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ラピスの心臓  作者: 羽二重銀太郎
外交編
44/184

諍い

     Ⅳ 諍い












 デュフォス。そう名乗った輝士を前にしても、代表者であるベンはまともに応じることもせず、呆けたようにベッドに腰掛けたまま落ち着きなく膝を揺すっていた。


 見かねて、アイセがデュフォスに恭しく応対する。


 「あの……歓迎に感謝いたします。私はムラクモ王国軍輝士、アイセ・モートレッド。お見知りおきを願います」


 デュフォスはアイセに頷き、部屋にいる面々へ順に視線を送った。


 そっぽを向いて巻き毛に指を通すシトリ。独り言をつぶやきながらベッドに腰掛けて足を揺らすベン。横になって尻を向けて寝息を立て始めたシガ。


 彼らを一瞥したデュフォスは不快げに眉を下げた。


 アイセが恥じ入ったようにか細い声で、

 「申し訳、ありません……」


 デュフォスはなにも返さず佇むジェダを見て、最後にシュオウに視線を合わせた。

 シュオウは黙ってデュフォスの視線を正面から受け止める。


 時間にして五秒にも満たない。なにも言わずデュフォスは視線をはずして、ベンの前へ静々と足を運んだ。


 「貴殿が、特使ベン・タール閣下とお見受けしますが」


 直接呼びかけられて、ベンは呆けた瞳に光を取り戻したようだった。


 「し、失礼をいたしました。ムラクモ王括府所属の書記官ベン・タールと申します、このたびは過分な歓迎に預かり、恐悦至極……こちらとしては感謝の意を表明する以上のことができず、誠に恐縮であります」


 「こちらこそ、出迎えに送った二人の部下がご不快な気分にさせたのではと案じておりました。あの二人は未だ十代、礼法もなってはおらず、案内役としては不適格でしたが、歴戦の輝士達を統率できる階級者のなかに、彼ら以上に身軽な者がいなかったもので」


 「と、とんでもない、失礼など……貴国の輝士は若くして重職についているのだと、度肝を抜かれました」


 「輝士学校制度を敷いておられる貴国とは違い、当地は古くから輝士徒弟制度を伝統として今日まで継承しておりますので、一人前と認められるのに年齢は考慮に入りません。しかしあの二人ほど若く親衛隊に取り立てられる者はそうはいません。両者とも、世に天才と称される部類の人間。それ故、幼くして強者に弟子入りし、ターフェスタ大公より冬華紋を授かりました」


 ベンは深く二度頷いた。

 「はあ。いやお見事、納得いたしました」

 ベンは喉に固唾を通して、

 「ところで……大公殿下との謁見は叶うのでしょうか、私としては、その──」


 ベンはちらちらと気まずそうにジェダに視線を送る。

 デュフォスは無表情に一つ首肯した。


 「もちろん、大公はこの日を心待ちにしておられました。しかし、すぐにというわけにはまいりません。二十日ほど前のこと、太子様がお風邪をめしました折に、その身を案じて見舞っていた大公は病をいただいてしまい、現在は療養に努めておいでなのです」


 ベンは一瞬晴れやかな表情をみせた。


 「で、では、我々は一度帰国し、出直してまいります! このたびの歓迎を本国に伝え、改めて献上の品々を──」


 デュフォスは微かな笑みを浮かべ、ベンの前に手のひらを向けた。


 「お待ちください。長旅を経ていらした特使閣下にそのような二度手間をさせたなどと、大公のお耳に入れば、私はルビィフォンの冬華印を剥奪されてしまうでしょう」


 ベンは再び青味が差した顔で、露骨に意気を沈ませた。

 「それは──」


 「どうか、大公が復調されるまでの間はこのままご滞在を。その間の費用一切、ご心配には及びません。安全を考慮し、可能なかぎりこちらの部屋に逗留いただきたい。飲食や土産物など、望むものは係の者に申しつけていただければなんなりと用意いたしましょう」


 ベンはすがるようにデュフォスへ手を伸ばした。

 デュフォスは音もなく一歩退いて、沈んだメガネを元の位置へ戻す。


 「デュフォス殿──お、お待ちを」

 「失礼、この身には大小を問わず予定が詰まっているのです。またいずれ、支度ができた際にお迎えにあがらせていただきたく」


 デュフォスが部屋を出た後、ベンは唸り声を絞り出しながら、止めどなく薄い髪をかき混ぜた。




     *




 デュフォスが部屋を出てから、丸二日の時が過ぎた。

 肥え太れといわんばかりに運ばれてくる豪勢な食事に喜んでいるのは一人だけ。その他の面々は時が過ぎるごとに顔付きが険しくなっていった。


 実質的な監禁状態に置かれている現在、不安は隠せない。

 

