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第6話|返却棚の光
開館前の館内は静かだった。
自動ドアの向こうに朝の光が広がっている。
外気温は12.9℃。
館内は20.4℃。
湿度は51%。
返却棚の本を台車に移す。
背表紙の番号を順に確認する。
並びは崩れていない。
端末を開く。
返却処理の一覧が表示される。
時刻と利用番号が並んでいる。
未処理は12件。
前日との差は0.008。
記録する。
窓際の席に光が伸びている。
太陽の角度が高くなっている。
机の端だけが白く反射している。
一冊だけ、棚の位置がずれている。
番号を見直し、戻す。
読み取り音が短く鳴る。
更新。
保存。
紙に触れた指先が少し乾いている。
空調の風は弱い。
返却口の蓋が開く音がする。
次の本が落ちる。
時刻は8時43分。
開館まであと少しある。
棚は静かだ。
番号だけが並び直されていく。




