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目途

 俺の意識のみしかない空虚の世界は、大妖怪である烏天狗の妖力が入った事により、ようやくその全貌を明らかにした。別に俺が閉じ込められていた空間は、初めてに見る空間じゃなかったようだ。


 俺と奴が共有していた視界が消え去った。これで俺は奴の支配から脱退できるのだろうか。俺が今までどこに拘束されていたのか、ここでようやく明らかになった。


 鬼神スキル『畳返』、俺があの奴の死体を見つけた空間だ。あの畳の狭い空間だけで構成された中で、唯一の大広間である。確かこの空間では少しでも外に出たら、皮膚がばっくり割れて血が噴き出る。そして怪我が回復しない。


 あれ? これって、脱出出来てないんじゃね? ようやく体を動かせるようになったというのに。…………あれ?


 今の俺の体って、あの桜色の着物を着た黒髪ロングの……女性に……。まだ意識のままの方がマシだったじゃねーか!! 何だよ、これ!! あの時は烏天狗と意識が通じない中での共闘に、なんか心が熱くなってしまい良く考えていなかったが、こんなバカな。まさか女の子になってしまうなんて。


 この状況でこの世界を支配しているであろう、相良十次を呼ぶできだろうか。いや、詳しいやり方とか知らないけど。このまま誰かに俺の変わり果てた姿を拝まれたら……死ぬしかないじゃないですか。


 「自力でこの世界から脱出するしかない。だが、見つかったったら終りだ。これからは知り合いの誰にも会わずに、レベル3の悪霊を単独で倒すしかねぇ」


 だが、この体は大丈夫なのだろうか。これは元の俺の体じゃない、だが確認してみたら、悪霊の妖力ではなく人間の妖力だった。身体能力は分からないな、だが今までとはまるで違うと考えていいだろうな。


 「さて、じゃあ相良に気が付かれる前にこの場所から出ますか。絶対に柵野栄助を倒して、烏天狗を助ける。奴は俺がどうにかする!!」


 妖怪は無限の生命を持つ、烏天狗は死んでなんかいない。絶対に生きているはずだ。柵野栄助を倒せば烏天狗は生き返るはずだ、奴が蓄えた妖力を引き剥がせばいいだけの事だ。全ては奴を倒せばいい、取り巻きの連中もスグに倒してやる。百鬼夜行のリーダーは……もう知らん、あんな奴。


 まさか理事長もリーダーも悪霊だったなんて、仲間だと思っていたのに。百歩譲って人間の平和と正義のために戦っていたとしても、今まで存在を秘密にしていた理由が悪霊な事を隠すためだったなんて。裏切りもいいところだ、結局のところ百鬼夜行は騙されて、リーダーの手の平で踊っていただけなのだから。いやもうリーダーんなんて呼ぶのは間違っているか。奴の名前は音無晴香だったな。次に会った時はそう呼ばなくては。


 とにかくまずはこの空間からの脱出だ。ある程度の目途は立っている。前回同様の方法でいけるはずだ。

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