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駆逐

「お、お……兄さん?」


 格納庫の方向から追継の震え声が聞こえた、俺の意識が隅に追いやられているのはともかくとして、俺の自由が全く効かないという話でもないらしい。取り敢えず目線で俺の姿を確認する。何か変化があるのだろうか。


 ……ない、霊界に突入した時と全く同じ服装をしている。鏡を使わないと見えない部分もあるが、特に変化はないように思える。変わっているのは、俺の心の中にもう一つの精神が生まれた事だ。


 「おう、追継。そこに隠れていろ。すぐに片づける」


 「おぉ、お兄さん? 片付けるって、えぇ? それよりも大丈夫なんですか? 頭とか妖力とか!!」


 頭は駄目だとは思うが……そうだ、妖力の方は!! どうやら大丈夫のようかな、一応さっきの接触で妖力は満タンになったが。この状態がどう大丈夫なのか、俺が一番分からない。


 「さてと、じゃあいくぜ。悪霊退散だ」


 その言い方はまるで俺じゃない、まるで差別主義肯定派の陰陽師のようではないか。俺は奴を駆逐対象として戦うのではない、俺は綾文功刀の意思を受け継いで、奴を弔うために戦うのだ。それを、こいつは。


 「俺の妖力を喰らえ、火車!! モード『武神』!!」


 は? 何だそれ? だから俺はさっきから何を言っているんだよ。


 「ヤ、メロ。チガウ。お前は行弓ちゃんじゃない」


 「そんな悠長な事にこだわっている場合に見えるか? 意地を張ってお前の本物のご主人様がくたばったら、それこそ踏んだり蹴ったりだぜ。それと、俺も橇引行弓だ。ここ重要なところだから、間違えるなよ」


 火車は命令しているのが俺でない気が付いている、烏天狗の方もおろらくは。奴らは俺の妖力とリンクして同化しているから、俺の異変が分かるんだ。いや、俺が悪霊から妖力を奪い取った時点で分かる事項かも知れないが。


 「とっとと変形しやがれ。時間が無い。とにかく、まずはあの悪霊を倒してからだ。それが終ったらいくらでも文句を言いやがれ」


 だから勝手に俺を無視して話を進めるなよ、もう一人の意識め。駄目だ、だんだんと体の自由も効かなくなってきた。このままじゃ全てを持っていかれる。体の全ての所有権を持っていかれる。


 「仕方ない……お前に身を任せてやる」


 「そりゃどうも、じゃあ頭の中にイメージしていくぜ」


 遂に火車が抵抗を諦めたようだ、これで奴にもダメージが無ければいいのだが。それがないという保証が何処にも無い。俺の火車の形態変化は俺の頭の中でイメージした姿に変わる、大きさにより数だけは必要なのだが。奴の意識だけでもそれは可能なのか、武神モードとやらはどんな姿なのだ。

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