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媒体

出来ない? それはどういう事なのだろうか。


 「あいつはレベル3の悪霊の中でもちょっと変な部類でな。レベル3の悪霊は殺す際に、ちょっと面倒な事があるんだ。お前は知っているか? 普通の人間からレベル3の悪霊を生み出す方法を」


 悪霊の生み出しかた? それは普通の人間を使ってでも悪霊を生み出せるという事は、もう奴等を全滅させたとしても闘いは終わらないという事じゃないか。ふざけるな、残り三体になったという話は何だったというのだ。


 「レベル3の悪霊の定義は『この世に存在しない物』だったよな。だから奴等が現界してこの世に存在した場合に、何かに模した姿になる必要がある。だから奴らがまずこの世界ですることは、一般の人間の中に入り、全ての記憶を拝見した後に、その中から勝手にその中から肉体を作り出す」


 ……? マズイ、俺が頭の悪い事が原因なのだろうが、何を言っているのかよく分からない。全く理解できなくなってしまった。


 「そうして出来たのがレベル3の悪霊だ。だが柵野栄助だけはちょっと違う。奴はまだ人間に乗り移っていない状況らしい。つまりは、奴だけはかなり特殊で最強の憑依能力とレベル3の悪霊の人間への潜入が被ってしまい、片方は不必要になったって理由なんだ。ここまで分かるか?」


 完全理解とは言い難いかもしれないが話は見えてきた。つまり奴は本来の悪霊が行っている憑依行動をしていないという事なのか。


 「それが何で奴を殺せない理由に繋がるんだ?」


 「それを説明するには、まず普通のレベル3の悪霊の憑依を教えなきゃならねぇ。奴らは憑依した人間をそう簡単には殺さない、寄生虫のように張り付いて妖力を奪い続ける。俺が聞いた噂によると、『絶望感』とか『憤怒』とかも吸収しているらしいけどな。張り付く相手は人間だろうが、妖怪だろうが、陰陽師だろうが、関係ないらしいぜ。別に怪談話するつもりはないんだが、大切なのはここからだ」


 吸収……これは納得しやすかったな。綾文功刀もその方法の限りではないが、他の生物から妖力を取っていた。……ん? 何か、引っ掛かる……。


 「それで問題は……悪霊になった媒体の方だ。妖力は次第に悪霊の物となり、そいつもまた悪霊と化してしまうらしい。因みに自殺を図った奴もいたらしいが、寄生していた奴は消滅したらしいが、本人は結局悪霊になっちまったらしい」


 ……これは……今の自分の姿を見て……ぞっとするな。俺は柵野栄助ではないにしても、『悪霊ではない』とは言い切れない気がしてきた。

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