捜索
午後八時、我々妖怪捜索探検隊は各々の使命を真っ当すべく、昨日のこの時間に東城さんが襲われた場所へ到着した。野郎、早く見つけて火炙りにしてくれる。
「おいおい、行弓君。悪魔みたいな顔をしているぞ」
部長が俺に何か言っているような気がするが、どうでもいい。俺は奴を一刻も早く見つけ、断罪するという大切な使命がある。懐中電灯を片手に、漫画風味に目を充血させながらターゲットを探す俺。
後ろから着いてきている二人が気まずい顔をしている。
「行弓君、少しは落ち着いたらどうだ。いくら妖とはいえ、同じ時刻に同じ場所で現象を起こす訳ないだろ?」
「いいや、妖怪って生き物は案外、毎回同じ場所に現れるもんです」
これは嘘じゃない。本当に妖怪の習性だ。妖怪とは土地に愛着を持つものだから。その習性が式神化したあとの、結界術に応用出来ると、昔御上に教わった。
「やはり油揚げと買ってくるべきだったでしょうか」
東城さん、相手は狐ではなく妖狐だよ。妖怪だよ、油揚げの臭いで釣られるほど、奴等も落ちてないと思うよ。
「ふむふむ、行弓君。カメレオンという動物を知っているか」
「勿論、でも急にどうしました?」
カメレオンという動物は敵から身を守る為に、周りの風景に体の色を同化させるのだ。だがこれは人間が勝手に妄想しただけであり、実際は風景ではなく体温で体の色が変わっているだけなのだが。
「カメレオンが犯人なのですか」
東城さんの質問に部長はすぐさま首を振った。
「いや、そうじゃない。ただ化かすと欺くは違うのではないか。そう思ったのだ」
いよいよ部長の言っている意味が分からなくなってきた。
「カメレオンでなくても、虫や深海魚は風景に同化する。それは進化の過程において、その方が狩りがしやすい。もしくは身を守りやすいからだ」
「具体的に何が言いたいんですか?」