ゲーム
「やべぇ、楽しい」
元創造最強魔法使いで、元三十歳の男が、小さなゲーム機で『神の頂』というRPGをして狂喜乱舞していた。
「こんな小さくても、魔王と戦った時以上に面白いぜ。特に、レベルを上げるなんてよくそんな発想が。」
彼は思った。
(あの二つしか種類がない魔法に、治癒魔法や攻撃魔法、属性魔法があったり、レベルシステムがあったりしたらなぁ。)
基本的に、あちらの世界では、生まれた瞬間に、破壊か、創造かのどちらかを決められ、素質も決められる。
素質というのは、練習した時に到達しうる上限で、どれだけ手練な魔法使いでも、練習しなければ意味がない。
そして、彼は素質が異常に高かったのだ。ただ、成長はあまり早い方ではなかった。
成長の遅さで、結構名の馳せた魔法使いだった父には失望された。
ただ、彼は努力したのだった。
*
「あぁ、ゲーム面白え。『神の頂』面白え。」
先ほどと似た言葉が繰り返される。
彼は、完全に集中していた。
過去にやったことはあるが、記憶としてではなく、遊んでいる現在が楽しいのだ。
そんな時だった。
「ひかるー。そろそろ寝なさいよ。もう11時よ。」
という声が聞こえたが、ひかるは全く気が付かずに、ゲームに熱中していた。
「よっしゃぁ。ついにクリアだぜえ。」
心の中でガッツポーズ。
その時。
どたどたという足音がして、バンッっとドアが開けられた。
「なんだ-「早く寝ましょうね???」」
その母の笑顔は、綺麗すぎて奇妙だった。
その後、みっちり説教された。
ひかるは思った。
(魔法が使えたらなぁ。元最強創造魔法使いなのに…)
ただ、それを妙に感のいい母は見抜いて、
「あら、逆らうことは考えない方がいいわよお?」
と、さらにみっちりと説教された。
ひかるは思った。
(絶対、11時を超えたらゲームをするのはやめよう。)
と。
その後、ゲームの『終わる』を押していなくて、泣いた。
しくしく。




