延期
そして、学年全員百メートル走が終わった。
結果は、B組が勝利した。
雲行きは完璧に悪くなっており、いつ雨が降るか分からない。
片付けが終わったあと、十分ほど経って、決断されたようだ。
ふいに、校長先生の声で放送が校庭に鳴り響く。
「えー、誠に遺憾ですが、本日は雨行きが怪しいため、中止とさせていただきます。ただ、それではまだ逆転の可能性はあるので、フェアではないと思いましたので、来週の同じ曜日、もし晴れていたら、この学年でミニ体育祭を行わせていただきます。」
そこから、各自から、えー、という声が出るが、流石にこの今にもふり出しそうな黒い雲で行うのはないだろう、とひかるは思っていた。
ひかるは、少し残念に思ったが、まぁ来週できるならいいか、と思った。
そして、ひかるは玄関口に、他の人が溢れかえって混雑する前にさっさと行く。
そして、玄関口に一直線に向かうと同時に、ひかるは土恋さんの隣で小さくつぶやく。
「師匠。」
と。
土恋さんは、気づいた様子はない。
ただ、師匠なら、絶対に聞き逃さないはずがない。
そして、合理主義の師匠なら、自分が転生しているという事実から、俺の転生の可能性も疑うだろう。
俺が唯一の一番弟子なのだから。
それで、もし忘れていたとしたら、笑うしかないだろう。
そうして、俺は、密かに願いながら中学を去っていった。
*
後日。
いつも通り、祐介とともに2-Aの教室で別れ、土恋さんの三つ左の窓際の席に座る。
そして、彼女が何かメッセージを送るかを横目でチラッと見ているが、いつも通り、女友達と楽しそうに話しているだけだった。
俺は、その思い人の楽しそうな様子を見ながら、果たして俺は合っていたのだろうか、と自虐の念に陥るのだった。
「よぉわわわあわぉお。」
いつも通り、山田先生が、名前はたかしで平凡なのに、平凡じゃない行いで、あくびをしながら、一分遅れて登校してきた。
ひかるは思った。
(よく教師免許とれたね!?)
ただ、その日常さえも、確信が外れたひかるにとっては嬉しかった。
ただ、思考は別のところにむかっていく。
ーー彼女が、あれだけの走力や反発力、反応力などおそらく14だとは思えない行動を、どうやって身に着けたのかを考えていた。




