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相良は目を瞑っていた、何を考えているのだろうか。あの突進に対する対処法を考えているのだろうか。先ほどから奴の戦闘は鶴見に比べてワンパターンである。どこまで自信家なのだろうか、絶対に空間転移を応用した戦闘をしてこない。悪霊を隔離できるほどの能力があるならば、小回りの効くように使っていく事など、造作もないことのはずだ。


 「そろそろ余裕がなくなって来たね、あの目つきの悪い奴。行弓君との戦闘で妖力を消耗していたのは彼も同じ事だったのかも。無暗に奥義を連発できないのかも。それに彼は長期戦を狙っているのだろう。なおさら残りのバッテリーは温存しておきたかったのかも」


 ダモンの言葉を俺は黙って聞いていた。そして台詞を言い終えた後に、俺は最後の言葉を頭の中で添えた。それが不可能になった、と。


 相良の歪んだ精神論も限界だ、鶴見の強さはおおよそ相良のセーブできる範疇を超えている。長期戦など諦めてようやく真面目に倒しに掛かるのか、それとも信念を貫いてあっけなく敗北するのか。はたまた……決断が着く前に狩られるか。


 「っちぃ!!」


 相良の展開した目目連は無抵抗に破壊されていく。目目連は痛みを叫ぶことなく灰になって消えていく。守りを固めて盤面的に退避していた相良だったが、そろそろ逃げ道は無くなってきた。じりじりとリングの角へ追い詰められていく。本人がここにきて初めて焦り顔をした。


 「何で直接に相良に向かっていかないんですかね?」


 「空間転移で脱出されるのを警戒しているのだろう。そうなると埒があかないからね。先に脱出口である目目連を全て叩き潰すつもりなのだろう」


 つまり相良は最後の自分の得意奥義を発動するタイミングまで失ったのである。


 「あと三体、…………あと二体」


 いつの間にか俺は声に出してカウントしていた。


 「あと一体、………なくなった」


 会場の全ての障子が消え去った。残りは……相良のみ!!


 その可愛い提灯の人間兵器は最後のターゲットへと向かった。これで空間転移からの脱出はありえない。目目連を防御に使うことも、回避に使うこともできなくなた。あとは鶴見が相良を押し潰せば……それで……。


 いや、あと一体……いる。


 「鶴見!! 気付け!! 今までのは全部、囮だ!!」


 そんな言葉が鶴見に届くはずがない、相良目掛けての突進は止まらない。俺は場にいる障子の数を目で見て数えてカウントしていた。だが、あの場にはもう一体だけいたのである。そいつは一番初めから。


 後ろの黒板に張り付いていたように。目玉の姿で。相良の右の袖の所に。


 「切り札は最後まで取っておく物だろ!! バトル漫画ならよぉ!!」

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