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角度

封印への苦しみが分かると言えば、烏滸おこがましいかもしれない。

 だが、同情せざるおえない気持ちになった、悪霊にその……人間的な部分があったとは。感情だの見解だの痛覚だの……処罰だの。


 俺は落ち毀れだったから悪霊と触れ合う機会なんてほぼなかった。合うのも今回で二度目だ、だから普通の陰陽師よりも俺は悪霊に対して真摯しんしに向き合っていなかったのだろう。


 「なーんてね、ヒーロー様に怪人の苦しみを語ったって馬の耳に念仏って奴だよね」


 世界には角度アングルというものが存在する、誰目線に考えるかで全ての善悪が決定する。だからテレビに出てくるストーリーは全てが主人公が正しくて、それに刃向う側が悪になる。現実世界でも同じだ、反抗期の子供が何故、絶対に理屈で敵わない相手であろう親や教師に対し、反抗もとい言い訳をするか。それは子供の成長過程として『自分の意見を主張したく、他人の目線で考える力が備わってない』という方程式だから。


 「俺はヒーローじゃないよ」


 「そう、それはそれは。まあ無駄話はこれくらいにしよう。この部屋からの脱出方法は二つだ。まずは相良君自身が能力によってあちらの世界に戻すこと。もう一つは、門を守護する番人を倒すことだ」


 一つ目はまず不可能だとして、二つ目には可能性がありそうだ。番人なんて奴がいるのか、つまりそいつがこの空間との現実を繋ぐ門を塞いでいる。そいつを倒してようやく……。


 「あ~。分かりやすい勘違いしているから言ってあげるけど……違うよ。この空間に出口なんて代物はない。理由は簡単、この空間は現界と霊界の違いと同じだ。箱に閉じ込められたのではなく、次元の彼方かなたに飛ばされたって感覚なんだよ。マジで」


 次元の彼方に飛ばされた……そりゃ出口なんて物はない。空間の裂け目、いわゆる転移出来る場所が必要になる。もっと言うならそれは鬼神スキルを利用しなくては難しい、誰かの陰陽師の力を借りなくては。


 「分かっただろ、目目連がどれほど強大な妖怪かってことが。どこの世界に別次元の空間を作る妖怪なんていただろうか。現界や霊界、そんな次元的な閉鎖空間を生み出す最強のかくれんぼの達人が君の対戦相手の能力だってことだよ」


 だからこのご時世になっても解析が覚束おぼつかなかったのか、相手が空間に逃げ込む事の達人であっては発見が困難だったのだ。


 「まあ、大丈夫。相手が空間能力の使い手なら戦う方法はバトル漫画的には一つだろう。使い手をぶっ潰せばいいのさ。つまり、君を仕留める為に潜入しているでろう目目連を破壊すればいい」

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