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皮膚

俺達はリーダーの綾文功刀の本体の姿が弱小で、俺達でも倒せるという言葉を半信半疑で信じてきた。危険意識の少ない馬鹿な俺はともかく、鶴見にはその言葉では安心するには至らなかった。


 「そこも気になるよね。えっと……おおよそ君達と理由は同じだよ。こっちには僕しか来ていない、相良君も御門城の方へ行ったよ。お兄さんが手塩にかけて育てた子供達も皆ね。いくら洗脳されていて信念の入っていない連中であっても、本部の連中は大概が全国から集められた天才集団だからね。まあ先代の護衛団から比べれば貧弱になったくらいだけど」


 相良がいないってのは、奴が過激派の連中のストッパーになるためであって、それを理由に理事長ではなく内のリーダーが本部奇襲を担当しているのだろう。まあ監視の目だけで心を抑えられる連中とも思えないが。


 まさか理事長だけとは思わなかったが、これでいいのかもしれない。人数が追いほど隠密で動いている俺達に危険が生じる。四人くらいで丁度いいのかもしれない。良く考えてみたが、レベル3の悪霊に対して複数で挑めばどうにかなるとも思えないし。


 「理由はどうあれ全面戦争ですね。綾文功刀め、本当に余計な事をしてくれましたよ。でも鶴見さん、お兄さん。これはピンチでもあり、チャンスでもあります。信頼を得られるかどうかの。それは私達の腕に掛かってます」


 そうだ、俺達は勝たなくてはならない。こことは別で戦っている仲間のためにも。鶴見もを腹を括ってくれたようだ、目つきが変わった。


 「よし、じゃあ早速だが。皆で格納庫へ向かおう!!」


 最後に理事長。あんたが仕切るな。


 ★


 いた、格納庫って看板が立っている場所に。何かがいる。


 見た目は……人間の姿をしていない。まるで山椒魚さんしょううおのような姿をしている。だが、妖力はしっかり悪霊の波長だ。それも……まるで張り詰めたような悍ましい感じの。山椒魚の形なのだが、皮膚の色は虹色だ。カラフルで目には美しく見えるが……美しい物には毒がある。


 看板はかなりの大きさがある、ざっと七メートルだ。奴はその壁に垂直に張り付いていて、何をしたい様子もなく静止している。人間の姿を想像していたのだが、油断はできない。動物の体躯だからこそ出来ることもある。


 「おやおや、人間の姿をしていない。そのモードで戦って大丈夫なのかい? 綾文功刀さん?」


 おい、まるで知り合いに話掛けるような口調だな、理事長先生。元々肩の上の妖狐を乗せていた追継は、さらに双剣『下切雀』を構えている。鶴見もまだ牡丹燈篭は出していないが、右手に提灯お化けを構えて睨んでいる。俺も火車のモード一つである『円楯』モードを展開し、さらに鬼神スキル蓮柱で刀を作った。無防備に突っ立っているのは理事長だけだ。悪霊を相手に何を余裕ぶっているのだろう。


 「けけ?」


 喋った……いや、喋ってはいないな。山椒魚はこっちを向くと、いきなり看板から地面へ飛び降りた……仰向けに。まるで引っ繰り返された昆虫みたいに三十秒くらいもがくと、ようやく地面に足をつけた。口から紫色の気体を放っている。


 もしかしたら今のって、攻撃のチャンスだったのかもしれないが。さすがにインパクトがありすぎて近づけなかった。

 【火車のモード一覧】


 ①般若モード。

 ごく一般的な辞典にのっている状態。車輪の顔が着いていて炎を纏っている。


 ②車輪モード

 バイクの姿をしている。行弓の移動手段であり、機動力の要でもある。車輪から炎を放つのだが、空を浮くことは出来ない。


 ③円楯モード

 松林との戦闘で、行弓が防御の甘さを自覚しイメージトレーニングで手に入れた代物。今話で初登場。


 ④障壁モード

 相良十次との戦闘で使用。火車を三体使わなくてはいけない、楯と呼ぶより壁。広範囲を防ぐ事ができるが、ある程度の烏天狗からの妖力供給が必須。なお時間もそんなにもたない。


 ⑤戦車モード

 火車5体以上の合体が必要。日野内飛鳥、鶴見牡丹、面来染部との戦闘で使用した。形は戦車そのもの、装甲の防御と砲弾の攻撃を合わせ持つ。一番火力の出る大技であるが、完成までに時間がかかる上に、敵の妖力を吸収するか、烏天狗からの供給がないかぎり使用不能。 


 ⑥???モード

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