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得意

綾文功刀はまさに危険の代名詞だ、今までに出会ってきた俺の知り合いの中でも一番の危険因子だ。もう俺の精神状態がおかしくなりそうだ、ストレスで叫びたい気分である。


 「それで? 無抵抗に格納庫から魂を持ってくるきになってくれました? 見た目ででの感想ですけど、そっちのお兄さんの方はどうも『任務のためなら命を懸けてでも』みたいな性格にみえないんだけど。これから何をどう頑張っても結果は破滅しか待ってないよ。私がまだ優しいうちに友好的に動こうね。けっけっけ」


 けっけっけ、じゃねーよ。お前に今までの歴史の中での全ての異能が詰まっていると言っても過言ではない魂を献上してしまったら、それこそこいつが世界征服してしまう。だが、確かに俺以外の誰かが傷つくのは嫌だ。


 どうすればいい……、ちょっと待て。こいつは確か拡散させた力を回収したお陰で強くなったから、あっちで操られていたメンバーは『操作』から解放されて終戦したはずだ。つまり御門城に向かった連中がこちらへ救援に向かっているかもしれない。


 だったら、今の俺に出来る事は何だ? 敗北して動けないであろう理事長と鶴見、そしてここにいる追継と一緒に格納庫へ退避して、救援を待つことではないか。助けさえくれば、戦況は一気に逆転する。


 演技のシナリオも凄く簡単だ、奴の要求に従ったフリをして、格納庫に入ってしまえばこちらのものだ。奴は格納庫に侵入することはできない、出て来なければいいのだ。


 「分かった、要求に従おう。だが、その前にお前と戦った男と女の無事を確かめさせて貰おう」


 まずは二人の回収だ、格納庫にさえ入ってしまえば、逃げ込む形でも構わない。二人を回収する必要がある、だが派手に動けるわけでもないのだ。だから上手く立ちまわなければならない。


 「無事の確認? あぁ、あの二人か。まあ無事だって口で言っても、本当に無事なのかを見ない事には信用してくれないよね」


 「当たり前だ、特にあんな残酷な光景を見せられて、無事だと思えるはずがないだろう。俺達の気持ちを考えてくれ」


 横たわって動かない、血達磨の妖怪達を指さす。奴が何を目的にあの二体を殺したのかは知らないが、奴の行動を逆手に取ってやる。俺は嘘をつくのは苦手だが、交渉だの要求だのは得意……らしい、自覚は無いけど。百鬼夜行の作戦参謀を甘く見るなよ。


 と、心の中でカッコつけていると、追継が耳元に小声で話し掛けてきた。


 「お兄さん。まさか本当に要求に応じる気ではありませんよね。取り返しのつかない事態になりますよ。一番最悪なパターンがそれです、私達四人が全滅する方がよっぽど被害が少ないんですよ」


 そんな事は百も承知だ、俺はここにいる四人が全員無事で助かる方法を考えているんだ。俺がいる限りは、誰も死なせるものか。

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