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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 レベッカは目を丸くした。

「え?」

 あら、私が言った事が分からなかったのかしら。

 どうしてそんなにとぼけた顔をしているの。

「救世主?」

「そうよ。話が通じて良かったわ」

「どういう事?」

「そうね、……この村の住人の声を聞きとり私に教えてほしいわ」

「それだけ?」

「そんなわけないでしょ。とりあえずそれをしてほしいの」

 レベッカは私の意図がまだ分かっていないみたいだわ。

 まぁ、彼女は賢いからそのうち分かるわよね。

 とりあえず、この場から立ち去りたいのだけど……。

 転送魔法は……、人間には使った事ないけれど大丈夫かしら。

 それも私も合わせて四人を転送するなんて、そんな事いきなり実践してもいけるのかしら。

 そもそも自分の事を転送出来るのかしら……。

 でもここから去る方法はそれしかなさそうなのよね。

 ウィルおじいさんの家に行けたとしても、ここの人達がウィルおじいさんの家に押し寄せてきたら……、あんなぼろぼろの家だもの、一瞬で潰されるわ。

 ……ここの壁の魔法を解いて、転送した後にすぐにまたウィルおじいさんの家に壁を張ったらいいんだわ。

 レベル80の転送魔法を取得していて本当に良かったわ。

 それにレベル80を取得した者の特権として二重魔法が出来るのよね。良い事だらけよ。

「アリシア、今からどうするの?」

「あら、ジル、そんな心配そうな顔をしなくて大丈夫よ。私に任せなさい」

 今の言い方まさに悪女みたいだわ!

 私に任せなさいって凄く悪女っぽいわ。素敵……。

 私は自分の言った言葉に自分で酔いしれた。

 悪女で有名な魔女の伝記を読んで身につけた言葉遣いよ。なかなか使えるわね。

「ジル、ウィルおじいさん、レベッカ、少し気持ち悪くなるけど耐えて頂戴」

 パチンッと私は指を鳴らした。壁をなくしたのと同時にウィルおじいさんの家へ自分を含めて四人を転送した。……出来たわ。ここは紛れもなくウィルおじいさんの家だもの。私、やっぱり天才?

「凄い……」

「我が家だ!」

「ほう、これは凄いの」

 三人とも茫然としながら周りを見渡す。

 その驚きの表情……、最高だわ。

 もっと褒めてくれてもいいのよ。

「あいつらどこ行ったんだ?」

「ウィルの家じゃないか?」

「行くぞ!!」

 貧困村の人々の叫び声が聞こえた。

 あら、忘れていたわ。

 パチンッ

 私は指をもう一度鳴らして、ウィルおじいさんの家の周りに壁を張った。

 これで、この家が潰される心配はないわ。

「アリシアって一体どこの……、うっ」

 私はレベッカが喋り終わる前にもう一度鳩尾に拳を入れた。

 今から大事な話をジルにしないといけないから少しの間寝ていて頂戴ね。聞かれたら困るのよ。

 このやり方が非道だって言われても、私は悪女だから仕方がないわ。

 私は前のめりに倒れてきたレベッカを抱き上げ、ウィルおじいさんのベッドに寝かせた。

 ……そういえば私、人を眠らせる魔法使えたんだったわ。

 殴って気絶させるよりこの魔法使った方が良かったんじゃ……。

 今頃思いだしても、もう手遅れね。

 ごめんね、レベッカ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 困ったら腹パンする主人公、好きしかないw
[良い点] 80個もの魔法をいちいち覚えてらんないで……今のアリシアの記憶力なら余裕では?
[良い点] すぐ腹パンしちゃうところが、おもしろいです 現実だったら引きますけど、まぁお話の中の人物ですし、腹パンかましてから眠らせる魔法を使えること思い出すとか笑ってしまいました
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