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内輪

何というか、もっとカッコいいことを言うかと思えば、こいつ平和主義者だったのか、始めのインパクトで心に壁を作っていた気がするが、もしかしたらこいつとは気が合うかもしれない。


 「下らないです。全くをもって下らないですよ」


 ……うわぁ。追継さんに今の思想は激しくお気に召さなかったようだ。完全に全否定だよ、冷めたようなゴミを見る目で相良を眺め始めたよ。


 「……何だと」


 「戦いたくないから、陰陽師にならないですか。まるで子供の発言ですね、自分が守られるべき存在だと思っていての発言でしょう。どうやら気合いが入っているのは恰好だけのようですね」


 追継はどっちかと言うと、全国の陰陽師を襲う行為自体には不賛成だったはずだ、そんな事をする必要はないと思っているはずなのだ。


 なのにどうして……相良を否定するのだ?


 「俺が守られているだと……。俺は誰も守っちゃいねぇし、守られてもいねぇよ。まさか小学生の道徳の授業が如く『人類は皆、手を取り合って生きています』なんて、面白半分な言い回しを言いたい訳じゃないだろ」


 「そうですね、私が言いたいのは単純に陰陽師というものを、勘違いしていると思っている事ですよ。たかが二パターンに分けているところあたりが、餓鬼臭いと言っているんです」


 それは新旧の比較だったか、俺は妙に納得できたのだが何が気に食わないというのだろう。


 「我々のような一丸となって活動している機関、百鬼夜行の中でも思想はバラバラです。七人とも全くシンクロ出来ていないと思います。特に激しく逸脱しているのが、そこの特に何もしない陰陽師さんです」


 ……俺の事か。まあ俺は無理矢理に百鬼夜行に入隊していて、任務こそはしっかり協力しているが、百鬼夜行の動きに何もかものめり込んでいるつもりはない。


 「あなたに分かりますか。この男の名称しがたい精神が。その才覚の無さが故に、機関にいた頃には実践的な仕事を一切任されず、その機関からもあっさり見限られて、妖怪とたまにお喋りする事以外にすることがなくなっても、それでも陰陽師を名乗り続けたこの男の事を」


 今のって……ただ俺を馬鹿にしているだけじゃね?


 「そいつが何だってんだよ」


 「でも今では今までの素行を悔い改めて、今では一つの都市を一人で守りきるまで成長しました。彼はあなたなんかよりも遥かに才能がないのに、これから起こる絶望的な悪霊との戦いに彼は背を向けてはいないのですよ」


 何だ、これから起こる悪霊との闘いって……。俺はてっきり百鬼夜行が陰陽師の基本概念を捻じ曲げるべく、内輪もめを引き起こそうとしていて、俺はそれのお手伝いくらいにしか考えてなかったのだが。


 それを機に、俺は出来るだけ穏便に話が纏まるように暗躍しようと考えていた。俺が百鬼夜行に在籍している理由は悪霊と戦う為だとは思っていない。確かに百鬼夜行だって陰陽師機関だから悪霊と交戦することはあるだろう、だがそれがメインの方針だとは知らない。


 「よく分からないが、つまりあんた達は俺をどうしたいんだ」


 「挑戦状を叩きつけます。戦って下さい。ここにいる橇引行弓と。新旧など超越した彼の訳の分からない強さを披露いたしましょう」


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