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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 確かに私いきなり皆への態度が変わったものね。

 リズさんの洗脳が解けたヘンリお兄様なら私が何か企んでいるっていうのはバレるわよね。

 洗脳って言い方は失礼だけど。

 それに理想もある程度は必要だもの。リズさんの考えも間違ってはいないのよね。

「それと、あの少年は誰だ?」

 ヘンリお兄様が続けて私に質問した。

 あの少年ってジルの事よね?

 今まで誰もジルの事を聞いて来なかったから不思議に思っていたのよ。

 でも、ジルの事は秘密にしておいた方が良いわよね……。

「彼は私の助手ですわ」

「俺が聞きたいのはそういう事じゃない」

「知っていますわ」

 ヘンリお兄様が大きくため息をついた。

 私が秘密にしている事はどれだけ聞いても絶対に教えてくれないって分かっているものね。

 流石私のお兄様、諦めが早くて助かりますわ。

「それに企んでいる事なんて一つもありませんわ」

 私は微笑んでそう言った。

 多分ヘンリお兄様にはこれは嘘だってバレているわよね。

「それも教えてくれないのか」

 不服そうな顔をしながらヘンリお兄様は私を見る。

 だって、秘密なんですもの。

 私が悪女を目指している事もリズさんの監視役という事も。

 そういえば、私の言動でヘンリお兄様がリズさんを苦手としたのなら、ヘンリお兄様以外にもリズさんに恋に落ちていない人はまだいるのかしら。

 デューク様は正直、まだ分からないのよね。

 私を妹的な意味で好きなのか、恋愛的な意味で好きなのか。

 前者である事を願うわ。

「ヘンリお兄様以外にリズさんを苦手としている方はいるのですか?」

「それは分からないが、皆リズの事は好きだと思うぞ」

「嫌う理由がないですものね」

「まぁ、心の中までは分からないが」

 そう言ってヘンリお兄様は天井を見上げた。

 何を考えているのかしら。

 多分、ヘンリお兄様が次に言う台詞を私は当てる事が出来ると思うわ。

「「あの少年と話がしたい」」

 ヘンリお兄様が目を見開いて私を見る。

 絶対言うと思いましたわ。

 会わせても大丈夫かしら。問題はジルが心をヘンリお兄様に開くかどうかよね。

 ヘンリお兄様ならジルと仲良くなりそうだから……会わせたくないわね。

 私、味方は別に欲しくないもの。

 ヘンリお兄様が私の悪女になる夢を手伝ってくれるなら別だけど。

「いいのか?」

 ヘンリお兄様が期待を込めた目で私を見る。

 私は小さく息を吐いた。

「いいですわ」

 ヘンリお兄様の表情がパッと明るくなった。

 私と違って何でも表情に出るのね。

 もし私と一緒にいたいのならポーカーフェイスになってもらいたいわ。

「有難う、アリ!」

 別にお礼を言われるようなことはしていないわ。 

 私がただ見てみたくなったのよね。 

 ヘンリお兄様がどうやってジルの心を開くのか。

 

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