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不易

話したい事? さっきから随分と無駄話をしているくせに、まだ何か喋る事があるのか。烏天狗にもう一度戦線離脱のチャンスをくれるとか、そんな内容だろうか。


 「貴様と語る事など何もないわい」


 「まあまあ、そう言わずに。私が喋りたい事は『私の倒し方』についてだ。これは今、君が一番知りたい事だろう。いや、君は私を殺す事なんか興味ないか。君は橇引行弓を無事に助けたいだけか。まあいいや、これからする事はただの自慢だし」


 ……確かに烏天狗の最終目的は奴等を倒す事ではないかもしれない。烏天狗は俺を解放する為に戦っているかもしれない。だから俺がどうにか奴の支配から脱出できれば、烏天狗はそれで満足かもしれない。


 「貴様の事などどうでもいい、ワシは陰陽師の機関も、他の妖怪も、百鬼夜行も、貴様等悪霊もなんの興味も無いのだ。ワシは元より行弓が陰陽師である必要性すら思っていない。奴がワシの友人であればいい、それだけがワシの今のプライドじゃ。それを汚す貴様は許さん」


 ……やっぱりそれか、だから逃げないのか。嬉しいのは言うまでも無い。勿論、俺だってこんな監獄よりも自由じゃないこんな空間なんて一瞬でも早くおさらばしたいに決まっている。烏天狗のやっている事が成功すれば、俺としても万々歳だ。しかし果たして、そう上手くいくだろうか。


 俺には奴の撃退法に違和感がある、理事長が奴を追い詰めた時だ。奴は最強の憑依能力者である、そして俺がこうして奴の生贄にされているように、奴には封印される前にもこの空間にいた人間がいた。その人についての情報は……二つしか知らない。一つは女性であった事。もう一つは……もうこの世にはいないという事だ。


 つまり……。


 「私を倒せる可能性を生み出すには一つしかない、この橇引行弓を殺すしかない。それをしない限りは、絶対にこの柵野栄助は倒せないという事だよ。って、別に私を殺したいでのはない君には関係ないのか」


 やっぱりか、俺が死なない限りはこいつは倒せない。確か理事長とリーダーは俺の知らぬ間に悪霊を討伐しているんだったな。それじゃあ最強のレベル3の悪霊なんて、最終目標と言っても過言ではないだろう。じゃあ俺は百鬼夜行の皆からも、殺されるかもしれないという事か。


 「ワシには易にも不易にもならん情報だな。ワシは貴様に言ったはずだ、貴様の生存なんぞに興味などないと。闘いから降りないのは貴様がワシが唯一に『守りたい』存在である行弓を握っていることだ」


 「それはそれは、でもなぁ。私はこの段階では『橇引行弓』を失う訳にはいかないからなぁ~」

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