ひかる
俺は、走り去る魔物を、不思議そうに見つめていた。
一体、なんだったのだろうか。
そして、俺は地面に捨てられた黒い魔道具に視線を合わせる。
...どうしようか。
俺は、結局、その魔道具を妙に筋力がない右手で持って、探検を再開した。
*
そして、何分か歩いた頃。
ようやく、この場所にはあの魔物が実用化されているということがわかった。
そして、柵の向こう側はその魔物が走る場所だということに。
そして、白と黒の場所は、唯一渡っていいということに。
…ここはどこなのだろうか。
こんな魔物が実用化されているなら、絶対に俺の耳に入るはずだ。
ここは、本当にどこなのだろうか?
知りたい。
俺はその一心で、さらに探索をする。
その時、
「あれ、ひかるじゃん。」
と言う声が聞こえた。
後ろに振り返ると、十四歳ほどの少年がいた。
ひかるとは誰のことだろうか。
俺は、後ろを振り返り、ひかり、と言う人物を探す。
その人物は、後ろで、
「ひかる、今日もジョークさえてるねぇ。笑。」
とあきらかに俺に向けて話しかけてきた。
俺はお前など知らない。
お前は誰だ?
ただ、その時気がついた。
この、右手に持っている魔道具が、映し出した俺の姿が、この14ぐらいの少年の知っている人なのか。
俺は、他に行くあてもなかったので、黙ってその人についていった。
*
き、気まずい。
彼は常に、「急がないと遅刻するぞ。笑」とか、「あのゲーム傑作だったよね笑」と話しかけてくるが、人と話したことがほぼ、全くと言っていいほどない俺では、話が続かない。
というか、ゲームってなんなのだ。
俺が黙っていると、彼は、人の良さそうな笑みを浮かべて、
「着いたぞ。危ねえ。あと5分で遅刻だったぜ。笑」
と笑いかけた。
そして、俺は彼についていくことに徐々に罪悪感を抱き始めた。
この、ひかるという体は、どれほどこの人物と親しいのだろう。
おれが、このひかるという体の努力を、奪ってしまっていいのか。
ひかるは、実際にはどこかにいて、この目の前にいる笑みを浮かべている少年を、探しているのではないか。
そんなことを考えているうちに、
「おい。何してるんだ。早くしないと遅刻するぞ。」
とせかされた。
俺は、複雑な感情さながら、とても大きい、俺の場所では見たこともないような建物の階段を登っていった。
俺が魔法を使えるかはまだわからなかった。




