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第1話 これがいつもの日常①

新作ですー

 朝起きる。


 寝起きには白湯がいいとか、ネットか何かで一応聞きかじったから飲んでみる。味がしないから、コーヒーか紅茶でもいいか調べ直そう。緑茶でもいいかもしれない。


 服は適当に着替えて、パジャマは洗濯カゴに放り投げてみる。一応落ちなかったから、今日はちょっといい日かもしれない。あとは朝ごはんを食べに、モーニングもある喫茶店に向かうまで。


 だって、あたしは壊滅的に炊事ができない。お湯を沸かすのが、両親に奇跡と言われるぐらいにダメダメ。だから、バイトも飲食系は一度もしたことないんだよねぇ?



「あ。那湖(なこ)ちゃん」

「おはようございます。綺洞(きど)さん……またもつれていません?」

「そうなんだよねぇ……」



 妖怪の一反木綿の、綺洞さん。人間風の姿は耳がちょっとエルフっぽい以外はオシャレさんな男の人。けど、本性(?)に戻ると、布の妖怪だと言うことで……何故かそこかしこ絡まってしまっちゃうオチがある。今日は電柱だ。


 何故、わざわざそっちの姿に戻るのがわかんない。面白いからいいけど。



「今日もほどきます?」

「お願い、しますぅ……」



 語尾が少しのびるとこが可愛い。布だから、可愛いも何もないけど。でも、人間風の姿でちょっとだけタトゥーしてるから尾っぽにそのデザインが浮き出てるのは可愛いかな??


 とりあえず、解放してあげないと大変大変。くるくると上から順に外していけば、布本体がするすると電柱から取れていくのは面白いが。


 ほどけたとこから、人間風の姿に変身していくのも面白いなあ。


 インド綿の派手な柄の生地でできたシャツが似合う、綺洞さんの仕事は古着屋さん。私も、このあたりに引っ越ししてきた時にお邪魔してから、時々買うのよね。



「なんで、今日はここに?」

「んー? 暑いから、涼もうと戻ったら」

「飛んだ途端、巻きついた?」

「さすが、那湖ちゃん。ご明察〜」

「いつものことですね。さあ、モーニングがあたしを待っているー」

「ボクも待っているー。ね、今日もシェアしよう」

「いいっすね。賛成賛成! 小倉バターもシェアしましょう。バタートーストも捨てがたい」

「よぉし、行こ〜」



 人間、妖怪、神様が入り乱れの日常。


 それはいつの時代から『普通』だなんて、あたしも誰も知らない。当たり前にそこに居て、挨拶していっしょに話す。それでいいじゃないかと思うのも、たぶんあたしだけじゃない。


 誰も悪さとかもしてないのに、否定するのがおかしいものだ。もちろん、犯罪がゼロだなんてないわけじゃないけれど。



「オレンジジュースにしますー?」

「うーん。たまには、ミルクたっぷりのカフェオレにしようかなあ?」

「苦いのダメですかー」

「ダメだねぇ〜。舌がビリビリしちゃうし」

「強要しても意味ないですしねぇ」



 ひとつの日常があるわけがない。


 違う日常が交わる……なーんて、詩人めいた言葉を考えても、これが普通だって言うしかないもん。



「よぉ。いらっしゃい」



 だから、神様がお店の店長さんしててもなーんにも普通。見た目は、ドレッドヘアしてるけど、日本の神様だって言うから一応信じてる。


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