 状況に変化が生じたのはさらに翌日、宿へ入ってから三日目の夜のこと。個人的な日用品に関して、使った使っていないといった争点でアイセとシトリが喧嘩を始めたのだ。


 がみがみと言い争う二人の声。煩わしそうなしかめっ面で、シガがシュオウの名を呼んだ。


 「おい、なんとか言ってあの馬鹿女どもを黙らせろ」

 「……なんで俺に言う」


 傍観者でいることを望んでいたシュオウは、彼女らに背を向けて知らぬふりを継続した。


 「てめえの連れなんだろ、違うのかよッ」


 意外なことに、シガの余計な一言が二人の喧嘩を中断させた。

 アイセとシトリは口げんかをぴたりと止め、黙りこくった。


 後ろからの視線は見えずとも、空気で伝わる気配というものがある。深界という魔境で生き抜くために養われてきた鋭敏な感覚は、こうした状況においてはただただ邪魔なものでしかなかった。


 シュオウはこっそり後ろを見た後、なにごともなかったかのような態度で自身の荷物の整理を始めた。


 そのとき、誰かが小さく咳払いをした。


 「……いま私のことを嗤ったのかッ」

 どんよりと重いアイセの言。それを向けられたシトリは声を裏返す。

 「は? ちょっとおかしいんじゃないの」


 再び険悪になりかけた空気に、湯浴み用の別室から出てきたベンが水を差した。


 「いいかげんにしたまえ君たち! 夜更けに騒げば外まで声がもれるではないか──あッ!?」


 なにかを強烈に蹴ったような鈍い音がして、シュオウは反射的に振り返った。

 目に映るのは、床に置いた荷物に足を打ち、緩慢な動作でゆっくりと倒れ込んでいくベンの姿だった。


 溺れる者のそれで、手当たりしだいに手を泳がせるベンは、入口扉の取っ手に手をかけてかろうじて受け身をとるための余裕を得る。しかしそう思えたのも束の間、びくともしないはずの扉は、なんら抵抗なくするりと開き、ベンは勢いを殺しきれずに分厚い赤絨毯の上に顔面を強打した。


 「いたァいッ──」


 鼻を押えて悶え苦しむベンを気遣う者は誰もいない。

 皆、開いた部屋の入り口を驚きをもって見つめていた。


 「鍵がかかってない──」

 アイセはおそるおそる扉を開け、外の様子を確かめる。

 「──誰もいないぞ」


 シュオウは格子窓から外の様子を覗った。

 夕方までぞろぞろと配置されていた警備兵の姿はなく、外も静かなものだった。


 「外もだ、見張りが一人もいなくなってる」


 シュオウの報告にまっさきに反応したのは、それまで静かに状況を傍観していたジェダだった。

 彼は窓の外の様子を意深く探り、次に入り口へ向かって廊下の様子をじっくりと眺めた。


 突然、ジェダは吹き出したように笑いをこぼす。

 「なるほどね──」


 アイセやシトリ、シュオウも廊下の様子を見るが、警備の兵士はおろか、他にひとがいるような気配すらまるで感じられなかった。いくら夜とはいえ、まだ寝静まるには少しばかり早い頃だ。


 「どうする……事情を確認しにいくか」

 アイセの問われ、シュオウは目を合わさずに頷いた。

 「そうだな」


 しかし、真っ赤になって血を零す鼻を押えながら、ベンがシュオウ達の前に立ちはだかった。


 「いッかあん!! きっと当番の交代かなにか手違いがあったのだろう。ここで許可なく我々が部屋を出れば、企てありと見られても言い訳ができない! さあ、部屋に戻りたまえ。そして静かにベッドに入り、目をつむってよからぬ考えを捨てるのだよッ」


