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電子書籍配信中・婚約者に蔑ろにされた私は、隣国の皇太子に溺愛される・完結  作者: まほりろ


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7話「知らなかったんだ!」ライアン視点



「彼女は家族と一緒に炭鉱に送られ、死ぬまで強制労働させられます。

 平民が貴族に楯突いたらどうなるのか、見せしめのためにね」


「そんな……」


ミリアだけでなく家族まで炭鉱に送られ、強制労働させられるなんて。


「何を辛そうな表情をしているの?

 彼らを不幸にしたのは他でもないあなたです。

 あなたが中途半端な理想を掲げ、彼らを生徒会に入れなければ、彼らは今日も平穏に学園生活を送れていたのよ」


「ぐっ……!」


「それより、あなたは自分の心配をしなさい。

 学園に通う上位貴族の親はあなたを支持しないわよ」


「そのことなら心配いりません母上。

 多少僕の派閥から人が減っても僕の地位はゆるぎません。

 僕は第一王子なのですから」


「そうね。

 今まであなたはソフィーナの婚約者でしたから、多少の無茶なことをしても貴族はあなたを見捨てませんでした。

 ですがこれからはそうはいきませんよ。

 あなたとソフィーナの婚約は、先週解消されたのですから」


「はっ?

 どうしてですか!?

 なぜソフィーナとの婚約を解消したのですか?! 

 いくらソフィーナが放課後まっすぐ家に帰って遊んでばかりいたとしても、彼女の有責で婚約を解消するほどのことではないでしょう?

 母上はそんなことで公爵令嬢であるソフィーナを切り捨てたのですか?

 なんて愚かな!」


「愚か者はあなたですライアン。

 婚約はあなたの有責で解消されました」


「えっ……?」


僕の有責で婚約が解消された?


冗談だろ??


「ソフィーナは放課後遊んでいたのではなく、毎日学校が終わったあと登城して、王子妃教育を受け、王子妃の仕事と、あなたの代わりに王子の仕事もこなしていたのです」


「えっ?」


ソフィーナは毎日学校が終わったあと登城して、王子妃教育を受けていた?


王子妃の仕事をこなし、僕の代わりに王子の仕事もこなしていた?


「そんな話、初耳です!」


「一年前あなたが生徒会会長に選ばれたとき、ソフィーナに『生徒会の仕事に集中したい』と言ったのを忘れたのですか?

 あなたが今まで生徒会の仕事に集中できたのは、ソフィーナがあなたの代わりに仕事をこなしていたからですよ」


「そんな……」


母上に王子の仕事をしろと言われたとき、どこからその仕事が降って湧いたのかと疑問だったが、今まではソフィーナが僕の代わりに仕事をしていてくれたんだな。


それを僕は彼女は真っ直ぐ家に帰り、遊んでばかりいると勘違いして……。


「ソフィーナとの婚約が解消されたことで、あなたが王太子になる道は潰えました」


「待ってください!

 なぜそんなことに?!

 この間まで僕が王太子になるのは確定だったはず!

 帝国の特使様も僕を気にかけてくださいました!

 ソフィーナとの婚約を解消しても、ソフィーナの代わりになる上位貴族の娘と婚約すれば……!」


「ソフィーナの代わり? 

 ソフィーナの代わりになる娘などこの国にはいませんよ」


「えっ?」


「ソフィーナは筆頭公爵の娘で、帝国の前皇帝の孫娘、現皇帝の姪に当たります」


「はっ?!」


ソフィーナが帝国の前皇帝の孫娘で、現皇帝の姪……??


「わたくしがアーレント公爵に頼み込んで、

『ソフィーナがライアンを嫌いになったらいつでも婚約破棄できる』という条件付きで、ソフィーナにあなたの婚約者になってもらったのです。

 帝国の特使様があなたを気にかけてくださったのも、あなたが皇帝の姪の婚約者だったからです。

 あなた自身に価値があったからでは有りません」


「母上はこの国の第一王子である僕より、ソフィーナの立場の方が上だとおっしゃるのですか!?」


「事実あなたよりソフィーナの身分の方が上です。

 彼女の母親は帝国の皇女。

 ソフィーナは帝国の皇位継承権を持っています」


「ふぇっ?!」


ソフィーナが帝国の皇位継承権を持っているだって??


「あなたも知っているでしょう?

 我が国はエアハルト帝国の属国。

 王太子を決める権限は帝国の皇帝にあるのです」


「それは……」


「この国の王族が全員殺されたとしても、皇帝は姪を蔑ろにしたあなただけは王太子にしないでしょう。

 あなたはソフィーナに媚を売って売って売りまくって、ソフィーナをおだてておだてておだてまくって、これ以上ないくらいソフィーナをちやほやちやほやちやほやちやほやしまくって、ソフィーナのご機嫌を取り続けなければならなかったのです!

 それなのにあなたはソフィーナを「枯葉姫」だの「地味令嬢」だのと言って罵り、彼女との約束をすっぽかし、挙げ句の果てに平民の女と浮気していたなんて……!」


「母上、僕はソフィーナが帝国の皇位継承権を持っていることを知らなかったのです!

 だから……!」


「知らないはずがありません!

 あなたにはソフィーナと婚約するときにしっかりと教えました!」


そういえば……十歳のとき母上からそんなことを言われたような気がする……。


僕はそのことをぼんやりと思い出した。


「『生徒会会長として学園の改革を志すライアン様の手助けをしたいのです』

 一年前にソフィーナにそう言われたので、あなたが生徒会に下位貴族と平民を入れることを許可しました。

 ですがそれは間違いでした。

 生徒会のメンバーにおだてられ、ソフィーナを蔑ろにするとは……」


「ソフィーナはどこですか!

 彼女に会って話がしたい!

 ソフィーナは僕に惚れています!

 僕が謝ればきっと許してくれます!

 ソフィーナに会わせてください!」


「朱色のシュミーズドレス、真紅のフレンチ・ジャケット、洋紅色(ようこうしょく)布張りのフォーマルハット、真朱(しんしゅ)のベルト式のハイヒール。  

 ブリリアントカットのダイヤモンドのイミテーションのイヤリングとネックレス。

 茶色いインクの硝子ペン。

 これらの物に心当たりはありませんか?」


母が何を言いたいのか、僕にはさっぱり分からなかった。



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