結果
「あのさぁ、よつば。自転車の件なんだが」
「もういい」
よつばは両手を腰に当て、えっへんのポーズでキッパリと言った。俺はもちろん驚いたが、それ以上に後ろにいる火車がびっくりしただろう。見越し入道をお札に仕舞いながら、笑みを見せてくれる。
「それならもう楽しませてもらった。うちはもう十分、満足じゃ」
そっか、よつばの火車の自転車に乗りたいという夢は叶ったからな、実際はバイクだったが。似たようなものか。俺の後ろで火車がほっと溜息をしているのが分かった。
「ところでじゃ、行弓よ。その妖怪をこれからどうするんじゃ? もし今すぐ契約破棄するならうちの式神の一体に加えたいのじゃが、もちろん自転車とは別に」
「えっと……どうしようか」
さりげなく飛鳥に目配せする。
「よつば様の式神は十分います、別にあなたが火車の所有権を握っても問題ありませんよ」
そうだな、今回の件で結構、意気投合したし、俺としては。
「俺の式神になってもらうよ、いいか?」
なぜか、泣きながら頷いてくれた。
「はい、喜んで。私、精一杯頑張ります」
こうして俺は、式神との契約により少しは陰陽師らしくなったのである。まあ、明日からの予定とか無いんですけどね。特に何もしない陰陽師が、俺のキャッチフレーズですから。
火車を元の入れていたお札に戻し、俺達三人は現実世界に帰る為に、もと来た道を歩き始めた。飛鳥と俺の昔話なんかをよつばに聞かせながら。ゆっくりと。
久しぶりに良い休日だったと言っておこう。温かい平凡な日々は、青春の何よりも勝るのだから。
第一話、完。読んで頂きありがとうございます。太刀風居合です。
アクセス数が俺が寝ている間にいつの間にか1000を超えてました。
感謝します、出来れば一話まとめての感想や、ポイントを下さい。
二話からも頑張ります、宜しくお願いします。
飛鳥さんの式神はまた今度ってことで。