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ラピスの心臓  作者: 羽二重銀太郎
無名編
4/184

第三話 ふぞろいな仲間達

 石のように硬く握った右手の拳を、小指から一本ずつこじ開けるようにして広げた。

 まるで水で手を洗った直後のように、手の平が汗でじっとりと濡れていた。

 さっきから体が小刻みに震えている。

 それが寒さのせいなのか、シュオウにはわからなかった。


 ――あの少女が。


 氷長石、と呼ばれていた。


 極石級、燦光石、名を得た輝石。

 

 いつか読んだ古い本には、燦光石の保有者が、たった一人で一国を滅ぼしたという記録が記してあった。

 その話を師匠にしたら、おとぎ話だと笑われた。

 

 シュオウの脳裏に、はじめて師匠のアマネと出会った時のことが浮かんだ。


 『相手は極石級の化け物だった』


 あの時の師匠はたしか、そう言っていた。


 ――ムラクモ王国の極石級。


 あの少女が、師匠に傷を負わせたその人なのだろうか。


 だとすれば納得がいく。狂鬼も裸足で逃げ出すようなあの人に、逃げの一手をとらせたことも。


 三人の輝士が放った晶気を難無く躱すことができたとき、シュオウは失望感と同時に、全能感にも似た驕りに一瞬心が震えた。

 ムラクモ王国軍が誇る輝士達ですら、師匠に鍛えられた自分にとってはたやすい相手ではないか、と。

 だが、あの少女が放った極寒の晶気は、シュオウに芽生えた僅かな高ぶりを一瞬にして冷ましてしまった。


 ――腹立たしい。


 あの少女にではない。

 ほんの一瞬でもまわりを見下そうとした自分に腹が立つのだ。


 一度開いた右手が、無意識のうちに再び強く握られていた。




 「――――いたぞ――――――だ」


 不意に耳に届いた声で、シュオウは顔をあげた。


 思考と現実が混濁し、そのズレの修正にわずかに時間を要した。


 「おい、大丈夫か?」


 見れば自分の案内を任された兵士が、訝しげにこちらを伺っていた。

 どうやら考えこんでいたせいで、兵士の言葉に無反応で返してしまったらしい。


 「大丈夫です。少しぼうっとしていただけで」

 「ならいいが。……二回目になるが、ここが待機所だ」


 見上げても全体を把握できないほど大きな建物が目の前にあった。

 言われるまで気づいていなかった自分も、どうかしている。


 「大きいですね……」

 「ふだんは雨天の時の訓練場として使われている。ここ最近は、従士志願者達の寝泊まり待機所としてしか使ってないがな。―――これが、あんたの番号だ」


 小さな番号札を渡される。

 札には数字で十七と書いてあった。


 「これは?」

 「くじ札だ。箱から番号札を抜いて、同じ番号の者達を一隊として扱う。あんたには悪いが、これが最後の一枚なんで直接渡させてもらった」

 「それはかまいませんが」


 巨大な建物の入り口は、左右に引いて開けるドアだった。

 その隙間から喧噪が漏れ聞こえてくる。

 兵士が引き戸を開けると、喧噪はより一層強くなった。

 

 建物の中は想像していたよりも遙かに広く、天井も高くて開放感がある。

 その広い場内を埋めつくすように、大勢の男達がひしめきあっていた。


 「ちょっと待ってな。――――おおい! 誰か十七の番号札を持ってるやつはいるかー?」


 兵士が大声で怒鳴ると、すぐに奥のほうから手があがった。


 「ここよー!」


 怒鳴った兵士に負けず劣らずのバカデカイ声が返ってきた。

 奥で伸びた手は、こっちへ合図を送るように左右に振られている。

 ただ肝心の手の持ち主は、人混みに隠れてここからではよく見えなかった。


 「ほら、あそこへ行くといい。これから今回の採用試験について、監督官からの説明があるはずだ。あとの細かい事は同じ隊の奴に聞いてくれ」


 兵士はそう言って、足早に去っていった。

 シュオウはあわてて兵士の背中に礼を言った。


 改めて建物内を見渡すと、律儀にもさっきの手の持ち主が、継続してこちらに合図を送ってくれていた。

 人混みをかき分けながら急ぎ足でそこへ向かう。

 

 一人一人かきわけながらどうにか手の主のもとまでたどり着いた。

 合図を続けてくれた事に礼を言おうとした瞬間、シュオウは、あッと言いかけて固まってしまった。

 

