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時代

「それで誰か楽しいかよ」


 彼はまだ聞き入れてくれないようだ、不機嫌な顔も直さなければ、ぶっきらぼうな態度も直さない。彼を説得するのは、本当に困難だ。


 「俺は妖怪と友達になりたい、俺は妖怪を差別したりしたくない。何でちょっと体のつくりが違うからって差別するんだよ、何でちょっと特殊な力があるからって区別するんだよ、何で自分達が優位に立ちたいってだけの我が儘であいつ等を軽蔑するんだよ。結局は怖いだけなんだろ。カッコいい理由つけて、情けない言い訳をして、勝手に自分達が優越感に浸っているだけで、ただの自己満足じゃないか。だれが陰陽師が強くて、妖怪が弱いって決めたんだよ。俺がすんなり妖怪に合えないのは、お前達が俺と妖怪の仲を無理矢理に引き裂こうとしているからじゃないか」


 全くを持って馬鹿な餓鬼だ、世間を何も分かっていない。

 確かに君は正義だ、百人いたら百人が君に意見の方が正しいと弁護するだろう。


 でも陰陽師は正しくあっちゃいけない、我々の武器である妖怪だって正しく認知された生き物などではないのだ。


 世界は変わったのだ。世界の全ての人間は、世界には何の特殊な力は無く、世界に異形の物体など存在せず、ミステリーや怪奇現象や都市伝説などマヤカシで、世界は順調に正しく作動していると思っている時代なのだ。


 妖怪が真夜中に子供を襲う時代は終わった、今は不審者や暴走族が闇を支配する世界に変わったのだ。妖怪にもう出番はないのである。


 彼らには霊界で大人しくして貰うしかない。表だって生活して貰っては困るのだ。ただでさえ、悪霊の怪奇現象を無かった物にするのでも一苦労なのに、奴らに自由行動を許せば、日本は本当に終わる。


 この際、『正しい』か『正しくないか』なんてどうでもいいのだ。

 大事になるのは、この世界の平和と秩序の維持、それを真っ当することこそ、陰陽師としての存在意義なのである。


 「もういいよ、誰が何と言おうと俺は陰陽師を辞めないし,烏天狗とも仲良しになる。お前らの誰にも屈するもんか」


 これはこれは、もう本格的にこの子はもう駄目だ。この子は言い聞かせて理解できる子ではなかったようだ。

 仕方ない、烏天狗に会ってくるといいさ。この出会いで世界の、陰陽師の、正しさの現実を身を持って体験で理解すればいい。大丈夫、死にそうになったら、私が君を握って逃げ帰るさ。いくら捕獲不能な妖怪と言えど、私の力ならば逃げることくらいは可能だろう、それ専用の鬼神スキルも持ち合わせている。

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