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記憶

 それからは大変だった。まず後ろで眠らされていた二人が、目を覚ます。例え別の流派の陰陽師が行った愚行であろうと、この町での不始末はこの町の陰陽師が処理しなければならない。飛鳥に状況を説明し、舞酒の後遺症でまだ眠そうなのを、無理やり立ち上がらせようとする。部長を担当した飛鳥は、すんなり出来たが、俺と東城さんはというと。


 「きゃー、この変態め!! 触れるな!!」


 俺の手が東城さんの腕に触れた瞬間、思いっきり殴られた。グーで、頬を。歯茎が出血している、少し腫れた。しかし俺は誇り高き紳士だ。このくらい我慢します……でも痛い。


 「どうやらこんな道端で寝ていたようだ。連日のゲーム制作のために犠牲にした睡眠時間のつけがこんな時に回ってくるなんて。不覚」


 「なんで私はこんな場所で!! こんな野獣と一緒に!! 最悪です。もしや私の食事に睡眠薬を混ぜ、眠ったところを襲う計画だったのですか、この変態!!」


 うすうす感じていたけど、東城さんって、ちょっと自意識過剰だよね。


 「行弓君、非常に納得しにくいですが……仮に貴方の言ったことが全て本当だったとしたら。私は絶対に記憶消去の手伝いなどしませんから。勝手に頑張って下さい」


 分かっているさ、手伝って貰えないことくらい。

 

 「そうだ、この人は誰なのだ。行弓君の知り合いのようだが」


 「一年、日野内飛鳥です。宜しくお願いします。今日は行弓君を処刑する為に参りました」


 飛鳥の奴、本当に俺を処刑する予定だったのだろうか。何で信じて貰えないんだ。

 

 「オカルト部の部長、久世謳歌だ。今、私達はこの辺りに出没したとの噂の妖怪を調査しに」


 「へぇ、それは困りますね」


 部長が言葉を最後まで言う前に飛鳥が、ポケットから手鏡を取り出し、部長に翳した。すると、なにか空気が固まったような感覚が起こり、部長が放心状態になった。リアクションを与える隙もなく、今度は東城さんに鏡を向ける。そして、同じく東城さんも放心状態になった。


 「五分で復帰しますよ、今回の件の記憶を全て失ってね」


 別に俺の為ではないだろう。陰陽師の悪霊退治の作業はまず、近辺の人間の記憶消去から始まる。一般人が興味本位で心霊スポットとかに行く時代。仮に運が良く、怖い思いをした程度の体験で済み、その人間から噂を伝染させ、また足を運ぶ人間が増えてしまう。我々陰陽師としては、そんな命知らずをそのまま家に帰す訳にはいかないのだ。だから妖怪の調査なんてしている人間を飛鳥が野放しになんかしない。

 何にせよ、俺には紳士として彼女達を家まで送り届ける任務がある。

すいません、終わりませんでした。次で終わりです。

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