 目に飛び込んできたのは、筋骨隆々の大男と、その隣で佇むカエル人間だった。


 カエル人間のほうは〈蛙人〉と呼ばれる種族だろう。

 この世界には、人類とほぼ同じくらいの知能を持っているとされる他種族がいくつかある。

 蛙人はその中の一種族で、地方でひっそりと生活を営んでいるらしい。

 また、文化や言葉の違いから人間社会との交わりはほとんどない。


 はじめて見る蛙人は新鮮だったが、シュオウを驚かせたのは大男のほうだ。

 雲突くような長身と溢れんばかりに隆起した筋肉に、鏡になりそうなほど磨き上げられたスキンヘッド。

 そして、そのたくましい容姿からは意外なほどに穏やかな微笑を見せる顔には、べっとりと濃い化粧が塗りたくられていた。


 「ちょっとぉ、大丈夫? 気持ちはわかるけど、いきなり目の前で固まられちゃったらこっちだって困るわよ」


 大男はシュオウの顔の前で、正気をたしかめるように手を振った。

 

 「あ、いや、ちょっと驚いて」


 正確にはまだ驚いている最中だった。そのせいで馬鹿正直に言ってしまったことをすぐ後悔する。


 「あはは、正直ね~。そんなにオカマがめずらしかった? それともこっちのカエルかしら?」


 大男は蛙人のほうを見ながら笑った。

 シュオウはオカマです、と口走りそうになるのをどうにか堪え、引きつりそうになる顔をどうにか抑えるのに必死だった。


 女のように話す大男は、声が見事に野太いせいで、さらに独特な個性が強調されている。


 「いえ。すいません、失礼な事をしてしまって」


 いくら不意打ちの衝撃だったとはいえ、初対面の人を相手に失礼極まりない態度だった。


 「気にしないで、慣れてるから。それより、あなたもしかして従士志願者?」

 「そう、ですけど」

 「やっぱりぃ~! ってことは、十七の番号札をもらったから、アタシ達を呼んだって事かしら?」


 シュオウはすぐに頷いて、握っていた十七の番号札を大男に見せた。


 「よかったぁ。もしかしたらアタシとこのカエルの二人だけで試験に参加させられるかもって聞かされてて、ちょっとへこんでたのよぉ」


 大男はそう言いながら、大きな手を空中でかき寄せるように泳がせた。

 その仕草は、妙齢の女性が噂話をするときによくするジェスチャーに似ている。


 「ということは、あなた達と一緒に試験を受けることになるみたいですね」

 「そうよ。アタシの名前はクモカリっていうの、こっちのカエルは―――」


 クモカリに視線を送られた蛙人は、この時になってはじめて口を開いた。


 「ジロの名前は、ジロ……みたいな~」


 蛙人の口から出た自己紹介には、奇妙な語尾がついていた。


 「え?」

 「ジロって言うらしいわよ、このカエル。それにしても言葉遣い変でしょ? アタシとの初対面のときからこの調子なのよ」


 クモカリの言葉に、ジロは怒りをあらわにした。

 半眼でクモカリを睨んで、抗議の言葉を早口でまくしたてる。


 「カエルじゃないし! ジロだしッ! まじむかつく!!」


 ジロの表情を見るかぎり、それなりに真剣なのはわかった。

 が、あきらかに人のものとは違う、くたびれた足の裏のような声で発せられるおかしな言葉のせいで、まったく迫力がない。


 「うるっさいわね。あんた、あたしと初対面のときにキモイって言ったでしょッ!? だからあんたなんてカエルで十分よ、かえるかえるかえるー!」


 負けじと応戦したクモカリは、そのままジロと口論をはじめてしまった。

 ただでさえ目立つ二人が大声で言い合っているせいで、しだいに周囲の注目が集まりはじめる。


 「そのくらいにしておきませんか」


 シュオウは二人の間に割って入って、どうにかその場を収めた。


 「ふん、今はこれでかんべんしてあげるわ」

 「こっちのセリフだしッ」


 どうにか休戦状態に落ち着き、シュオウはほっと一息ついた。


 「ところで、あなたの名前はまだ聞いてないわよね?」

 「シュオウ、です」

 「シュオウね。覚えたわ。これからよろしくね」


 クモカリがそっと手を出したので、シュオウは握手でこたえた。

 ジロも続き、四本指の手を差し出してきたので、ぎこちないながらもこちらも握手を交わした。


 「こちらこそ、よろしくお願いします」

 「ちょーーーーっとまったッ!」


 クモカリが突然、胸の前でバツ印を作る。


 「え?」

 「さっきからあなたのその敬語、気になってたのよ」

 「敬語、ですか」


 「それよ、それ。今のもまさにそう。これからしばらくの間一緒にすごすのよ? いちいちそんなかしこまってちゃ肩が凝っちゃう」


 クモカリの指摘で、自分の話し方が普通から少しはずれているらしいと自覚した。

 

