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艦隊

陰陽師同士の遠距離戦で最も重要なのは、最初の一撃をどちらが先に当てられるかだ。お互いが連続攻撃を放っている中で、一回でも行動停止に追い込めば次のモーションを出来なくなる。カウンターを狙っているならまだしも、お互いが全力放火なら防御に力を回す余裕はない。


 「どちらが先に……致命傷を与えるか」


 会場にいる全員が息を呑んだ、百花の妖力の弾丸が飛び交う戦場に誰もが恐怖した。


 「提灯お化け!! ばら撒いて!!」


 「目目連!! 拡散弾だ!!」


 完全に同時だった、鶴見が今まで浮遊させていた妖力玉が相良を目掛けて発信する。俺の予想した通りに、弾の移動はワンパターンではない。全てが不規則に弧を描く形だ、まだ留まって待機しているのもある。逃げ場を潰すために時間差で仕掛ける為だ。でも鶴見……たぶん、それは……読まれている!!


 変わって相良は予想に反した、空間転移を応用しなかったのである。確かに先ほどの準備していたように目目連は複数いる。しかし配置は縦一列の単純なフォーメーションだ。数を利用して妖力の乱れ撃ちをしてはいるが、一回目の攻撃よりも目目連の数が増えて範囲が広まっただけである。


 一対他数なら有効手段だと思う、それか鶴見が俺のように逃げ回っている状態なら抜群の性能を誇っただろう。しかし、指定位置から動こうとしない鶴見にああも直線的な戦法では意味が無い。むしろ鶴見が攻撃回避の為に左右にズレた瞬間に発動すればよかったのだ、温存という選択肢を捨てた理由はなんだ?


 案の定、攻撃として上手の鶴見に軍配が上がった。鶴見の攻撃は縦横無尽に動き回りながらもしっかり相良をフォーカスしている。相良の球は九割くらいは無駄弾だ。碌に役割も果たせず彼方へ飛んでいくだけである。


 「なんだあれ……」


 ついに、相良の展開した目目連艦隊は崩壊した。目目連は中央の何体かは焼け焦げて跡形も無くなり、ついに相良にも火の粉が降りかかった。


 「どうしたんだよ、あいつ……」


 戦意喪失なのか、鶴見への同情で勝利を躊躇っているのか。そんな性格の人間ではないようには感じるのだが、そんな理由でしかあの情けない為体ていたらくは証明できない。まさか本当に勝負を捨てたのか。それとも……。


 ……お互いの放火が終った。相良の方は無理矢理止められたって感じで。鶴見は息を切らしている、随分と疲れているように見える。全力を出し切ったのだろう。頑丈に設計していたであろうはずの対戦場が爆破の跡で粉々だ。


 そしてその戦場にポツンと相良が横たわっている。

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