 ベンの態度には、うむをいわさぬ迫力があった。

 結局この日、シュオウ達は大人しく指揮者の言うことに従うことにした。







 四日目の朝。

 一夜が明けても状況は変わっていなかった。


 部屋の鍵は開いたまま。外にも内にも一人の見張りも立っておらず、それどころか宿を運営しているはずの者達の気配すらなく、頼まずとも行われていた朝食の配膳もなかった。


 ターフェスタ入りしてからここまでの厳重警護を思うに、現状がいかに異常な事態であるか、考えるまでもなくそれだけは間違いない。


 無意味に時は過ぎていく。


 朝、昼となにも食べることができず、空腹で苛立っているシガと、他人事のように静かに振る舞うジェダを除いて、皆が不安に暗い顔をしていた。


 ただ、そのなかで一人、アイセだけは別の理由で顔色を悪くしていた。

 「ない──」


 アイセはベッドシーツを上げ、夜具をはたいて何かを必死に探していた。

 備え付けの棚をすべて開き、それでも目当ての物が見当たらない様子で、青ざめた表情はすっかり余裕を失っていることが見て取れる。


 「やれやれ、このようなときに……いったい何をなくしたのかね」


 呆れ顔でベンが問うと、アイセはばらけた前髪を整えることもせずに顔をあげた。


 「指輪、です」

 「ゆびわぁ? まったく……最後に見たのはいつなんだね」

 「昨晩、髪を洗う前にはずして、ベッドの脇の棚の上に置いたのが最後、です」

 「ならそこにあるのだろう」


 投げるように言ったベンにアイセが怒鳴った。


 「全部見ました、でもないんです! 棚の裏、ベッドの下も見たけど──」


 アイセがなくしたと言っている指輪に、シュオウは心当たりがあった。

 以前に、アイセとシトリから送られてきていた贈り物への礼のためにアベンチュリン領内の宿場町でシュオウ自らが購入して贈ったものなのだ。


 アイセのあまりに必死な形相に、シュオウは声をかけないまま、そっと周囲を探ってみた。が、それらしき物の影はどこにもない。


 「誰かが拾ってそのまま持っているのではないのかね」


 一瞬、頭の中で浮かんだ考えを、ベンがさらりと口にした。だが、シュオウがそれを口にしなかったのには理由がある。固定された人物が数日間閉じ込められていたこの場所で盗みを疑うことは、諍いという名の暖炉に種火を放り込むのと同義だったからだ。


