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不備

 この男、瞬間移動の鬼神スキルでも持っているのだろうか?

 さっきから何が起こっている、消えたり、現れたり。


 「いやぁ、子供って可愛いですね。可愛いなぁ、俺も子供欲しいなぁ」


 止めておけ、お前が父親なんて。子供が絶望的に可哀想なことになる。


 「そういえば……振払追継さんって何歳なんですか?」


 ……何っ、女性に対し普通、ここまでストレートに年齢を尋ねるか?


 「う~ん、やっぱり俺より年上ですよねぇ、俺なんて大学に行っていたらまだ学生だし。でも若いですから……その可愛さは二十代かな」


 嫌味なのだろうか、これは私に対する悪意を持った意地悪だろうか。


 「私はもう歳を取っています、これは妖力で変化した仮の姿で、本当はもうお婆さんなんです。お世辞は宜しいですから、仕事しましょう」


 「え~、でも……仕草がな~、お年寄りになんてみえないけど。ついこの前に学生を卒業して来ました~みたいなオーラがある」


 そんなはずはない、私は振払追継。変化の陰陽師として長年勤務し、ありとあらゆる存在を、騙し、偽り、欺いてきた陰陽師なのだ。


 「俺は好きですよ、追継さんのその姿」


 「……小学生がもうすぐこの場所に集まります。集中したいので、静かにしておいて下さい」


 「照れてます? 顔が赤いですよ? 可愛いですって。お婆ちゃんなんて嘘でしょ、絶対。俺は昔、高校生の頃に美少女探知と呼ばれましてね。美少女ノートってのを書いてました、我が学校の女子や移動可能な近辺の学校から可愛い女の子を見つけては、ノートの書き記し、クラスの男子共に情報を提供してやるんです。勿論、無償ですよ。お兄さん的に言うなら、友情に金は要らねェって……まあ、玉砕祭りでしたけど。はっはっは」


 「……小学生が集まってきました。そろそろ声のトーンを落として下さい」


 「えー、もうですか。仕方ない、じゃあやりますか」


 まだ定刻でもないというのに、渡島さんはすたすたと歩いて、子供たちの群れの中に突っこんでいった。あの男、今度は一体何をするつもりだ。


 「君達、この中にモテたい奴はいるか」


 本当に一体何をするつもりなのだ、あの男は!!

 子供たちは何やら楽しそうにこの男の周りで笑い始めた。


 「えー? 何言ってるの?」


 子供たちの当然の反応に渡島さんはなお続行で偉そうに語り出す。


 「俺達は陰陽師という仕事をしている。だが、君達はお兄さんが毎日何をしているか、知っているかな?」


 回りくどい言い方だが、詰まるところ陰陽師の通常の任務内容について、子供たちに問い掛けているのだろう、正確に伝わったか怪しいが。

 まず陰陽師の単語を口走ったことに蹴りを入れたく、まだ時間じゃないのに、明らかに無駄な事を進行させていることに殴りたい。


 「「「「知らなーい」」」」


 「そうか、ならばお兄さんが教えてやろう。お兄さんは日頃、何もしていない!! そう、俺は特に何もしない陰陽師なのさ」


 …………は? この馬鹿は高らかに自分の愚鈍さを子供たちにアピールした。 

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