マルチプレイ機能
その後。
ひかるは大急ぎで家に帰った。
校長先生の説教が長すぎて、死ぬ。
なんで一時間目から放課後まで説教できるん?
昼も、なんで食べていいんだよ。
食べながら説教聞いていいって頭おかしい。
というか、途中からやはり校長先生の『神の頂』自慢になってるし。
そして、急いで夕食を食べ、母に今日はお風呂いかないと断ってから、『神の頂』にログインした。
そして、順位が百位以内のアカウントにしか許されていない、『ダイレクトメッセージ』機能を使って、早速『走れ治癒魔法』さんにDMを送る。
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拝啓 『走れ治癒魔法』さんへ
突然で申し訳ありませんが、一緒に『神の頂』をプレイしてペアのランキングに挑戦しませんか?
『Light』より
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み、短すぎる。
あちらの世界では、手紙を書くことなんて、実の親に書いた一度きりだ。
それも、故郷の同盟国をぶっ壊したときに。
その後、なぜか絶縁された。
なぜだろうか。
ただ、ひかるの記憶でも、手紙を書いた記憶が全くない。
林間学校に行ったとき、一度先生に言われて家族に手紙を書いただけだ。
もう、わからない。
これでいいや。
『送信』ボタンをぽちっ。とクリックする。
ふぅ。
さて、戦闘モードーーRPGとは関係なく、ただ戦闘をするだけのモードーーをプレイして暇つぶしをするか。
実は、戦闘モードは、意外と奥が深いのだ。
はじめに装備を決めて、ボスを倒す。
その時、タイムは全く関係なくどれだけ弱い装備でボスを倒せるか、が重要なのだ。
そのランキングで、一位が『えんまレモン』さんで、なんと『鉄のこん棒』と『革の胸当て』だけでクリアしている。
リプレイをみると、何度見てもスカッとする爽快プレイだ。
というわけで、俺は鉄のこん棒だけでプレイしてみた。
ただ、装備なしだと確定でクリティカルを入れられ、ワンパンされる。
そのために、ボスのいる部屋まで、俺の脳をフルに活用して、すべての敵がどう動いているかを、シュミレートする。
そして、目を閉じて、手だけを動かす。
少しでもミスったら、一発でK.O.だ。
もちろん、俺が。
集中。
*
そして、気づいたら、敵を一匹も倒さずに、三十分間、すれすれのすれすれのところを、よけまくってよけまくって、ボス部屋の前に到達していた。
実は、ひかるの記憶が、戦闘モードをプレイさせ、元最強の創造魔法使いの頭脳を借りているのだが、『ひかるは俺、俺は俺』というジャイ〇ン思考なので、利用されようが俺が俺を利用するのは関係なかった。
そして、ボス部屋のドアを開ける。
リアルに、まるで実際にいるように、ギーっといやな音がする。
そして、迎え撃つのは厄災の邪神。『神の頂』RPG本編のラスボスだ。
それを、初期の初期装備で倒そうと言うのでたかが知れている。
ただ、ひかるは、元最強創造魔法使いは、ただの人間ではなかった。
集中。
*
結果。
ヒット&アウェイ戦法を続けることで、蚊に刺されたようなダメージを重ね続けた。
三時間。
こん棒で叩いて、敵のモーションを待って、叩いて、と永遠に繰り返す。
一回でもかすったら、すぐに死ぬ。
常人なら頭がおかしくなるが、異常魔法使いにとっては、三時間ずっと動かずに、観察することもザラにあった。
そして、異常な集中力で、鉄のこん棒だけで戦闘モードを制覇したのだった。
「ふぅ。」
額を腕で拭った。
ただ、その顔は全く疲れていなさそうだった。