 シュオウの懸念は、数刻のうちに現実となる。


 アイセはベッドに腰を落ち着けていたシトリの前に立ち、彼女に向かって手のひらを指しだしたのだ。


 怒りに紅潮した顔で手を出すアイセに、シトリは若干ひいたように聞いた。


 「ね……本気なの……?」

 「お前以外にだれがあれを盗るんだ。昨日の仕返しのつもりなら謝る、だから」


 唇を噛んで、シトリはアイセの手を払って立ち上がった。


 「やめて……そこまで卑しくないから」

 「いつも物欲しそうに見ていたのは知ってるんだぞッ」


 「ちょっとおかしいんじゃないの、アイセ──」

 シトリは小馬鹿にしたように、アイセを笑った。

 「──知ってるよ、ここんとこ、彼に相手にされなくてずっといらいらしてるの」


 アイセは怯えたように半歩後ずさる。

 「なん──」


 「寂しいからってひとに当たらないでッ、そうやっていつも怒ってなにかのせいにして、そんなだから嫌われるんだってすこしは──」


 シトリが言い終えるより先に、強く頬を叩く音がそれを制した。

 かなり力がこもっていたのか、シトリは体制を崩してベッドの角に強く体を打ち付ける。


 「いッた──」


 赤く腫れた頬を押え、シトリは目にかかった前髪の隙間から強い視線でアイセを見上げた。


 「あ……」


 叩いた手の平を隠すように抱えて、アイセは怯えるように後ずさった。


 シトリは無言で立ち上がり、壁に掛けてあった外套をとって入り口へ向かった。

 これまでのやりとりを呆然と見ていた男達はシトリの背を追うように、ただ見つめている。


 シトリが扉を開いて廊下へ足を出したとき、ベンが慌てて彼女を呼び止めた。


 「アウレール晶士! ま、待ちたまえ! 許可無く外出をしては──」


 シトリは、しかし少しも足を止めることなく、そのまま扉を閉めて外へ出て行ってしまった。


 「なんてことだ……連れ戻さなければ……しかしそのためには外へ出るしか」


 ベンは頭をかかえた。

 うつむいて顔を隠したアイセは、黙りこくって微動だにしない。


 一瞬、室内は静寂に包まれる。

 そんなとき、部屋のなかに冷めた笑い声がこだました。


 笑い声の主、ジェダは皆の視線を一身に受けて、指先でつまんだ指輪をちらつかせた。


 「それ……」


 シュオウにも、そしてもちろん本来の持ち主であるアイセにも、それがさきほどまで探していた物であると、すぐにわかった。


 シュオウは一歩、ジェダに向かって踏み出した。

 「どこにあった」


 ジェダは作り物じみた微笑をうかべ、

 「今朝方、落ちていたのを拾ってね」


 瞬時にシュオウは眉を怒らせた。

 「なぜ黙っていた、早く言っていればこんな──」


 「様子を見たかった。面白いことになるんじゃないかという期待もあったが、実際その通りになったよ」


 ジェダは紙くずでも放るように、指輪をアイセの手元へ投げ渡す。

 落としそうになりながらも、無事に手の中に指輪を戻したアイセは、それを見つめて爆ぜるように顔をあげた。


 「じゃあ、私は──」

 アイセは言葉を切り上げ、外套を手にとって入口扉を押し開けた。

 ベンの制止も無視し、走って部屋を後にしたアイセの背を、シュオウはかける言葉なく見送った。


 反射的に彼女を追おうとして足を一歩踏みだしたまま、シュオウは硬直していた。そんなシュオウへジェダが皮肉を浴びせかける。


 「さぞ良い気分なんだろうな、二人の異性が自分を取り合って仲違いをしている姿を見るのは」


 口を引き結び、シュオウは重くジェダを凝視する。

 シュオウはジェダの前に立った。その距離は鼻息が届きそうなほど近い。


 「なにが言いたい」


 ジェダは顔面を怒りの色に染め上げる。それは彼がはじめてみせる貌だった。

 突然、ジェダは手を伸ばしてシュオウを突き押した。


 「調子に乗るなよ従士、青い服を着て忘れているようだが、分をわきまえない態度を許した覚えはないぞッ」


 彼にしてはあまりに余裕のない物言いだった。震えた声、血走った眼に、攻撃的に晒された前歯。


 少しも目線を外すことのない彼の態度につられ、シュオウも徐々に鼻息を荒くしていく。


 「気にくわないことがあるならそう言えばいいだろう。物を隠してひとの気持ちを弄んで、なにが楽しいッ」


 シュオウの言に、ジェダは憤懣ふんまんに満ちた顔のまま、それを鼻で嗤った。


 「ひとの気持ちを弄んでいるのは君のほうだろう」

 「なんだと──」


 「ムラクモ出るときからここまでの間、君があの娘達にとっていた態度。だれも気づいていないと思ったのか。子供でもわかるさ、露骨に避けて距離を置こうとしていたことくらい」


 ジェダの指摘に、シュオウは強い困惑に晒された。

 「だとして、なんの関係がある……」


 「君たちを見ているとなにより不快な気分になるんだよ。身分違いの恋、そんなものは物語のなかだけの幻想、作り話ならひとの好奇心を満たすが、現実は汚水よりも暗くて汚い悪夢にも劣る行いだ。だがなんと言おうと無駄なんだろうな。君が誰と心を結ぼうが好きにすればいい、どうせ生まれてくる子供はなによりも醜く、人々にさげすまれ石を投げられて、道端で飢えて死ぬのがおちさッ」


 ジェダの言わんとしていることを理解できぬまま、彼の言葉を痛烈な罵倒として受け取ったシュオウは、彼の輝士服の襟を力まかせに掴み上げた。

 頭に登りきった熱い血は、もはや下ろし方もわからず、仲裁しようとしている外の声も耳に届かなくなっていた。


 シュオウの視界には真っ向から喧嘩を売ってくる一人の男しか映っていない。

 ジェダは歯を食いしばって拳を握り、それを思い切り振り上げた。


 殴りかかろうとしてくるジェダの動きは、シュオウの眼にはあまりに緩慢な動作にしか見えない。彼の手が前へ出るより先に、握りしめた自身の拳をジェダの顔面に打ち付けた。

 不意の一撃をくらって体をのけぞるジェダ。しかしシュオウは掴んだ彼の服を離すことなく、二度三度と拳をお見舞いしていく。


 四度目の拳を持ち上げたとき、ジェダはすでに抵抗する力を失っていた。


 「なんということだ……」

 ほんの少し落ち着きを取り戻しつつあったシュオウの耳に、絶望に濡れたベンの嘆きが響いた。


 シガが冬眠から冷めたクマのようにあくびをした。

 「もう限界だ、こんなつまらねえところにいられるか」


 言って、シガは軽装のまま部屋の入り口へ向かう。


 「こら、どこへ行くつもりだ!」

 「腹が減ったんだよ、飯屋にきまってんだろうが」


 力を抜いて崩れるように腰を落としたのをジェダを一瞥し、シュオウは赤くなった拳を見つめて、自身の黒い外套と荷物を手に取った。


 「まさかお前まで」


 情けない声をしぼって言うベンに、シュオウは興奮したまま見開いた眼を向ける。ベンは少し怯えたようにあごを引いて口を引きつらせた。


 「あの二人を探して連れ戻してくる」


 力なく崩れたまま、それでもなおジェダは鼻を鳴らして嘲笑をした。

 その態度に苛立ちを覚えながら、シュオウは彼を無視して部屋を後にした。







 ターフェスタの街中は日常の喧噪に包まれ、ここ数日を過ごしてきた静かな一部屋での生活が嘘のように開放感に溢れていた。


 たき火の焦げ臭さが混じる乾いた空気を吸い込んで、アイセは外套のフードを目深にかぶる。


 部屋を出てここへ来るまでの間、宿泊施設の中から外まで、誰一人として顔を合わせることがなかった。

 厳重警備の元に三日以上も監禁されていたというのに、これは明らかに普通ではない。


 管理しているはずの側になにか不慮の事態が発生したのか、あるいはなにかしらの意図があってのことなのか。考えは答えのない不安を孕み膨らみ続けていくが、いまのアイセにとってそれら疑問の優先順位は低位に置かれていた。