 ――そういえば。


 子供の頃、師匠と深界の森で共同生活をはじめてすぐ、しゃべり方がなまいきだと、その都度ゲンコツをもらっていた。

 そうして十二年あの人に調教された結果、丁寧に喋る癖がついてしまっていたようだ。


 「よろしく…………これでいいか?」


 シュオウが言い直すと、クモカリは堪えるように吹き出した。


 「今度は急にぞんざいになるのね。面白い子ねぇあなた」

 「人と接する機会の少ない場所で暮らしていた。だから、普通に会話するだけでも距離感がわからないんだ」


 子供の頃からろくに人と会話する機会もなく、その後の唯一の話し相手は、師弟という特殊な間柄であったため参考にならない。

 シュオウの場合、生い立ちが原因で、等しい間柄の人間を相手にしたときの話し方がわからなかった。


 「へぇ、よっぽど田舎の出身なのね」

 「ジロは話し方、上手っぽい」


 ジロが唐突に割って入った。


 「どこが上手なのよ。そんな変なしゃべり方する奴を見たのは、あんたがはじめてよ」


 改めてジロに注目する。

 顔には大きな目と大きな口がある。身長は小柄な人間と同じくらいで、体の線がほっそりしているのでこじんまりして見えた。

 ジロの皮膚は綺麗な乳白色で、シュオウが想像していた黄緑色や茶色の蛙人とはかなり違っていた。

 買えばそれなりに高そうな革製の服を着込んでいるが、靴ははいていない。

 そして左手の甲を見たが、そこに輝石はなく、右手も同様だった。

 輝石の位置は人間とは違うらしい。

 少なくとも、今シュオウから確認できる位置に、輝石を見つけることはできなかった。


 「言葉はどこで習ったんだ?」


 蛙人と人間は使う言語がまるで違う。

 ジロの話し方は違和感があるが、滞りなく意志の疎通ができるレベルで言語を習得しているようだ。


 「ジロの住んでたとこに物を売りにきてた行商人の女の子っぽい。いつもこんな風に喋ってたしぃ。全然おかしくないっぽい~」


 ジロに言葉を教えたその人間が、本当にそんな喋り方をしていたのだとしたら、彼は教えを請う相手選びを致命的までに失敗したのかもしれない。


 ジロの言葉にクモカリが再度抗議を入れ、再び小さな小競り合いがはじまったが、向き合って口喧嘩をしている二人の間には、よくよく見れば険悪な空気は感じなかった。

 シュオウが来る前から、こうして彼らなりにコミュニケーションをとっていたのだろうか。


 


 説明会が始まる時間になり、部屋の奥にある壇上に小太りで中年の男が現れた。

 続いて壇上にあがった者の姿を見て、場がざわめきだした。


 「あれは―――」


 豪奢な青の軍服を纏い、体をすっぽり覆う事ができる純白の外套をたなびかせ、薄紫色の霧雨のように細かな髪をゆらしながら、さきほどまで目の前で話をしていた、あの少女が壇上にあがった。

 少女の透き通った藤色の輝石は、まるで雪の結晶のように美しく煌めいていた。


 ――氷長石、か。


 まだざわつく場内をそのままに、最初に壇上に上がった中年の男が、大声で話し始めた。


 「あー、んん。この度、従士採用試験への参加を決めてくれた諸君らにまずは感謝を言っておこう。私は監督官を務めるイベリコだ。これから今回の試験内容についての最終説明を行うが………あー、特別に今回の採用試験の最高責任者である、アデュレリア重将閣下が同席されることになった」


 監督官の言葉で、ざわめきがどよめきに変わった。

 場内を埋め尽くした男達の中には、その場で平伏しはじめるものまでいた。

 一瞬にして混乱状態一歩手前である。


 「ま、待て待て、閣下は通常通りの進行を望まれておられる。いないものと思うようにとのご命令なので、全員そのつもりで。伏している者は起立をするように」

 「なんだか、あのおっさん疲れてるわね」


 クモカリの見立てにシュオウも同意した。

 遠目でわかるくらい、監督官は憔悴しているようだった。

 時折ハンカチで汗をぬぐったり、目頭を押さえたりしている。


 「まぁ、無理もないわね~。あの氷姫が横にいるんじゃ」

 「氷姫?」

 「あら、まさか知らない? ムラクモの氷姫といえば、氷長石のアデュレリア公爵様のことよ。あんなに幼く見えるけど、中身は百歳超えた婆様よ、ばあさま」

 「あれで百歳………」


 氷長石の容姿は幼い。

 背は小さいし、顔や手のパーツも小さい。なのに目がくりくりと大きいせいでさらに幼さに拍車がかかってみえる。

 だが、だからといって未熟な印象は微塵も窺えない。

 シュオウは実際に、あの少女が力を行使した場面に立ち会い、会話もしている。

 見た目は子供でも、立ち居振る舞いや話し方には他者を屈服させるような威厳と、同時に包容力もあった。


 「間違っても目なんかあわせちゃだめよ」

 「なぜ?」

 「昔ね、氷姫の前でお茶をこぼした平民を、一族もろとも氷漬けで処刑したって逸話があるの。そしてついた渾名が冷酷無比な氷姫。市井じゃ有名な話よ」


 ――なるほど。

 

