2話 寝る子は育つ
ふぎゃあ、ふぎゃあ...
どこからか赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。
翔一は凄まじい眠気に抗いながらも、無理やり瞳をこじ開けて辺りを見渡した。
寝起きで視界がぼやぼやとしているため見にくいが、翔一は見覚えのない部屋に自身が寝かされていることに気づいた。
(?どこだここ...寝てる間に部屋変わったのか?)
ガラリとその様相を変えた部屋に翔一は小首をかしげながら考えたが、まあとりあえずナースコールでも、なんて枕元のスイッチを探すために起き上がろうとした。
そこで初めて、翔一は自分の体が上手く動かせなくなっていることに気づいた。ぎこちなくだが、なんとか動く手足をじたばたと動かすと、翔一の視界に小さな手が映る。
その瞬間、翔一は小さな小さな赤子の手が紛れもなく自身のものだ、と否応なしに理解した。
というより、させられた。
一瞬、時が止まる。
よくよく聞けば、先程から聞こえる赤子の泣き声も自身の口からこぼれ落ちていることに翔一は気づいた。
(_お、俺赤ちゃんになってるぅぅぅ!?)
赤ん坊の先程以上に大きな泣き声が部屋中に響き渡るのを聞きながら、翔一の意識はブラックアウトしていった。