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第3話 これがいつもの日常③

 喫茶店とあなどるなかれ、と陸音さんはちょいちょい言うんだよね?


 けど、その意味にあたしは『自炊壊滅兵器』のあだ名がつくくらいなので……よぉくよくわかっておりますとも。


 飲食店、つまりはご飯や飲み物を出すお店。


 飲食業、つまり、それらを作る側!


 ある程度の汚れが服につくのもしょうがない。つまり、ベテランさんでもそれは同じということ! おしゃれはしたいけど、汚れが大敵!!


 な・の・で! 服のサイズはどーしようもないけど。店長さんらしい服装をってことであたしが選んだりしている。これには、暇以外にも仕事に関与しているので、実は重要。



「陸音さぁん、色の気分はぁ?」

「ん〜……赤系の汚れ多いから、青はパス」

「おーけーおーけー。コーヒーのシミは今更だけど、茶系はぁ? このマーブリング模様だったら、色混じっても最初は気にしなくていいし!」

「お、いいな。袖なしもイイし、それ一枚。他も二、三枚だったら似たのがイイなぁ」

「なるほど。マーブリングが気に入る傾向は、今の時代でもループしてきた……と」



 服装のコーディネートをある程度自由にしてもらうことで、あたしは普段の給金分の仕事に必要なデザイン案を作成している。陸音さんのご利益は方向性違うけど、なんだかんだで縁つなぎしてもらっているからあるかもしれない。


 このデザイン案で、ちょっと凝ったモノは綺洞さんとの仕事で使う方が多い。綺洞さんは、日常生活の大恩人だからね?



「はいはぁい、こんな感じでぇす」



 仕事着用のシャツを選んだあとに、その綺洞さんがメインの服を持ってきてくれてた。ヘナアート模様の柄に、下はスタイリッシュな青系の生地。


 形はアロハシャツぽいけど、依頼した陸音さんの使用目的は!



「お。いいな? キッチンカーイベントで着てりゃ、派手に目立つ!」

「うちの宣伝にもなりますからねぇ? 中はシンプルに白のシャツかタンクトップでいいんじゃないです〜?」

「……モテねぇか?」

「今回は宣伝のために、外見はモテてくださいー」



 陸音さんには、ぞっこんの彼女さんがいるので下手にモテれないのは裏山けしからん! けど、その彼女さんのおかげで、普段は喫茶店営業出来てるから文句言えないもんねー?



「しっかし! このヘナアート……文字って言われているだけあって、センスがいい! 下手に交差してないのがいいな?」

「そこはあたしと!」

「染め師のボクとの共同作業ですからぁ」



 仕事は本気だけど、適度に稼ぐのがイイ。


 それがあたしと、綺洞さんとの共通点と言っていい。変に有名になって、気軽にご飯いけなくなるのが嫌だもん!



「んー?」



 ただ、陸音さんの特徴的なドレッドヘアを見て、なんかインスピみたいな閃きが!!


 モコモコした黒い何か。それを整えようと、頭が動いていく……この感覚は大事にしなくてはいかん!!



「あ、那湖ちゃん??」

「七時のご飯までは! 仕上げますから!!」

「がんばれぇ」



 陸音さんには、ひらひら手を振ってもらった気がするが! 


 今は、頭にある閃きを失いたくない!! もこもこをある程度、形にしないと今日が終わっちゃう!! ご飯は活力! そこ大事!!



「……若い、ですね」

「混じりもんの人間でも、まだ二十代は若いからなあ?」



 後ろでそんなこと聞こえたけど、徒歩二分のアパートに帰宅してからは突進攻撃並みに、久しぶりに『仕事』へ打ち込んだと思う! 短時間でも正確に、パソコンとかの端末じゃなくて手作業で! 紙にどんどん起こしたその出来栄えは!!



「出来た!! ドレッドヘアのもこもこと、キウイを掛け合わせた『ねこキャラ』!!」



 ゆるっと、ほわっとした動物を模したキャラクターが人気の今!


 女性目線で少しは目につくか!! 流石に、仕上げはスキャナーで取り込んでから細かい汚れと色のパターンはいくつか組み合わせて。


 ボツになってもいいが、今この達成感を大事にしたい!! 


 念のために、ご飯のときに綺洞さんのとこにもデータで見せたら……吐くくらいむせちゃって、ご飯台無しぃ。


 それくらい、デザイン案のきっかけがお得意さんの髪型由来がツボってしまったのだろうか?


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