 クモカリの話を聞いてみれば、この場にいる志願者達が怯えたように俯いているのも無理はない。

 だが、あの少女がそのくらいの事で人を殺すだろうか。

 たとえ身内であろうと、シュオウを不当に害そうとした輝士達を裁いた、あの氷長石が。


 壇上の少女へ視線をやると、彼女は静かな面持ちで佇んでいた。


 

 「えー、では試験内容の説明と、今日のこれからの予定。そして試験後の報酬について説明をはじめる。―――明日から諸君らにやってもらう試験の内容は、深界の森の踏破試験である」


 監督官のその言葉に、建物内の空気が揺れた。


 無理だ。無謀だ。どうしてそんな。大金もらったって割に合わない。いまから参加を拒否できるのか。できるわけがない。死にたくない。


 皆が口々に後ろ向きな言葉を吐いた。


 「あー、まちなさい。踏破といっても、なにも森を諸君達だけで奥まで抜けろとは言っていない。試験に使うのは大昔に利用されていた古道で、途中にある休憩所を目標として設定してある。それに、諸君らには我が国の誇る輝士、または晶士の卵である宝玉院の生徒が同行することになっているので安心してもらいたい」


 うまく言うものだ。

 今の監督官の言いようでは、まるで試験にたいした危険がないように錯覚しそうになる。

 だが、聞いたことをよく噛みしめてみれば、試験に使うのは今は誰も使う者のいない古道だ。

 灰色の森の侵食を防ぎ、狂鬼除けとしての効果もそれなりにある白道。

 それに使われる夜光石は、質にもよるが長く置いておくほど、発光する力が弱くなっていく。

 古道と言っているくらいだから、夜行石の効力はとっくに消えているか、弱まっていると見るべきだ。

 ただでさえ狂鬼に対しての白道は完璧な効果のない防護策で、それが古道ともなれば危険は何倍にも増す。


 ――のんきだな。


 監督官の言葉ですっかり安心してしまっている男達が愚かに見えた。


 監督官の説明は続く。


 「試験は明日早朝、王都の西門を出た先、上層界と深界の境目から開始される。

 西門は一般人の立ち入りは厳禁とされているが、諸君らは今回特別に通行を許可されている。

 今日はこの後、諸君らに同行する輝士達と顔合わせしておき、その後、こちらが指定する宿に泊まってもらう。

 食事、飲み物はすべて無料。その他、諸君らが試験に必要だと思う物があれば、係の者に言えばこちらで用意する。ただし食料はこちらが用意した物以外、試験への持ち込みは厳禁とする。

 今、外で同行する生徒達が番号クジを引いている。諸君らの持つ番号札と、生徒達の引いた番号が一致すれば、それをもって一小隊として登録される。

 諸君らと番号を同じくした輝士達は、試験中一蓮托生の間柄となる。そのことをよく自覚するように。

 ―――以上だ。質問がなければ説明会はこれで終わりとする」


 「報酬はどうなってるのー?」


 突然のクモカリの大声で、一度引き上げかけた監督官はあわてて元の位置に戻った。


 「おっと、いかん、そうだった。あー……報酬は試験後に参加者全員にカトレイ金貨十枚を約束する」


 わっ、と歓声が上がった。


 「ふぅん、話通り結構な額じゃない」


 クモカリは満足気に頷く。


 「この報酬は高いのか?」


 生まれてこのかた金を使ったことがないシュオウは、カトレイ金貨十枚の価値を把握できなかった。


 「カトレイ金貨のこと? そうねえ、物価にもよるけど十カトレイもあれば、食べ盛りを抱えた五人一家が数年働かずにお腹一杯食べられるわね。小さな土地なら買っておつりがくるし、大きな土地だって頭金としては十分すぎるわ。それくらいには高額ってわけ、わかった?」


 だとすれば、これはただの平民に支払われる額としては破格なのだろう。

 そして金貨の価値の分だけ試験の危険度が高い、ということだ。

 

 監督官はさらに質問者がいないことを確認し終えると、壇上を後にした。

 氷長石である少女もまた同様で、いつのまにか場外へと姿を消していた。


 建物のドアが勢いよく左右に開かれた。

 外から、水色の制服姿に身を包んだ十代後半くらいの男女が中に雪崩れ込んでくる。

 

 宝玉院という、貴族の子女が通う軍学校がある、と仕事を紹介してくれたギルドの男は言っていた。

 そこで人の上に立つ者としての振る舞いを学び、馬術や剣、学問や晶気の使い方などを訓練するらしい。


 彼らが持つ色とりどりの鮮やかな輝石が、目に眩しい。

 なるほど、とシュオウは彼らを眺めながら思う。

 宝玉という名を冠しているだけあって、生徒達の持つ色彩豊かな輝石は、まさに宝石のように綺麗だった。

 

