襲撃
目の前には、土恋美玖がいた。
「え、なんで...」
気づけば、そう口にしていた。
彼女が、確実に男を倒すように、タックルしたからだ。
彼女は、驚くほどの手際で、男からナイフを奪い、そのまま首筋に押し当てる。
「動かないで。」
そう言うのが聞こえた。
彼女がその男を押さえつけている間に、騒ぎを聞きつけた大人たちが駆けつけてきた。
気づけば、生徒たちはポカンとしたように、彼女を見つめていた。
そこからは、事態は収集に向かっていった。
狂気的な目を血走らせていた男は、殺人未遂、不法侵入、器物破損などの罪で逮捕された。
どうやら、そんなことは記憶にないと、無実を主張しているらしい。
ただ、証拠がありすぎていて、それは通りそうになかった。
薬物なども検出されなかったからだ。
いろいろと引っ掛かりがある事件だった。
校長先生は、電話の対応に追われていた。
すごくぐちぐち言うクレーマーで、校長先生に名指しでクレームを言いまくったらしい。
それは、電話の受理記録から裏がとれている。
そのクレーマーの身元はとれていなかった。
*
取り調べが終わった後、俺は両親のもとーーへ向かう前に、土恋さんのもとへ向かった。
彼女がいなければ、死人が学校の生徒に出ていたかもということで、学校から莫大な賠償金が支払われたらしい。もちろん、全生徒もらっているが。
ただ、今回の事件は学校は悪くないと思った。
今回悪いのは、ズバリーー
山田先生だ。
そんなことを思いながら、彼女のもとへと向かっていく。
「ねぇ、なんで俺を助けたの?」
俺は、鋭く、彼女に聞く。
「それはね...私が合気道と空手を習っていて、ただ助けられると思ったからだよ?」
俺の目をしっかり見て、妖艶にほほ笑むと、彼女は去っていった。
ひかるは、想い人の後姿を見ながら、思った。
(いや、土恋さん!?流石にそれは無理があるよ!?合気道と空手を習うだけであれだけ手際よくナイフを奪えるかな!?)
もちろん、そんなことはひかるは口に出さなかった。
彼女がナイフを奪って首筋にあてる方法が、師匠と全く同じだったとしても。
心臓は、まだ高鳴っていた。




