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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「なっ…………」

 ローザが私に何か言おうとしたが、言葉に詰まっている。私は続けて言葉を発した。

「素敵なおもてなしをどうもありがとう。メルビン国の品格は素晴らしいわね」

 私はここにいる全員に圧をかけながらそう言った。

 ……私にしては、珍しく腹を立てている。

 それは、メルビン国がデュルキス国に対して少しも敬意を持って接していないからだ。ここを私たちが侵略しようと思えば、簡単なもの。だけど、そんなやり方はしない。

 私は周りを制しながらも、穏やかな口調で話す。

「皆さんはもう少しはご自分の立場を考えた方が良いと思いますわ」

 少し間を置いてから、一気に女性たちは口を開き、騒がしくなる。

「貴女のほうこそ考えなさいよ!」

「勝手に来ておいて、その偉そうな態度はなに!」

「卑しい国のくせに何をほざいてるのよ……!」

 デュルキス国が卑しい国だなんて、ここでは一体どんな教育をしているのかしら。

 私はそんなことを思いながら、一度多くの声を聞くことにした。

「そもそも、どうしてデュルキス国の女がここにいるのよ! メルビン国の財、目当てなんじゃないの!?」

「この国の金銀が欲しいなんて言ってデューク様につけこんだんでしょ! あんな事件があった後に、デューク様がここを訪れるなんておかしいもの!」

「あんたなんかに宝石一つくれてやるものですか!!」

 別に宝石なんてただの石だもの。要らないわよ……。

 どんどん話が飛躍してくのを私は黙って微笑んでいた。

「全部デュルキス国のせいで険悪な関係になったのに、その高慢な態度はなんなのよ」

「そもそもデューク様がルビア様を殺したからこんなことになったのよ……。あの時、ちゃんと怒りにまかせずに解決しておけば……」

 誰かが発したその言葉に、私は思わずガンッと強く椅子を引いた。一斉にこの場は静まった。

 何を言っているのかしら、この人たちは。

 私は椅子に乗り、机の上に立ち上がった。これで、全員を見渡せる。

 行儀悪いと分かっているけれど、もう私は令嬢じゃないし、我慢の限界だわ。

 ここで爆発してはいけないけれど、四日後のパーティーまで待てない。……ごめんなさい、デューク様。けど、必ず貴族側の意見を変えるわ。

「言いたいことは言えたかしら?」

 私は近くにいた女性へと目を合わす。

「どう? 他に言いたいことは?」

 女性は私の威圧に負けたのか、口を閉ざしながらプルプルと首を横に振る。

 ……さっきまでの威勢はどこに行ったのかしら。大勢でしか威張れないなんて、本当に愚か。

 私は睨みながら、彼女からローザへと視線を向けた。

「貴女は? 何かある?」

 郷に入っては郷に従え、はもう無視よ。

 自分のことならある程度耐えることができたけれど、デューク様の名を出すなんて馬鹿ね。喧嘩の売り方を間違えたようだわ。

 私は食べ物と食器を踏まないようにローザの元へと歩いた。ここにいる全員が私に注目する。

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― 新着の感想 ―
て、テーブルの上を歩くのですねw初めて見ましたw
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