表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

659/710

659

 見慣れない天井を眺めながら、私はメルビン国に来たことを思い出した。

 昨夜のことを思い出す。私が自己紹介をした瞬間に場の空気は悪くなった。

 離宮の女性たちとトラブルが起こる前に、私はミアにこの客人用の一人部屋へと案内された。彼女からは「くれぐれも問題は起こさないでください」と念を押された。

 問題は私だって起こしたくない。今までの経験上、大体問題に巻き込まれることが多いのよね。

 それにしても、デュルキス国と言うワードだけで、ここまで嫌悪を抱かれるなんてある意味すごいと思う。だって、どう考えても、私たちがメルビン国に対して嫌悪を抱くべきじゃない? 

 デューク様のお母様が殺されて……、というかその侍女もメルビン国の王の妻なんだったっけ。

 それが未だに分からないポイントだわ。

 そういえば、昨日ミアがこの離宮には第二夫人までいると言っていた。……第三夫人がデューク様に殺されたってこと?

 う~~ん、やっぱり分からない! 折角離宮にいるのだもの、聞くのが一番よ!

 とりあえず、着替えようと私は棚に置いてあるドレスへと目を向けた。

 ……この国の衣裳だわ。私が着用したことのないタイプのドレス。

 ビーズや刺繍で煌めいているブラックのドレスを手に取り、着替えた。ちゃんと上質なものだということがすぐに分かった。

 布を切り刻まれているような嫌がらせは覚悟していたけれど、ドレスにはなんの細工もされていなかった。

 柔らかな生地が私の体を優しく包む。風に靡くととても美しいと思いながら、私は髪を櫛でとかす。

「意外と伸びてきたわね」

 私はキャロルの前でショートカットにした日を懐かしんだ。

 あの頃はまさかメルビン国へ行くなんて思いもしなかった。すっかりグローバルアリシアになっているわね。

 私は櫛を机に置き、部屋を出た。

 勝手に外を出て良いのか分からないけれど、行動しない者には何も起こらない。 

 アメリア様についてメルビン国側の意見を聞いてみたい。

 部屋を出ると、ちょうどミアが私の部屋の前に立っていた。彼女と目が合い、「あ」と私は声を出してしまう。

「何をしているのですか?」

「ちょっと、外の空気を吸いに」

「勝手に外に出るのはご遠慮下さい。ご飯は朝、昼、晩と運びますので」

 まるで牢獄ね。

 ミアは冷たい口調のまま「お部屋にお戻りください」と発した。

「散歩すらも許されないの?」

「はい。勝手に離宮を歩き回るのはやめていただきたいので」

 私は彼女の言われるままに一度部屋に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