表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/462

自称

……この私が幸せになりたがっている?


 「なりたいと思ってもなれないのですよ。なってはいけない部類なのです」


 「いえ、なれますよ。私にはお母さんがいて幸せです。だからお母さんも私がいるから幸せになったのです」


 似たようなフレーズを、最近どこかで聞いたことがことがある。行弓君も私に似たようなことを言っていた。『烏天狗が幸せになるから、自分も幸せになる』みたいなことを言っていた。

 

 そんなものだろうか、幸せとは常に誰かの不幸せを犠牲に成り立っていると思うのだが。誰かといるだけで幸せなんて非現実的だ、流行の韓国ドラマだってそんな恥ずかしい台詞は言わないよ。人気なのか、そのフレーズ。


 「質問を変えます、あなたが私の娘であるかどうかはともかく、あなたは悪霊何ですか? もし悪霊の場合、私はあなたが例え本当の娘だとしても、あなたを殺します。いえ、母親と呼ばれたからこそ、私がきっちり処理しなくてはいけないことです。私は陰陽師です、娘が悪霊になったなら、殺す覚悟なんて出来ています」


 「へぇ~」


 不具合な態度を取るかと思えば、余裕の笑み。


 「本当に殺せますかね、お母さん」


 瞬きをした一瞬の隙に、間合いを詰められていた。今、悪霊は私の目と鼻の先にいる。瞬間移動……じゃない!! そもそも三次元物質じゃない、私の心の中にある概念的な存在だった。


 「殺せませんよ、絶対に」


 「そうですね、概念的な存在に物理的な淘汰を狙っても仕方ないですね」


 「違います。そんな理由ではありません」


 「まさか、『私はお母さんの娘だから』とか言わないよね」


 ……うわっ、すっごい笑顔、図星かよ。凄まじいな、この娘。さっきから同じことを何回言うんだよ。もうその『お母さん大好きアピール』は聞き飽きたよ。


 この悪霊を倒すには、方法は二つ。私が死ぬか、私が心に打ち勝つ、つまり……幸せになれない人生を理解し、納得する。思考と精神を完全に一致させ、本物の機械になる。この二つしかない。


 成功すれば機械、失敗すれば死刑。二つに一つだ


 「だから……お母さんは私が守るから死なないし、機械になんてさせないし、幸せになるんだよ。私と一緒に。まあ、お母さんが完全に幸せになったあたりが、私の旅立ちの日になるんだけど。ちゃんとお母さんのことは幸せにして出ていくから安心して。育ててくれた御恩はしっかり親孝行するよ……おっと、タイムリミットだ。じゃあね、大好きなお母さん」


 タイムリミット? そんなものがあるのか?


 別に時間制限という意味ではなく、ただ私が始めに呼んでおいた救援部隊が到着しただけだった。私の元に辿り着く前に、悪霊は霧になるようにして消えた。私の心の中に入ったのか。


 「追継さん、大丈夫ですか」


 「はい、奇跡的に無傷です。睨み合いだけで交戦にはなりませんでしたから。すいません、逃げられました。追跡をお願いします」


 ……いや、第三世代型に追跡なんて意味がある訳がないだろう。陰陽師として身に付いた、いつも通りの反応をしている。


 無傷か……、本当に攻撃してこなかったな……あの自称娘の悪霊。


 これから私は、あの悪霊を倒す為にどう動けばいいのだろうか。


 

番外編②、終了。


ツイッター始めました。よろしくお願いします。


折り返し地点!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