表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/462

死体

こればかりは驚いたとか、びっくりしたとか、そんな次元じゃない。


 「何だ、この部屋……殺人事件の跡とかなのか」


 「行弓ちゃん、あれは多分……この時代の人間じゃないよ」


 確かにその死体が身にまとっているのは着物だ、何時代の人間かは分からないがな。というか、この空間はまだ奴の支配地のはずだ。迂闊に触ったりしてもいいのか、近づいたら発動するトラップとかじゃないのか。


 「予想外の事態すぎる、死体見つけたから対戦中止なんて誰に切り出せる状況でもないし……、でもこの部屋に何かある気がしないこともないんだよなぁ」


 他の部屋はこの部屋のように得異なようにはなっていない、ここが脱出出口なのではないかという期待感が俺を立ち止まらせる。まあ部屋の広さと死体が置いてある事以外に、何がある訳でもないのだが。


 「あの死体……女性か? 髪が長いし、女物の服装だし。桜色の着物か……まじでどこの誰なんだよ。何でこんな異空間に捨て置かれているんだよ」


 まさか相良が……人殺しをして、死体隠蔽の為にこの場に保存してあるとか。


 「いや、違うよな。奴はこの時代の人間じゃない訳だから」


 それじゃあ奴は、この世界の関係者か何かか。この空間が出来る所以になった人間だったとか。


 「何を考えたって分からねェよ!!」


 仕方がない、罠の可能性もあるがそんな事を恐れていたって仕方がない、こうなったら覚悟を決めて強行突破だ、罠なんて上等だぜ。


 「行弓ちゃん、人間は長時間にわたって狭い部屋に充ても無く閉じ込められると精神がね」


 「あの死体を調べるぞ!!」


 分かっているとも、正常な判断が出来なくなっている事など。確かにこの空間にいる事に恐怖を感じている、脱出方法が分からないで不安に思っている。だが、この戦いから逃げ出す訳にはいかない、自分の心を奮い立たせる。


 という訳で抜き足差し足で、ゆっくり近づいてみる。畳の上にもべっとり血が染みわたっている。女性はうつ伏せで倒れていて、顔が見えない。


 「よし、状態を起こすぞ」


 「……止めた方が……。嫌な気がするよ、行弓ちゃん」


 俺だって嫌な感じしかしないよ、俺は警察じゃないから死体を触るなんて初めてに経験だしな。本当は俺だって…………あれ?


 「今、この死体。少し動かなかった?」


 「え~、ちょっと止めてよ。行弓ちゃん。怖いこと言わないでよ」


 お前も妖怪だろうが、人間の俺はともかくどうしてお前までも震え声をあげているんだよ。まあ日頃から地獄へ運んでいるのは魂の状態なんだから、火車は死体の状態を間近で見やしないのだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