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拷問

再生するモンスターなんぞ、業界ではあまりに知れ渡っている。対処法として考えられるのは、再生できないほどまでにバラバラにするか、体の中にある核のようなものを破壊するか。思いつく限りはそんな物か。


 どうすれば……俺にそんな短時間で奴を粉々にできる技なんか無い。あったとしても、今の妖力じゃ難しい。そもそも鶴見と理事長が倒せなかった奴を俺が倒せるだろうか。なんて考えだしたら、本気で俺に勝ち目など始めからないのだが。


 「よし、じゃあ諦めずにいきますか」


 冷静になれ、俺よ。奴に攻撃が効かないってそれだけで、折角の綾文功刀に勝てるかもしれないチャンスを捨てる訳にはいかない。だいたい俺の攻撃が通らないなんて窮地を始めて経験した訳ではない。俺の人生の中で、攻撃が真面に発揮した方が少ないのだ。相手が無限の再生能力があろうと、きっと呆気ない対処法があるはずだ。


 「かかってこい、山椒魚!!」


 あまりに剣を構えたままのこの距離を保つのは危険すぎる、奴の防御は良く分かったが、まだあいつの攻撃手段が分からない。いつも通りに逃げて、奴の出方を見る。先ほどのようにバイクを取り出して、俺は走り出した。


 「さて、どうで……はぁ?」


 俺が剣を振りかざした時やその直後は全くの無反応で、ただ突っ立っていただけのくせして。俺が後ろを向いて走り出した瞬間に、両生類とは思えないほどの驚異のスピードで追っかけてくる。四本足の全てを高速回転させて、奇妙な足音を出しながら。


 「けっけっけ、動物には元々『逃げる標的を追い回す』という習性がある。よく、ペットの犬が飼い主に付き従うみたいだろう。にしても2メートル級の悪霊のペットじゃ絵にならないか」


 人懐っこいなんて領域じゃないだろう、つーかお前からの命令で俺を捉える事がインプットされているだけだろうが。なんて突っ込む暇もなく、俺の額には脂汗が流れていた。お…追いつかれる!!


 思ったよりも、格段に速い。こいつ、再生力も持っていながらこんなスピードまであるのか。俺がいかに無謀な事をしているか、今になって心ににじんできた。

 

 「やっと諦める気になったかな? 橇引行弓君だったっけ? 意地を張ったって苦しいだけだと思うよ。諦めて早く私に魂を献上すべきが賢明だよ。あっ、でも自殺はしないでねー」


 俺を殺すつもりはないとは思うが、これは命令に従わせるための拷問ってところか。このままだと本当に、あの山椒魚に捕まって拷問される……。


 「行弓ちゃん、駄目だ。妖力が足らない。トップスピードになれない!!」


 「くっそぉ、また俺の容量メモリ切れの弱点かよ!!」


 考えるんだ、どうやったら逆転できる……、どうやったらこいつを倒せる。

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