体育祭前
『走れ治癒魔法』さんと遊んだあと。
ついに、体育祭が一ヶ月後となった。
まぁ、ついに、というより、知ってたんだけど。
日本に転生してから、記憶にはあるけど、実質初めての体育祭だ。
記憶では眺めることしかできなかった土恋さんに、アピールするチャンス。
...そういえば、なぜ土恋さんを俺は好きになったのだろうか。
やはり、俺は高光ひかるでもあるのだ。
...ただ、好きになったきっかけがわからない。
記憶をいくら探しても、『好き』になったきっかけはどこにも見つからなかった。
思えば、必死に受験して、入学式で、彼女を主席で見たときぐらいから想っていた気がする。
ただ、とても曖昧だった。
奇妙だ。
そう思った。
その時、目の前の祐介が、怪訝そうな目で、俺の目を覗き込んでくる。
「どうした、ひかる?」
「いや、なんでもない。それよりも、体育祭まで後一ヶ月だ。楽しみだな。敵だけど。」
「そうだな。笑。」
そして、俺達は、敵として、一ヶ月後の体育祭に向けて準備をすることになったのだった。
*
「えーっと、じゃあそういうことでいいかな?」
そして、俺の教室のボサボサの髪の中年教師は、学級委員の、土恋さんに語りかけた。
「はい、それでいいです。」
俺は、明らかに『好き』な、土恋さんを見つめて頬杖をつきながら、なぜ彼女を好きになったのかに思いを馳せていた。
決まったことは、俺はクラス選抜リレーに出ることと、障害物競争にも出ること。
そして、クラス選抜リレーには、土恋さんも出ることになった。
相変わらず、一緒に出れることにドキドキし、自分の足の早さに感謝して、とても嬉しかったが、元最強の世界のすべてを知りたかった創造魔法使いには、これが本当に『恋』なのかがわからなかった。
「えー、それでは、応援旗を作る係を決めていきます。まずはーーー」
*
そして、それから一ヶ月は何事もなく経過し。
ついに、明日が体育祭の日となったのだった。
父と母は、仕事の都合で来れなかったので、
「「ひかる、頑張って。」」
という見送りに送られて、中学校に行くのだった。