 ──シトリ。


 やってもいない盗みを疑い、罵倒して手まで出した相手。多少なり冷静さを取り戻してみれば、その時の自分がいかに醜い行いに手を染めていたか、怖気と共に強い嫌悪感にさいなまれる。


 シトリを探すのにもっとも心配していたこと、それは自分が目立ちすぎるという事だったのだが、思いの外、市井の人々の視線を集めることもなく平穏に街中を歩くことができた。これは厚手の外套によって青い輝士服が隠されているおかげなのだろう。


 だがやはり、人通りの多い場所は居心地が悪い。いつ何時、見回りの警備兵に声をかけられるかと落ち着かないのだ。


 ──たぶん、あいつもそう思ったはず。


 簡易の推理を元にして、アイセは街中でも人通りのない場所を探すことに決めた。

 ふと、ふわりと漂ってきた煙に足を止める。


 空気と共に吸い込んだ甘い香り。正体は木からとれるシロップにつけ込んで焦げ目がつくまで焼いて食べる、豆粉を原料としたアランゼールという名の、ターフェスタ名物の甘味だった。




 足の裏が痛くなるほど歩いて、アイセは建物の裏手にある小階段に腰掛けたシトリを見つけた。


 がむしゃらに探しての結果ではなく、アイセは重点的に大きな建物の裏側を探していた。候補生時代から、シトリは大きな建物の背に一人でいる事を好むことを知っていたからだ。


 膝を折り、うずくまって顔を沈めるシトリの隣りに座ると、彼女は少しだけ頭を浮かせて、また膝の間に顔を隠した。


 「……ごめん」


 アイセの謝罪に、シトリは頭を揺らした。

 少しして顔をあげたシトリは、まだ腫れの残る頬をさすって全力で仏頂面をする。


 「どういうこと」


 アイセは気まずさに唇を噛み、件の指輪をだして見せた。


 「見つかったんだ。あの無口な公子が拾って、いたずらに隠していたらしくて……」

 「へえ」


 どうでもいいというような普段の言葉使いだが、やはりいつもより言い方に棘が含まれているような気がした。

 アイセはさきほど露店で購入しておいた菓子を、不機嫌なシトリに差し出した。


 「……いらない」

 ぶすっとしてそっぽを向いたシトリに、アイセは首を振った。


 「違う。あいつの──シュオウの好物なんだ、甘い物。随分前から知っていたけど、自分だけの秘密にしておきたくて、その……」


 唇を尖らせながら、シトリは菓子の袋を開けてつまみ上げた。

 「…………ね、あたしたちって、なに」


 唐突な問いに、アイセは言葉を詰まらせる。

 「えっと……元、同級生……同期、同僚、仕事仲間──」


 思いつくかぎりの関係を述べてゆき、最後に言いかけた言葉を飲み込んだ。


 「よかった、友達、なんて言われなくて」


 シトリは彼女にしてはめずらしく皮肉っぽい笑みをみせ、菓子を口の中に放り込んだ。


 「……アイセだけじゃないよ」

 言われ、アイセは聞き返す。

 「え?」


 「彼の態度がおかしいの、アイセにだけじゃない。最近、あたしとも目を合わせてくれなくなった。もしかしたら、もっと前からそういうのがあったのかもしれない。でもはっきり気づいたのは最近になってから。この仕事について、一緒にいられる時間が増えたと思って嬉しかったのに。こんなに寂しい気持ちになるなら……」


 シトリは顔を歪め、アイセに菓子の入った袋を差し出した。底を手に持ったまま、おそらく中身を取れという意思表示だろう。


 一つつまんで、それを口に放り込む。甘い味に心地よさを感じ、朝からなにも食べていなかったことを思い出した。


 「あのときとは違うんだ。あいつも色々な場所で色々な経験をしてきてる。ただ、私たちはシュオウが過ごしてきた時間を共有できなかったから、もう色々なことがわからない。彼の心が、まるで見えない。聞いてみたいと思っても、答えてくれないかもと思うと怖くて……」


