下切雀
さて、何と言えばこの少女は俺の入隊を諦め、かつ記憶消去を行ってくれるだろうか。
「お前の言う新機関とやらは絶対に出来上がるのか?」
俺の元には陰陽師からでなくとも、友達の妖怪達から最新の情報が届く。しかし、現に俺は知らなかった。そんなビックニュースが俺の耳に入らないとは思えない。百鬼夜行とやら、非常に存在が怪しい。
「まだメンバーは私を含め、貴方を除き、六人しかいません。貴方の言うとおり、反対してくる各地方の古狸共のおかげで活動開始の実現はまだ遠いです。しかし、不可能とは思っていません。必ず実現してみせます」
「じゃあ、実現したら呼んでくれよ。雑用しに足を運んでやる。まさか役立たずの俺を戦闘兵に抜擢するつもりはないと思うけどさ」
「それは貴方が妖怪から妖力を供給しないから」
「関係ない、とまでは言わないが俺に才能が無いのは本当だ。勘弁してくれ」
追継がだんだん不機嫌になっていくのが分かる。先代が年を誤魔化していた以上、こいつの年齢は予想がつきにくい。だが孫だってことは年は老いてないのだろう。俺よりは年下のはずだ、さっき学校とか言っていたし。なんとなく、ガキっぽさが垣間見えた。
「もういいです。分かりました。どうしても私達の活動に協力しないとおっしゃるなら」
「おっしゃるなら?」
「ぼっこぼこにして、気絶させたまま、お持ち帰りしましょう」
待て、まさかここまで話し合いをしてきて、最終的に暴力で問題を解決するつもりか。止めろよ、俺はかなり喧嘩が弱いんだぞ。火車もいないこの状況で今、お前と俺が戦えばどっちが勝利するかなんて決まっているじゃん。しまった、やはり火車に護衛についてもらうべきだった。まさかこうも早く後悔する局面に陥るとは。
「おいおい、レディー相手に紳士の俺が攻撃できる訳ないだろう」
「あっ、すいません。少し黙っていて下さい」
ちょっと、対戦相手にその一言はないよ。戦う気ないけど。だが向こうはやる気満々ってとこだ。肩の上の狐が地面に降りて、巨大化。自動車くらいの大きさに。その後、追継はお札を天空に投げると、軽い爆発音がして、煙の中から二本の妖刀が現れた。双剣、下切雀。それも受け継いでやがったか。
勝ち目ない、終わった。ああ、何だろう。お先真っ暗だ。
追継が俺に襲い掛かった。その時、目の前に奴が現れた。
あと二回で二話完結
出来なかったらすいません