 貴族の子女達は、引き当てた番号を口々に叫びながら、しばらくの間を共に過ごす事になる者達を探し、合流していく。

 

 「十七、だれか十七の札を持ってる者はいないか」


 喧噪の中、シュオウ達の番号を叫ぶ女の声が聞こえてきた。


 「ここよー!!」


 クモカリが手をあげて大声で返す。

 よく通る野太い声は、がやがやとうるさい場内でも一段とよく響いた。


 やがて、クモカリの送る合図をたよりに、二人の女生徒が姿を現した。

 金髪で眉目の整った女生徒が、クモカリを視界に入れた途端に硬直する。

 目を大きく見開きぼうぜんと立ち尽くす女生徒を見ていると、さきほどの自分もこんなだったのだろうか、と可笑しくなった。


 「ま、まさか、お前達が……」


 クモカリ、シュオウ、ジロの三人はいっせいに十七の番号札を女生徒の前に突きつけた。

 それを見た女生徒が青ざめた表情で項垂れる。

 

 「そんな、こんなのあんまりだッ!!」


 金髪の女生徒が盛大に嘆いた。

 

 もう一人の女生徒は、制服の色とよく似た水色のウェーブがかった髪が特徴的な子で、気怠そうによそを向いて、まるでこちらに関心がない。

 その女生徒が出した最初の一声は、乾いた砂のようにサバサバとしていた。


 「アイセ、うるさい」

 「なんだとッ!? シトリ、お前はこれを見てなんとも思わないのか?」


 シトリと呼ばれた女生徒は、眠たそうな双眸でシュオウ達を一通り見回した。


 「べっつに。どうでもいいじゃん」

 「よくないッ! ―――デカイおかま! カエル! そのうえ顔を隠した根暗男! なんなんだこのサーカス一座です、みたいな面々はッ」


 アイセと呼ばれた金髪の女生徒は、ご丁寧にシュオウ達を一人ずつ指さして率直な感想を述べた。


 なんとなく気持ちはわかるのだが、初対面の小娘に根暗呼ばわりされるのは、あまり愉快な事ではない。


 「まあまあ、決まってしまったことを嘆いていたって仕方ないじゃない? ここは気を取り直して―――」


 クモカリが金髪の女生徒を宥めようと声をかけたが、相手は怒気をはらんだ目を尖らせて、冷たく言葉を言い放った。


 「黙れッ。平民が気安く私に口をきくな」

 「………はいはい、わかりました」


 傲慢な言いようだ。

 最初から相手を見下し、平民だからとそれ以上見る事も考える事もしない。

 どうやら、あの三人の輝士とこの傲慢な女は同種のようだ。

 もう一人の女生徒のほうは、最初から興味なしの態度を貫いている。

 やたらと威張り散らすもう一方と比べれば、こちらのほうが何倍もましだ。


 急に人混みから二人の男子生徒が歩み出て、金髪の女生徒に声をかけた。


 「よう、アイセ。どうやらハズレを引いたみたいだな」


 そう言った男子生徒の声には、からかうような色が含まれている。


 「なんの用だ」


 興奮気味に喚いていた女生徒の声と表情が、不意に硬くなった。


 「成績優秀な我らが首席様、モートレッド伯爵令嬢が引き当てた平民はどんなものかと興味があっただけさ。それにしても―――笑える面子だな。シトリと組まされただけでも不利だっていうのに」


 二人の男子生徒が嘲笑する。


 「……言いたいことはそれだけか?」

 「ふん。僕らが引き当てた連中を見てみろよ。全員が元傭兵団にいた奴らで、今は深界を渡る隊商の護衛で食ってるらしい。規則がなければ、お前のとこのクズと一人交換してやりたいくらいだよ」


 彼らの後ろを見ると、顔や体に無数の傷があるいかにもな男達が、こちらを窺っていた。


 「なるほど、口だけ君のお前達にはお似合いの子守というわけだな」

 「なんだとッ……」

 「私は自身の実力だけでこの試験を突破してみせる。やる気のないパートナーと珍妙な平民達も、きちんと使いこなしてみせてやるさ」

 「ちッ。今言ったことを覚えておけよ。かならず後悔させてやるからな」


 男子生徒は言い終えると、そそくさと元居た場所へ戻っていった。


 「ばっかみたい。ねえ、アイセ、顔は見せたんだしもう行ってもいいでしょ? さっさと寮に戻って休みたいんだけど」


 水色髪の女生徒が、自らの巻き毛に指をからませながら言った。


 「……いいだろう。私ももう用はない。―――お前達は試験に備えて早く寝ろ。明日から死ぬ気で働いてもらうからな」


 女生徒は目もあわせず、投げてよこすようにそう言って去っていった。


 「勝手にまくしたてて、勝手に大騒ぎして、勝手に宣言していったわね」

 「ジロ……あいつら嫌いっぽい。偉そう。まじウザイ」

 「あはッ。初めて良い事言ったじゃない、アタシも同感よ」

 

