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俺も奇人変人との付き合いには慣れたものだ。こんな変態野郎の知り合いなんて思いつく奴は何人もいる。だからこそ、誰だという断定が出来ない。


 「えっと、お名前とか分かりますか?」


 「すまないねぇ、分からないんだ」


 なんだ、親友とか言ったから名前くらい分かると思ったんだが。名前も知らない奴を親友だと思っているなんて。どういう神経をしているのだ。


 「奴は俺と違って名前なんか気にしない奴だったからな。まあ俺は一刻も早く人間になりたかったから、名前は絶対条件だったけど」


 …………今、今何と言った………こいつ。


 「だからあいつに名前があれば、君にも尋ねやすかったんだけどね。まあ次は彼女の特徴を言うから、ちょっと脳内検索してみてくれよ」


 いや、『名前が無い女性』というだけで、俺の脳内で残る人はあいつだけだ。いや、人って言っていいのか分からないたぐいだけど。


 「その人って、桜色の服を着ていて、髪が黒でロングで結んでなくて、体じゅうが傷だらけで、まるで死人みたいな恰好で、なんかダルそうな口調で」


 「そうそう」


 ……悪霊なのか。こいつは悪霊なのか。まさか、あの相良のあの空間に閉じ込められている悪霊を助けにきたのか。面来染部とか言う奴だったな。こいつは名前がある悪霊だというのか。


 「お前は……悪霊なのか」


 「まーねー、それよりもさぁ。彼女がいる場所を教えてよ。早く彼女に会いたいんだ」


 何なんだ、こいつは。この学校が紛い物であったとしても陰陽師機関であり、本腰をあげてレベル3の悪霊を破壊する目的を掲げているのに。こうも堂々と乗り込んできたのか。いくら俺が居場所を知っているとしても、拉致するなり、拷問するなりすることもなく、ただの来訪者として俺に話掛けていたのか。


 俺が陰陽師だということくらいは知っているはずだ。俺が悪霊について知っているくらいだから。敵として見ていない。馬鹿にされているのか、いや違う。コケにしようと目論んでいる訳ではないと思う。


 多分、俺が眼中にないのだ。


 「ねえ、悩んでないで教えてよ。そんなに時間に余裕がないんだ」


 教えられるか、そんな事。そんなことをしたら折角の悪霊の封印が解かれるかもしれない。それ以外にも相良は確実に危険に晒される。それ以外の人間にも相当数の犠牲者が出る。戦闘になった場合に、無事では済まされない。


 「だ、誰が教えるもんか」


 強がってみたが、現状を把握してみる。この場には陰陽師は俺しかいない。戦闘中に誰か助けに来てくれるだろうか。始めからアテになど出来るか。でも、俺一人で勝負になるだろうか。せめて理事長の元へ逃げる事さえ出来るなら。だが、あそこにはまだ……相良が。俺が誘導してどうする。


 相手もだいぶ急いでいる。無駄な時間潰しは御遠慮なはずだ。どうすれば……いい?

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