 シトリは階段に背を投げ出し、両手を広げて仰向けになった。夕暮れ時を迎えて、茜色の日差しが彼女の水色の髪に溶け、本来の色よりも暗い青を演出していた。


 「つまんない──」

 シトリの隣りで、アイセも仰向けに寄りかかった。

 「……うん」


 沈みかけた夕日は多方に長い影を落としていく。

 街中の気温が一段下がったような気がした。







 異国の街並は複雑で、部屋を飛び出したアイセらを探しに出たシュオウは、あてもなく彷徨い続け、太陽が落ちる頃になっても目的を遂げることができずにいた。


 こうなると、一足先に戻ったのではと思うのは自然の流れで、シュオウはいくつかの目印に覚えた目立つ看板を頼りに、数日寝泊まりしていた宿への道を戻ることにした。


 途中、木材運搬用の水路にかかった橋の上に立ち、沈みかけの夕日に目を奪われる。そうしていると、ふと目に映る風景のなかに既視感と違和感を同時に覚えた。


 間違い探しができるほど、この景色を見ていたわけではない。しかし水路の片隅で座り込む、目立つ黄緑色の髪をした男の姿に気づくのに、なんら労を必要とはしなかった。


 放っておいて帰ろうと、一度は出した足を止め、シュオウはその男、ジェダの側へ近づいていく。着込んで変装をしようという努力は微塵もなく、ジェダは青の輝士服のまま、水路の縁に足を投げ出して、水の流れをただ見つめていた。


 さきほど、殴り倒したばかりの相手になんと声をかけてよいかもわからず、シュオウは足下に転がっていた小さくて軽い石を蹴った。

 こつん、とそれがジェダの背に当たると、彼はうっすら痣をつけた顔を向けた。


 「やあ、恋人達は見つかったのかい」


 思いの外穏やかな声音を意外に思いながら、シュオウはジェダの言葉を否定する。


 「恋人じゃないし、見ればわかるだろ」


 ジェダは片頬をあげ、柔和な笑みをつくった。


 「立ってないで座ったらどうだい。幸い席はたくさんある」


 らしからぬ態度に違和感を抱きながらも、シュオウはジェダの隣りに腰掛けた。

 彼に倣い、足を下ろして壁面に張り付いた無数の貝殻にかかとを引っかける。

 ジェダは太ももの上に何かの包みを置いていた。記憶にあるかぎり、こうした物をムラクモから持ち込んではいなかったはずだ。

 シュオウの視線を察して、ジェダは小さな包みをつついた。


 「土産物だよ。昔からの癖でね、旅先に来るとかならずめずらしい、その土地の物を探してしまう」

 「……土産。父親に、サーペンティア公爵にか」


 ジェダは遠くを見つめ、寂しそうに瞼を半分落とした。


 「渡す相手は一人しかいない、僕の姉だ。彼女は自由に外を出歩くことができないから、どんなささやかな物でも心から喜んでくれる」


 「兄姉、か」

 手頃な小石を持って、シュオウは水路に向けて放り投げた。


 「腹違いの兄姉ならたくさんいるけどね。けど、肉親だと思える相手はただ一人、同じ血を分けた姉だけだ。でももう…………二度と会うこともできなくなる」


 語尾をにじませるジェダの言いように、シュオウは首を傾けて彼の目を見つめた。

 「どういう……」


 ジェダは微笑み、寂しげな瞳を空へ流した。


 「この任務、君はなにもおかしいと思わないのかい。ムラクモは使節を単独で任務につかせるのが通例。彼らは身軽でいるために一人での仕事を好むし、皆輝士のはしくれ、身を守るための護衛など必要としていない。なのに、ぞろぞろと六人もの人間が固まって旅につかされた」


 「考えてはみた。けど、比較しておかしいと思うほど、俺はこの仕事を知らない」

 「なら答えを教えよう。この任務は交渉でも挨拶でもなく、ただの出荷なんだ」

 「出、荷……?」


 ジェダは鷹揚に頷いた。


 「売り主はムラクモ、買い手はターフェスタ。商品はこの僕、ジェダ・サーペンティア」


 ジェダが、この任務の真実を告げようとしている事を理解しつつも、シュオウは未だ要領を掴むことが出来ずにいた。


 「正直、わけがわからない。お前がここで輝士に襲われるほど恨まれていることと関係してるのか」


 「その通りだ。領地を持つ家は、時折国から戦場への支援を出すよう求められる。兵糧や武器、馬や人。大貴族と称されるような家は、そうしたものを提供して、富を独占していないのだと示さねばならない。そしてサーペンティア家が用意したそうした提供物のなかに、僕がいたというわけだ」


 「そのせいで戦場へ、か」

 ジェダは首肯する。


 「当主の肉親を戦地へ送るのは周囲からの受けが良い。なにしろそこは命を失うかもしれない血塗れの世界だ。その最前線へ、末席とはいえ息子を送れば、皆サーペンティア公爵は国を真に想う国士だと褒めそやす。その分、差し出す資金、武器兵糧が少なくなろうとも、誰も文句を言わない、思っていても言い辛い、という仕組みさ」