 からからと他人事のように笑うクモカリとジロを横目で見つつ、シュオウは今更ながらに仕事選びを間違えたのではないかと後悔しはじめていた。




 シュオウ達は兵舎を後にして、三人揃って指定の宿へ向かっていた。


 後ろを見ると、武装した従士が二人、ずっと後をつけてきていた。

 試験を放棄して逃げるのを防止するためなのだろう。

 途中放棄を警戒するのはいいとして、ここまでするところをみると、よほどこの試験への参加者集めに苦労しているのかもしれない。


 宿までの道のりは、簡単な地図を渡されているので迷う事はないが、兵舎からはそれなりに距離があった。


 冷えた空気を運ぶ風が枯れ葉を踊らせる。

 空はどんよりと曇っていて、暗い色の雲を見ていると陰鬱な気分に拍車がかかった。


 「ねえ、ほんとにこっちの道で大丈夫?」


 地図を見ながら、シュオウは近道のために裏道へ入った。

 表通りと違い、入り組んでいて人気のない裏の路地を歩いている。

 土地鑑のないクモカリが心配そうにあたりを見回している。


 「大丈夫だ。こっちの道を通ればかなり時間を短縮できる」

 「そう? まあいいけど。まだ時間には余裕があるんだから、そんなに急いでいく必要もないわよ」

 「人混みも避けられるからな」


 人混みを歩くのは疲れるし、なぜかシュオウには道行く人々の視線が集まりやすく、それも嫌だった。

 クモカリ、ジロと連れだっている今、人通りの多い道を歩いてヒソヒソ話をされるのはごめんだ。


 裏路地の細い道を左へ右へと曲がっていくうち、突然大きく開けた土地に出た。

 

 広大な広場に、規則的に並んだ無数の墓石。

 色の薄い冬の景色と相まって、辺りに漂う寂しげな空気感がより一層強調されている。

 

 しばらく墓地の外側を沿うように歩くと、石の祭壇の前に集まった人々の集団に出くわした。

 その横を通り過ぎようとしたとき、奥の建物から数人の男達によって棺が祭壇の前まで運ばれている光景を目にした。


 「あれは……」

 「お葬式みたいね」


 ――葬式、あれが。


 立ち止まり、様子を窺っていると、集団の中から一人初老の男がこちらへ歩み出てきた。


 「おまえさんがた、故人の知り合いかね?」

 「いえ、違います」

 「そうかい。―――まあこれも縁だ、よかったら返魂儀に立ち会ってくれんかね」

 「ですが、部外者の自分達が……」

 「亡くなった爺さんは人好きだった。送ってくれる人が一人でも多いほうがきっと喜ぶよ」


 横にいたクモカリがシュオウを肘で突いた。


 「どうするの? アタシはかまわないわよ。さっきもいったけど時間は平気だし」

 「ジロはどうだ?」

 「ジロは人間の葬式見たことない。だから微妙に見てみたいっぽい」

 「わかった。―――では、参加させてもらいます」

 

 シュオウ達は葬儀に集まった人々の最後方に立ち、儀式を見守ることにした。

 この場にいる者は、シュオウ達を除いて皆黒い喪服を厳かに着込んでいる。

 普段着で参加した自分達はかなり浮いている気もするが、一番後ろにいるので誰も気にしていない。


 棺が開けられ、中から顔に深い皺を刻んだ老人の遺体が現れた。

 棺を運んできた男達が、かけ声とともに老人の体を持ち上げ、祭壇の上にある磨き上げられた黒石の台座に乗せる。

 血の気の失せた老人の体は、見上げるように天を仰いでいた。

 

 この老人とシュオウは、当然ながらなんの面識もない。

 だがきっと、たくさんの人たちに愛されていたのだとわかる。

 集まった人々の間から、悲痛に漏れてくる嗚咽がそれを証明している気がした。

 

