異世界最強決定戦 ~青の勇者と黄色の魔王~
熱気を帯びた風が吹きつける草原で、魔王軍と勇者軍が対峙していた。
「勇者よ。貴様らは今日ここで負ける。無様にな」
魔王がつぶやく。
「今日ここに倒れるのはお前の方だ。俺たちの強い絆の力で打ち破ってみせる!」
勇者が叫ぶ。
「勝手にほざけ勇者。我ら魔王軍は世界最強だ」
ピィッ!! ――開戦の合図が辺りに響き渡る。
「魔王の力を思い知れ!」
戦闘開始早々、魔王の右足から弾が放たれる。しかし勇者はそれを体で受け止める。
「こんな攻撃、効かないぜ!」
勇者は受け止めた弾を横へはじく。そこへ飛び出してきた勇者軍の戦士オーセが、弾を空中で勢いよく蹴る。
「ハアッ!」
魔王の精鋭の一人ベルナルドが弾を奪い返し前線へ蹴りこむ。そこには魔王軍のルーカスが走りこんでいた。
「させるかっ!」
勇者軍のセンガがルーカスに体当たりする。
ピィィ!! ――笛の音が響き渡り、魔王軍が勇者軍へ抗議する。
「今のは反則であろう」
「いや、センガの足は弾に当たっていた」
二人を仲裁するように割り込んできた男が黄色の札を高く掲げる。フリーキックだ。
魔王軍のキッカー、十番のダニエウがボールを蹴る。ファーに流れて、そこに飛び込んできた九番ルーカスーー!! シュート! キーパーパンチング! 助かりました。
「いやー、解説のセルヒオさん。勇者軍の対応はどうでしたか?」
「はい。ルーカスの飛び出しからのシュート、キーパー田口よく触りましたね」
「なるほど。魔王軍のスローインから再開、ダニエウ……っと、ここで勇者軍ボールを奪います。中川から大瀬、右サイド黒沢、勇者ジャポンがボールを回します。前線へのパスは、カット。ブラギルの三番ペドロ、よく見ています」
「ブラギルは、やはり魔王と呼ばれるだけあって強いですねー」
「ペドロがロングボールを蹴っていきます。ルーカスに……繋がった! 黒沢の対応、かわされたっ、ルーカスの、速いボール! ゴール前……ロレンゾだあああ!!! 決められた!! 勇者ジャポン、早くも失点!」
「いやー! ロレンゾの動き出し、見事でしたね」
「あの……セルヒオさん。作者は一体何がしたかったんでしょうか」
「わかりません」
「オチはあるんですか?」
「オチはありませんよ」