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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「ねぇ、ジル、これを読んでどう思う?」

「彼女の頭はお花畑だという事が分かるね」

「そうよね。それにこの論題もどうかと思うけどね」

「貧困村を改善する方法……」

 私はジルの部屋で一緒にリズさんの論文を読んだ。 

 確かに成績優秀になるのが分かるような内容ではあるけど、これは絶対に実現しないわね。

 彼女は今の現状を全く知らないのね。

 この論文は赤点どころか0点ね。

 問題はどうやってこれを正しい考えに持っていくかよ。

「今日はじっちゃんの所に行くの?」

「今日は無理そうだわ。このリズさんの考え方を正しい方へ導く方法を考えないといけないもの」

「そうだね。これは相当な仕事になりそうだし」

 もう一度論文を読み直した。

 これだから本当にヒロインは苦手なのよね。

 この考えで貧困村が簡単に改善したら誰も困っていないわよ。

 論理的じゃなさすぎるわ。

 彼女はきっと性善説派なのね。人の本性は善だと考えているんだわ。

 やっぱり私と正反対だわ。

 この考え方は別に良いとしても、このやり方は稚拙すぎるわ。

「私、明日は物凄い嫌な女になるしかなさそうね」

「それしか方法はないと思うよ」

 私達はお互いに頷きあった。


 いよいよ戦いが始まるわ。

 私は気を引き締めてリズさんの元へ訪れた。

 今日はお茶会の日だから薔薇園にいるはずよね。

「この学園って贅沢し過ぎじゃない?」

 ジルが薔薇園の入り口を睨みながらそう言った。

「私もそう思うわ。学び舎にまずお茶会の日なんていらないと思うのよ」

「この薔薇を維持する費用はどのくらいなんだろうね」

「分からないわ」 

「とりあえず、入ろう」

 私とジルは並んで薔薇園の中に入った。

 今から私達はこのお茶会を台無しにするのよね。

 皆には申し訳ないけど、これは私が悪女の名を広める……、ではないわ。リズさんの考えを正しい方へ導くためなのよ。

 薔薇園に入って早速皆の視線が私達に集まる。 

「アリ」

 アルバートお兄様が私の方に寄って来た。

 ごめんなさい、お兄様。今はアルバートお兄様に構っている暇はないの。

 私はアルバートお兄様を無視して横を通り過ぎた。

 アルバートお兄様が固まっているのが分かる。

 確かに無視はいけない事だけど、しょうがないわよね。リズさんの方が優先順位が高いんだもの。

 私はリズさんの元へ真っすぐ向かった。

 リズさんの周りにはいつものメンバーが集結している。

 やっぱりヒロインは沢山のナイトに囲まれているのね。

 デューク様が私を射抜くような目で見てくる。

 そんな目で私を見るのをやめていただきたいわ。まるで私の考えを全部読まれているみたい。

「アリシアちゃ」

「リズさん、単刀直入に聞きますがこの世の皆が平等だと思っていらっしゃるの?」

 私はリズさんの声に被せるように質問した。

 

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