、ギャラリー共。よつばと共に。


 冗談はさておき、まさか飛鳥と戦うことになるとは、無事に生きてお家に帰れるかな。かなり心配だ。

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