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神経

 何だそれ? 悪霊としての能力を喋ったのか?


 悪霊が特殊効果じみたことをしてくるのは、既に二世代から存在したのだが。呻き声しかあげない連中に、能力の一つ一つに名前を付けているとは思えなかった。いや、感情が芽生えた事で、名前を考えるなんて人間みたいな事をし出したって考えるべきか。


 「簡単に言うと僕は絶対回避能力者な訳だよ。人間には基本機能として『反射

』という物が存在する。熱したやかんを触った時に火傷をしないように体が勝手に手を引っ込める奴だよ。私はそれの究極版ってイメージかな」


 俺は奴の説明を聞きながら火車の妖力を消して、燃え広がる庭の火災を止めた。このまま奴に逃げられたら俺はただの放火魔になってしまう。今はそれどころじゃないけどな。


 「反射が何だってんだよ。言っておくが、超越した反射なんて全く人間らしくないぞ」


 「はい、確かに私の能力はこれでもかというほど人間らくない能力です。なぜなら、この能力はただ単純に危険を警告してくれるものではない。厄災を避ける効果があるんです。反射神経では、どうしようもない壁がこの世界にはあります。人間は不慮の事故からは逃れられない。ですから未来が予知……いや、嫌な感じがする。それだけでも感じ取れればそれほど明るい未来になるか」


 厄災か、つまりは奴の能力は単純に反射神経が研ぎ澄まされているのではなく、自分の身に危険が生じた時に勝手に危険を回避する能力か。無意識に安全地帯に移動できて、もしくは危険地帯には入り込まない。俺との戦闘に意味が無いと言ったのは、俺の攻撃は奴の絶対回避によって全て躱せるという自信の表れなのだな。


 「私は人間の皆さんと仲良くなりたい。一緒に生活して、一緒に働いて、一緒に笑い合いたい。大好きな最愛の人と一緒に。だから私の願いを叶える為に、少々の協力をして頂けないでしょうか、陰陽師の橇引行弓君」


 「誰が悪霊を二匹も世に放り出すかよ」


 先ほどの俺の流れ弾のお陰で、かなりの爆音が響いた。それを頼りに誰か俺のピンチに気が付いてくれないだろうか。かなりのツワモノと噂される理事長先生に来て欲しい。でも、奴の目的である相良まで一緒に来ると、それはそれで困るか。


 「困ったなぁ。時間が無いんだ。君はなかなかの良心的な人物と聞いていたから、熱く語ればすんなりいくと思ったんだけど。よし、じゃあこうしよう。君と私とで交換条件を出そう」


 交換条件か、とことん戦って聞き出すという反応は示さないな。こいつは本当に戦闘には特化していないのかもしれない。だが、悪霊が俺に何をくれると言うのだ。そもそも罠に決まっている。

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