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ミアの驚いた顔に私は「そう見えるの?」と聞く。
ミアは少し考えて、言葉を選びながらゆっくりと話す。
「人の役に立ちたい、と思っているように見えるわけではなくて……。ただ、アリシア様はご自分の存在をこの世界に少しでも残しておこうとしているように見えます。意識して行動なさっているわけではないでしょうけど、アリシア様の生きざまは自然と人の心に残ります。そしてその行動が私の目には善人として映っている」
……悪女として残っていて欲しかった。
私はそう思いながら、ミアの言っていることは的を射ている。
だから、と彼女は更に言葉を付け足す。
「アリシア様がここで働くということは、アリシア様の存在がここの患者たちの人生に色濃く反映するということです。その働き方が悪いものであれ、良いものであれ、このメルビン国に爪痕を残せますよ?」
試すような言い方でミアは私を見る。
……この人、私の扱い方分かってない?
私の心を揺さぶるようなことを言ってくる。そして、私はこのミアの煽りにまんまと乗ることになるのが目に見えている。
私は、はあぁぁぁぁ、と盛大にため息をついた。
どうであれ、私はこれを運動だなんて認めない。
……けど、ここで働いて私の悪女っぷりを大いに披露するのもアリだわ。
「私は彼らに容赦しないわよ?」
私がそう言って、口の端を少し上げる。
「はい」
ミアは私の言葉にどこか嬉しそうに頷いた。