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絶対

違和感を感じたのは、奴の言った『悪霊をも操作できる』という台詞だった。その言葉があまりに理解出来なかった。奴が残虐な精神の持ち主なのは分かっている、悪霊同士の友情などを考えているわけじゃない。


 「お前の能力は『操作』。だが、それは憑依のたぐいの代物じゃない。ただ誰かを操れるとか、魂を支配するとかありふれた力じゃないんだ。お前の強さは兵隊を従える事じゃない、兵隊を自ら手放した後に、そいつらの妖力を吸収できるんだろ」


 どんなレベル3の悪霊でも、能力などの何かしらのコンタクトがあった生物に対し、『悪霊にする』という能力がある。そして奴の能力はそれから上乗せするように効果が発揮する。


 「お前の能力は『自分の支配下に置く』くらいの微弱なものだ。細かい洗脳も出来ないし、人形みたいに無感情にさせることもできない。支配する能力だけはそんなに褒められた力を発揮しない。ただ、お前の能力の強大さはそんな事じゃない」


 俺が言葉を発するたびに、綾文功刀の表情が険しくなっていった。どうやら俺の推測は間違っていないようだ。奴からようやく余裕の表情が消え失せ、悪霊らしい狂った笑顔でもない、ただの人間がみせるような憤怒の顔付になった。


 「で? どうも探偵のような気分で勝ち誇っている所を悪いんだけどさぁ。だからなに? 私の能力である『侵略操縦機ティラヌス・コントローラー』を見抜いたとでも?」


 「安心しろよ。分かったのはそこまでだ。多分、お前は能力を喰らった人間が無事じゃなくて、お前がそいつらから妖力を吸い取っている可能性が高い気がするって感じかな。そんな気がしたんだよ」


 そりゃ圧倒的に強いよな、操った連中の全ての妖力を我が物に出来るなら。捕獲不能レベルの妖怪からの妖力供給なんか、話にならないくらいのパワーを手に入れられるだろうさ。だが、俺としては……助かった。


 勝てるかもしれない、俺でも。


 「おい、どういうつもりだ? 少年」


 「笑ってくれよ。さっきみたいに、けっけっけって。今から俺は一人でお前と戦おうとしているからよ。お前は確かに誰よりも強いよ。そりゃ俺より強い鶴見とエリート畑出身の理事長がタッグを組んでも勝てないよ。最強部隊であった御門城の本部の護衛群団でも勝てないよ」


 でも……でも…。俺の強さはこんな特殊な、そして絶対的な強さを持った奴にこそ生きてくる。牛頭鬼と馬頭鬼を切り捨てたのは失敗だったな。


 「綾文功刀、覚悟しろ。この世には絶対なんかない。強さはいつだってジャンケンだ。この世には方程式に当てはまらない人間もいるっていう事を教えてやる。悪霊退散だ!!」

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