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成敗

 「男装ですか。いえ、特に男になりたいという願望はないですが」


 聞かれた質問に対し、平然と受け答えする飛鳥。だが、リーダーはなかなか諦めようとしない。


 「新しい自分に向き合うことは大切なことだよ。鶴見ちゃんを見てごらんなさい。あの凛々しい姿、まさに芸術といえる素晴らしさだよ」


 そうか? 俺には鶴見の目が死んでいるように見えるのだが。


 「……もう……もう嫌だ……」


 やっぱり嫌がっているじゃないか、新しく生まれ変わった自分に絶望しているじゃないですか。男装して五日くらいになるのだろうが、精神的に崩壊しかけている気がする。まあ奴への罰はこんなもんじゃ足りないとは思うが。


 「さあ、一緒に新しい明日に向かって飛び立とう!!」


 「はぁ……」


 飛鳥はリーダーに袖を引っ張られながら、キッチンから姿を消した。まあ、あいつなら案外、男装くらい何も感じないのかもしれない。


 「おやおや、五百機さん、行弓さん。お帰りなさい」


 黒人ダンサーはイヤホンを耳から外すと、椅子から立ち上がった。

 テーブルの上にイヤホンと携帯音楽器を置くと、そのまま笑顔で俺の方を向いた。今気づいたのだが、ダモンの着ている服に『成敗!!』って書いてある。この人、時代劇とか好きなのかな。


 「はい、ただいま帰りました」


 「ダモン、例の仕事は済ませたか」


 例の仕事って……、記録した映像を全国の陰陽師の機関にばら撒くっていう、公開処刑の話か。まさかそんな打ち合わせをしていたなんて。教えてくれれば良かったのに、と思ったが、只でさえあの任務の最中に緊張していた俺に対し、そんな余計な事情まで説明したら、作戦が失敗していたかもしれない。あれで正解なのだろう。


 「一応、ここからの近場には何か所か送って来たけど、やっぱり受け取ってくれない機関も多いね。『衝撃映像』って書いたDVDを送りつけてみたら、「百鬼夜行のよこした物など見らんわ!!」って返事が返ってきて、じゃあ正直に『陰陽師本家の実態』って書いてもう一回送ったら、「統領様の悪口を送りつけてくるなど、恥を知れ!!」って返事が来て、結局見て貰えてないよ」


 「それはお前の送り方が悪いんだろうがあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 勢いをつけた真空飛び膝蹴りがダモンの腹部にクリティカルヒット。げっ、幻覚だよな、きっと……。どうやら幻覚ではないようだ。


 「な、何をするんですか……、私は精一杯お勤めを」


 「人が死ぬ思いして持ってきた貴重なデータを、粗末に扱いやがって!!」


 倒れこんだダモンを、何度も蹴飛ばす五百機さん。この人、なんかダモンや松林には態度悪いよなぁ。まぁ、争いの火種を作っているのは、あの二人だけど。

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