肝心
それで勉強をしに行く訳なのですが、まあ今回は学校での勉強がメインだ、その陰陽師のスカウトはそう急がなくても宜しいだろう。なにせ、勉強は何よりも重要なのだから、なんちゃって。
つーか、目目連の事についてはよく分かったのだが、肝心の目目連の使い手である陰陽師の方の情報は無いのだろうか。人間相手だがら会話を進める為にも、あらかじめ何かしらの話の糸口があるとありがたいと思っている、言わない理由とかがあるのかな。
これから通う学校を『緑画高校』と言うらしい。どうも出来て三年の新設校で校舎が非常に新しい。という訳で俺と鶴見は新しい制服に着替えている。あくまで噂だが、学校側から取り寄せる前にリーダーがそれを始めから持っていたらしい、相変わらずのファッションモンスターだ。
で、この高校に行く前に……面白い喰い違いがあった。追継の野郎は俺達と同じ学校には行かないらしい。未だに意味不明なのが、奴は……小学生だったのだ……全く信じられないよ。
どこをどう信じれば良いのだ、俺は小学生と一緒に死中を潜り抜ける予定なのか。確かによつばも陰陽師だし、俺も飛鳥も小学生から陰陽師だった。だから別に歳が低くて陰陽師なのは驚かない。
問題は、俺が一代目との接点がある為にどうしても二代目が同じようにダブって見えるからだ、さすが変化の能力を受け継いでいる一家だ。またこいつの大人びた発言からも小学生とは思えない、よつばとはえらい違いだ。
「で、二人になった訳だが……」
「学校が同じでもクラスが違うみたいだね。じゃあ私はこれで……」
極力俺との会話を避ける鶴見。まあ当然だろう、これから避けては通れない『女性なのに男性として学園生活』が待っているのだから。俺なんぞとは比べ物にならないほどの絶望が舞い降りているのだろう、南無三です。
じゃあ、スカウトにミッションくらい俺が背負ってやるよって男らしく言いたい場面ではあるのだが、敵の力量も何も知らないままなので、ここはカッコつけるのは避けた。
「まずは職員室だな」
「そう……だね」
ドス黒いオーラに俺までも押し潰されそうだ。こいつまた自暴自棄になって、学校内で自爆するんじゃなかろうか。もう助けられる自信ないよ、俺。
校門やグラウンド、校舎内の風景も一般的な学校と何も変わらない。まあこの次点から色々と違和感があっては逆に不吉なのだが。何とか予定時間までに職員室までたどり着いた。
「さーて、アルバイトの他にストレスとなる事が発生しなきゃいいけど……」