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適応

 騙す、驚かす、怖がらせる。この三つが妖怪の使命。

 呪う、恨む、道連れにする。この三つが悪霊の使命。


 「しかし、妖怪にだって人間に対する恨みという物が存在する。特に最近の妖怪は、人間の劣化に悲しむ妖怪が増えているからね。妖怪って子供が大好き何だよ、特に無邪気で元気が良くて、素直な子供が。だが、最近はそうじゃないだろう、人間の心は荒んでいく一方だ。それに妖怪は住処を失った、山は消え、海は整備され、川は荒れ果て、町は妖怪なんて必要ないくらい危険な世界になった。妖怪は現代の生活には適応できていないのさ。あまり聞かないだろう、野生の妖怪って、最近は陰陽師の機関が取り締まるせいで、脅かすこと自体を禁止になってしまったくらいだからね」


 住処を失う、確かに妖怪には霊界という世界が存在するが、脅かすという仕事が出来たのは、現実世界だけだ。だが、脅かせる場所が無くなり、また脅かせる場所に人間が近づかなくなった。


 「だが、悪霊の方は違った。見事、現代の在り方に適応し、奴等はその姿さえも変えた。行弓君、君は一回体験したことがあるよね、黒い魂を持った悪霊に。その時に出会った悪霊はどんな姿をしていた?」


 「……白い服、長い髪、鋭い目。……人間の形ですね」


 「そうだ、悪霊とは人間の形をしている。が、しかしだ。古い陰陽師の戦闘風景を模写した悪霊の姿はどんな形だった?」


 「……、鬼、獣。……妖怪だ、妖怪の形だ!!」


 「ようやく理解してくれたかい。そうだ、奴らは現代になるにあたり、妖怪の姿から、人間の姿へ変化したのさ」


 確かに、今まで気にもしていなかったが、これは恐ろしい違いだ。

 悪霊にはそんな裏設定があったなんて……、現代の陰陽師の何人がこの事実を知っているだろうか。悪霊、その物の形が変化していたなんてことを。


 「じゃあ、どうやって悪霊は姿を変えるなんて芸当を編み出したのか、という説明に移りたい訳だが、……どうやら、その話は後みたいだ」


 「なっ、何でだよ!! 教えてくれよ、重要なことだろ!!」


 「勿論、僕は行弓君に対してそんな意地悪をする男じゃないんだけどさぁ」


 え、えっと……意地悪をする女じゃないの間違いだよね。


 「でも……、今はそんな悠長なことをする余裕が無いんだ。これから説明しようとしたことが……、今の僕らの目の前で発生しようとしているから」


 リーダーの目線は机の下にあった。まさか、カワウソを睨んでいるのか?


 「リーダー、一体何を?」


 「……出ておいで、妖怪さん。まぁ、半分は悪霊何だろうけどさ……、この感じは……、もう半分でもないのか」


 リーダーが静かにそう呟いたのに対し、俺は何を言っているのか理解出来なかった。

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