 シュオウは呆れ気味に鼻を鳴らした。

 「金をけちって、代わりに家族の命を危険に晒したのか」


 ジェダもつられるように笑う。


 「そうだよ。もっとも、この通り無事に生き残ることができたんだけどね。対北の戦場に出たのは四度だけ。ただ二度目の出陣で僕はすっかり相手方に名を覚えられた」


 「どうして?」


 「しいて言えば、やりかたの問題だったんだろうな。僕の晶気術は正道に反する。その方法が目立ってしまったせいで、混乱にまみえる戦場のなかで、僕が殺めた相手ははっきりと誰がしたことか知られてしまう原因になった。結果はわかるだろ、恨みを買ったのさ」


 ターフェスタ入りしてからジェダに向けられていた敵意の塊。その出所を知り、シュオウは納得を得た。


 「生き残るためにしてきたことで、結局は命を失うはめになった。唯一の護り手に見放され、自分がなにをしているのかもわかっていない間抜けに手綱を引かれ、遙か下の階級にある従士に殴られ。このざまさ」


 自嘲気味なジェダの愚痴。彼の言うことの一端を担っているシュオウは、むすっとしてふくれっ面を見せた。


 「あやまらないぞ」


 ジェダは高らかに声をあげて笑った。


 「謝罪を聞きたかったわけじゃないけど、そうまで言われると頭を下げさせたくなってくる。でもいいさ、君を挑発したという自覚くらいはもっている──」


 ジェダは髪をかきあげて、小石を水面に放り投げる。


 「──君達の同行はまるで予想外だったんだ。従士と、なりたての輝士と晶士。それに加えて人語を喋る獣まで。これではまるで曲芸団だ。死出の旅路にしては締まりがなさすぎる。君は聞いていないのか、どうして同行者に選ばれたのか」


 「なにも。シガは別にして、あの二人とは偶然同じ任務にあてられただけだ」


 「偶然か。君たちの関係は知っているよ。生死を賭けた旅を共にした仲なんだろう。以来、彼女達に随分と気に入られている。大勢いる従士と輝士のなかで、偶然君たち三人が、危険なジェダ・サーペンティア出荷の旅の一員に選ばれた、か。なるほど」


 ジェダの言うことを聞いていると、たしかに首を傾げたくなるような偶然だった。


 「ま、どうでもいい。考えたところで意味はないんだ。ムラクモに戻って後、君たちはせいぜい一時の恋愛ごっこを楽しめばいい、今と同じようにね」


 シュオウは強く眉をしかめた。

 「またその話か──どうしてそんなにつっかかる」


 ジェダは遠くの水面を見つめ、大きめの石を掴んで放り投げた。広がる波紋が投げ出した足の直下へ届いた頃、消えてゆきそうな小さな声で語り始めた。


 「……君たちを見ていると、どうしようもなく怒りを覚えるんだ。後先を考えない無責任な気持ちに身を任せているあの子達にも、半端に現実をみて、態度を濁している君にもね」


 「外からは見えない事で、他人からとやかく文句をつけらるのは気分が悪い」


 「そうだね。でも、僕には君たちに忠告の楔を打ち込む資格があると思っている。なぜなら、僕と姉の母は貴族ではないからだ」


 ジェダの告白に、シュオウは目を丸くした。

 ジェダは続ける。


 「いや、迂遠な言い方はやめよう。僕の母の左手には濁石があったんだ。平民階級者だよ」


 「それが、サーペンティア公爵、と?」


 「そう、父と母は禁断の恋をした。成就した結果に僕と姉が生まれ、濁石を持って生まれた姉は世間の目を避けて監禁され、彩石を持って生まれた僕は、家にための汚れ役を一手に背負わされた。濁石の血が混ざることを嫌う貴族家では、僕と姉は忌むべき汚点。親族中から何度も命を狙われたが、父サーペンティア公爵の庇護があってどうにか命だけはつなげてきたんだ」


 シュオウが彼に抱いていた印象よりずっと苦労を背負い込んで生きてきたというジェダ。意外に思いつつ、シュオウは頷きを返した。


 「……言いたいことは、なんとなくわかった」


 「そういうことさ。僕を見ればわかるだろう、この世界では生まれたときに立つ位置が決められている。ただどちらにも属さない半端者は別、席なんてどこにもないんだ。誰も幸せになれない、誰一人ね。これ以上なにを言うつもりもない。ただ僕の末路をじっくりと目に焼き付けておいてくれ。そして後悔の残る選択肢を、一日でも早く捨てたほうがいい」


 これまでの彼の態度やアデュレリアでの一連の経緯が元で、その言葉をすべて信じる気にはなれなかった。ただ一つ、ジェダの言ったことに多少なり真実みを与えていたのは、彼がひどく情緒不安定な様に見えたためだ。


