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施設

アルバイト始めました

 陰陽師の神社には、様々な装飾がある。まず鳥居から円を描くように、式神による結界が張られていて、悪霊の侵入を許さない。あと御上の家にもあった、木製の橋。これにも意味がある。基本的に陰陽師が霊界に向かう場合には、専用のお札で扉の入り口を開き、帰りも同じ要領だ。しかし、結構これが面倒な作業であり、俺なんかだと、十分以上は掛かる。しかし便利なことに、この橋はそのまま霊界に繋がっているのだ。この神社で住み込みで働いている陰陽師はここから出勤する人が多い。あとは、井戸とか樹齢三千年の大樹とか、弓道場とか。

 これだけ聞くと時代劇のように感じるかもしれないが、別にそんなことはない。エアコンや、テレビはもちろん、一般的にある公共機関に必要なものは大概置いてあるのだ。今は、巫女服を着ていながら、スマホを弄る時代なのだ。


 「随分と本格的な施設じゃないか。そう君も思うだろう、行弓君」

 

 「そうですね、はい」


 本音を言わせて貰うとこんな黒歴史の宝庫みたいな場所、訪問したくなかった。だって昔、俺はこの場所で一日中雑務をさせられていたのだから。陰陽師になったのもこの施設で、陰陽師を止める手続きを行った場所もこの施設だ。今更どの面下げて振る舞えというのだ。


 「行弓君、顔色が悪いぞ。大丈夫なのか」

 

 「大丈夫じゃありません、体調不良の為に今日はこの辺で失礼します」


 「おいおい、男の子だろ。気合いで頑張れ」


 勘弁して欲しい、本当に嫌なんだ。この居場所が。ここは俺の帰る場所じゃないんだよ。


 

 「いらっしゃいませ、ようこそいらっしゃいました」


 約束の場所に辿り着くとすぐに、巫女服の美女達が出迎えてくれた。因みに、全員式神です。


 「笠松高校オカルト研究部、部長の久世謳歌です。今日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございます」


 そう言ってお辞儀した後、俺に視線を送ってきた。俺も自己紹介しろってか、この場に俺の名前を知らない奴なんかいないよ。でも一応、部長命令に従おう。

 

 「橇引行弓です。よろしくお願いします」


 式神達は久し振りの俺の登場が嬉しいのか、すごい笑顔だった。後ろにずらっと並んでいる奴等も必死で笑いを堪えているのが分かる。

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