 まだ年若い青年が前へ出て、老人の遺体の右手を胸の上に、左手を台座の上の置いた。

 この黒石の台座は、左手だけを乗せることができるよう、そこだけ出っ張った作りになっている。


 これから返魂儀を行う旨が説明され、老人に向けた最後の言葉が、参列者の中の遺族らしき人達によって読み上げられる。


 死んだ人間の輝石を砕き、天へと返す儀式のことを〈返魂儀〉という。

 輝石はそれを持つすべての生物にとって、ただの石というわけではない。

 輝石には、中心奥深くに存在する〈命核〉という小さな核が内包されている。

 この命核が砕かれたとき、その輝石の持ち主の肉体はサラサラとした砂や灰のように崩れ落ち、雲散する。

 この時に肉体が分解されて出来る粒子を〈光砂〉という。


 輝石の命核は命に直結している。

 それが砕かれる事により、生命は光砂となって天へと返る。

 それがこの世界のあたりまえの現実だった。


 送る言葉が終わる。

 老人の手を台座に乗せた青年が、儀式用の先の尖った鉄槌を手に持ち、祭壇にあがった。

 青年は鉄槌の尖った部分を老人の輝石に当て、そのまま上に大きく振り上げた。

 高く掲げた鉄槌が振り下ろされる。

 鉄槌の先が老人の手の甲に食い込み、輝石が砕ける硬質な音が空気を揺らした。

 輝石の命核を砕かれた老人の遺体は、瞬きをする間もなく発光する粒子に分解され、光砂となって天空へ舞った。

 白く光り輝く光砂の中には、時折、赤や黄などに輝く美しい粒も混じって見える。


 そのあまりに美しく荘厳な眺めに、シュオウは息をするのも忘れて見入っていた。


 数多存在する生物の中でも、人が放つ光砂の光はとくに美しいという。

 愛や喜び、憎しみや悲しみ等の多くの矛盾する感情が混ざり合い、せめぎ合う事で人間という一個の生命を構築している。

 互いに相容れようとはしないそれらの要素が、常に対立を繰り返す事で命の光が磨かれていくのだとしたら、人のそれが美しいことに、なんら疑問を抱く必要はないのだろう。

 

 返魂儀、人間の光砂の輝き。それらの事はいつか読んだ書物に書いてあった。

 だが、実際の自分の目で見たこの光景を、言葉や文字で語り尽くすのは難しい。

 己の目で、肌で感じなければわからない事が、この世界にはたくさんある。

 その事をシュオウは強く想った。


 空に舞い上がった光砂は、やがて雲に溶けるようにしてその姿を消した。


 今、この瞬間までそこにあったはずの老人の遺体は最初からなにもなかったかのように消えてなくなり、黒石の台座の上には砕かれた輝石だけが、老人の生きた証として儚げにそこに在るだけだった。





 「良いお葬式だったわね~」


 墓地を後にして、一行は目的の宿屋に向かい、それほど時間もかからずに到着していた。

 宿はかなり大きく、内装も綺麗で居心地も良い。

 宿の女将によると、今日明日と軍によって貸し切りになっているらしい。

 

 宿の一階部分は食事や酒を楽しめる空間となっており、実際に寝泊まりするのは二階と三階部分に分かれている。

 シュオウ達は二階の奥にある三部屋を与えられた。


 今は一階でテーブルを囲み、注文した食事と飲み物を堪能している真っ最中だ。

 

 「ジロはどうだった?」

 「勉強になったっぽい」


 ジロは魚のバター焼きに舌鼓を打ちつつ、相槌を打った。


 「ふーん、見かけによらず勤勉なのね、このカエル」


 それはそうだろう。

 この白い蛙人は、多少変ではあっても、自分のものとはまったく違う言語をモノにしたのだ。

 それだけで相当な努力家だとわかる。


 外はもう完全に暗くなっている。

 宿の一階は、採用試験の参加者達で溢れていて、酒とご馳走に酔いしれた愉快な笑い声で満ちていた。

 

 出された料理についてクモカリやジロと話をして、部屋に戻ってゆっくりと休める、はずだった。

 だが、さきほどの説明会のときにいた傭兵くずれの男達が、シュオウ達のテーブルの前までやってきたことで空気は一変した。


 「おい、そこの変態。おまえだオカマッ! さっきっからきしょくわるい喋り方しやがって、酒がまずくなるじゃねえか」


 からんできた傭兵くずれの男は目が据わっている。

 いつから飲んでいるのかわからないが、かなり出来上がっているようだった。


 クモカリは男の挑発には一切反応せず、マイペースを決め込んで飲み物をあおった。

 

 「無視よ、無視。ほっとけばそのうちどっか行くから」


 シュオウとジロにだけ聞こえるように、クモカリは囁き声でそう言った。


 「聞こえてんのか、こるぁ! だいたい男のくせに化粧なんてしやがって、気持ち悪いんだよコノヤロウ」


 『気持ち悪いな。しっしっ、あっちいけ』


 傭兵くずれの言葉に誘発されて、脳裏に過去に聞いた言葉が蘇った。


 『なんだこのガキ。飯がまずくなるから顔を見せるな』

 『不気味な子ね、きっとあの顔のせいで捨てられたんだわ』

 『かわいそうにな、顔のソレさえなければもらってくれる人もいたかもしれないのに』

 『客が来なくなるからうちの店には近寄らないでくれ』

 

 孤児だった醜い自分を見る、大人達の視線。

 嫌悪、同情、蔑み、嘲笑。

 それらの色を含んだ眼が、シュオウを見下ろした。


 ――やめろッ、そんな目で俺を見るな!