 常日頃、微笑という虚実の仮面を貼り付けたまま過ごしていた男が、今は裸で眠る生まれたての赤子より無防備にみえたのだ。




 太陽は完全に沈み、市街地は夜を迎えていた。


 ジェダと伴って宿に戻る道すがら。街中は昼過ぎの喧噪が嘘のように静けさに包まれている。


 「あれだけ偽りのない言葉で他人と話をしたのは初めてだ。正直、君のことはあまり好きではなかったけどね」


 歩きながら言ったジェダに、肩を並べるシュオウは応える。


 「嫌な奴だとずっと思っていた。今もそう思ってる」


 「僕は君を正直な人間だと思っていた。だから他人から好意をもたれやすいのかとね。だけどここへ来て感想が変わったよ。君も案外ひねくれた人間のような気がしてきた、時折、鏡を見ているような気分になる──」


 ふと、よぎった違和感にシュオウは足を止めた。同時にジェダの前に手をだして制止させる。


 「おかしい、なにかが」


 現在地は市街地の大通り。二階建ての建物が所狭しと並ぶ繁華街だ。しかし店はどこも閉まっていて、人気もないはずなのに、なんらかの敵意の塊が、周辺を埋め尽くしているような気がした。


 「言っておくことがある──」

 唐突にジェダは口を開いた。

 「──昨日の夜から部屋の鍵が開いていただろう。警護も見張りもなくなって、宿から完全に人の気配が消えていた」


 「やめろ、こんなときに」


 シュオウの言葉を無視して、ジェダは説明を続けた。


 「昨夜から今朝にかけてのことは、彼らの支度が調ったということの証明だったんだ」

 「……どういう?」


 「僕を迎える支度だよ。どうしてこんな回りくどい方法をとるのかはわからないが、この状況が彼らには必要だったんだ。僕が自由に外を出歩いているという状況がね」


 「それが本当だとして、じゃあなんで外へ出た」


 ジェダはただ微笑み、シュオウの問いに返事をしなかった。

 周囲にある各建物の窓、入り口が開いて、弓を携えた兵士達が一斉に姿を現した。

 たいまつに火が点り、どこからともなく甲高い笛の音が響きわたる。


 ぞろぞろと前後の道から溢れるように兵士達が埋め尽くし、脇にある細道ですら、大きな盾を携帯した兵士が道を塞いでいた。


 瞬時の判断で、抵抗が困難な状況に置かれたことをシュオウは察した。

 無傷の逃走を諦めるのであれば、真っ向からの突破を挑む手段は残されている。シュオウはジェダの手首を掴み、足腰に力を溜めた。


 しかし、ジェダはシュオウの手を離して、首を横に振った。


 「抵抗は無意味だ。ここが終着地点、僕が彼らに囚われるまでが予定調和なのだからね。逆らっても無駄な時間が過ぎるだけだよ。心配はいらない、大人しくしていれば君は無事にムラクモへ帰れるさ」


 兵士らの造る包囲は完全体を為しつつあった。

 ジェダの話の真偽はおいておいても、すでに二人での強行突破の期は逸している。


 前方の道に出来た兵士達の集団を分け入って、見覚えのある男が姿を現した。数日前に一度会ったきりのターフェスタの親衛隊長、ウィゼ・デュフォスである。

 デュフォスは後ろ腰で両手を組み、暗がりのなか、たいまつの灯りを受けて口を開く。


 「さきほど、市街地で殺人の被害者と思われる死体が発見された。手口からしてジェダ・サーペンティア、君の犯行が疑われている。異国の軍属という立場を鑑み、調査が済むまでのあいだ、大人しく縛についてもらいたい」


 ジェダは無抵抗をしめすため、両手を天に差し上げる。シュオウを見て笑みをこぼした。


 「見物だよ、どれほどくだらない罪をでっちあげたのか。殺されるまでの最後の娯楽にさせてもらおう」


 無数の剣矢が向けられたこの状況で笑う余裕もなく、シュオウは険しい顔のまま手をあげた。

 二人の左手に、速やかに白い鍵付きの封じ手袋がかぶせられた。










ようやく今回のお話のスタートに立てたかな、というところで、また来週です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 3年も前の感想に言うのもなんだけど、深界で培った危機察知能力とこういう人間の悪意への対処能力は別だし、そこのギャップと最後には常識から外れた形での解決を強引にやってしまうのがシュオウの魅力だ…
[気になる点] 魅力がなさすぎるヒロインズは置いといてシュオウの無能加減が半端ない。何回警戒するだけしていざ危機に直面したら特に何もせず捕まるのか。深層に10年以上も住んでたなら危機に対しての嗅覚、回…
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