 「化粧臭い変態にカエルと一緒たぁ、そこの坊主も苦労するなぁ? 同情するぜ。ぶぁははは」


 傭兵くずれが嗤う。


 シュオウは無意識に顔の眼帯に触れていた。この下には、醜く爛れた顔がある。


 「………楽しいか?」

 「あ、なんだって?」

 「ちょっと、シュオウッ」


 クモカリがとめようとしている、だが、無理だ。

 負の感情が脳内をめぐり、自分を抑制できない。


 「ひとと違う外見をしている者が、そんなにおかしいかと聞いたんだ!」


 気がつけば、シュオウは怒鳴っていた。

 周囲の喧噪がぱたりと止み、険悪な雰囲気が漂いはじめる。


 下卑た嗤いを続けていた男の顔が険しくなった。


 「ああ、可笑しいぜ、だから笑ったんだ。それをてめぇみたいな若造にとやかく言われる筋合いはねぇな」


 男がゆっくりシュオウの席まで歩み寄り、手に持っていた酒をゆっくりと、シュオウの頭の上に注いだ。

 アルコール臭漂う液体が、シュオウの髪を濡らし、顔をつたって服まで届く。


 シュオウは椅子を後ろへ飛ばし、テーブルを思い切り強く叩いて立ち上がった。


 「……やろうってのか?」


 互いの視線が交差する。

 だが、場の空気は突然の乱入者達によって一気に冷めた。


 「お前達、なにをしている!」


 騒ぎを聞きつけた軍の従士達が雪崩れ込んでくる。


 「くそッ」


 従士の姿を確認した傭兵くずれの男達は、そそくさと店の奥へ消えていった。


 「アタシ達も上に行くわよ」


 シュオウ達もテーブルに料理を残したまま、二階の自室へ引き上げた。

 割って入った従士達には顔も見られているが、何も追及はされなかった。

 彼らにしてみれば、騒ぎを静められればあとのことはどうでもいいのだろう。

 

 二階へ上がったシュオウ達三人は、とりあえず一番近いクモカリの部屋に入った。


 「あーもう、びしょびしょじゃない」


 部屋に入ったシュオウは、クモカリに強引にタオルで頭を拭かれていた。

 頭から酒をかぶったせいで、髪から苦いような甘いような気持ち悪い匂いがする。


 「もういい。自分で出来る」


 タオルを奪おうとするが、クモカリは譲らなかった。


 「いいから、まかせておきなさいって。アタシ達のために怒ってくれたんだし、このくらいはさせてよね」


 ――違う。


 シュオウは奥歯を噛みしめた。

 あれは仲間のために怒ったのではなく、すべて自分のためだった。

 過去のいまわしい記憶をさらって、その鬱憤を外へぶちまけただけだ。


 「ねぇ、その顔につけてるのも取っちゃいなさいよ。それも濡れてるじゃない―――」


 クモカリがシュオウ顔に手を伸ばす。が、シュオウはその手を思い切り払いのけてしまった。


 「え……」


 手を叩く乾いた音がして、気まずい空気が流れた。


 「…………すまない。後のことは自分でやる」


 シュオウは引き留める声を無視して部屋を飛び出した。

 そのまま自分の部屋に入り、髪や服を濡らしたままベッドに体を沈めた。


 体は鉄塊のように重く、指一本動かしたくない。何も考えたくない。

 深界の森の中を一日中歩いても、これだけの疲労を感じたことはなかった。

 

 そのままシュオウは飲み込まれるように眠った


 ムラクモに到着してから二日目の夜は、こうして終わった。




           ◇       ◆   ◇  ◇   ◆       ◇




 翌朝、早朝から叩き起こされて、試験参加者達は街の西門を出てしばらく山を下った集合地点まで歩かされた。

 朝の新鮮な空気も、寝不足でふらふらとする体にはなにも恩恵がない。


 山から平地へとかわる寸前、そこがスタート地点らしい。

 目の前に広がる深界の森には、何本かの細い白道が見えた。

 

 「シュオウ、あれ見て」


 クモカリに促されたほうを見る。

 そこには、昨日の傭兵くずれ達の小隊があった。

 彼らもこちらに気づき、威嚇するように睨む視線を送ってくる。

 立たされた位置がシュオウ達と近いところをみると、もしかすると同じ白道を行かされるのかもしれない。




 また、面倒なことが起こりそうな予感がする。

 

 シュオウは誰にも聞かれないように、小さく嘆息をもらした。

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小説の表紙
― 新着の感想 ―
[気になる点] このオカマやカエルもさっきのろくでなしに最低限の武器以外取られたのだろうか? そんなタマには見えないが
[気になる点] 命核を砕かれると肉体が壊れる… 生きてる間もそうなのかな?だったら左手を切り落とされたりしたらどうなるんだろう
[一言] 弱点晒しながら戦うのか?
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