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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 デューク様の言葉に国王は黙り込む。

 喧嘩は一時中断ってところかしら……。にしても、この二人の軋轢をなくすのは相当至難の業ね。

「少しの間ここにいても?」

「ならぬ、と言っても国に戻るつもりはないのだろう」

「はい」

 はっきりとした口調でデューク様はそう言った。どこか諦めた様子で嫌悪を込めて国王は口を開く。

「命を狙われることになるぞ」

「それでも構いません。自分の身は自分で守りますので」

「その娘もだ」

「彼女は俺が」

「私も自分の命は自分で守れますのでご心配なく」

 デューク様の声をかき消すように私はそう言った。

「俺が守るので」

 少し不機嫌な様子でデューク様はそう言いなおす。

 結構私強いのに……。けど、この私を守れるほどの強さを持っているのはデューク様しかいないかもしれないわね。

「……部屋はミアに聞け」

「ありがとうございます」

 デューク様は丁寧に頭を下げた。

 私たちは、メルビン国王への謁見を済ませて退出した。部屋を出たのと同時に私はドッと汗をかき、心臓を抑える。

 ……めちゃくちゃ緊張したわ。少しでも無礼を働いたら死ぬって思っている中でデューク様があんなにもぶっこんでいくんだもの。

 良好な関係を築きたいって言っていたから、もっと温厚に会話するのかと思っていたわ。……あの国王相手じゃ難しいだろうけど。

 本当に私たちを殺すような勢いだった。あの殺意は国王からだけのものではない。ここにいる全員が私たちを敵対視している。

「よく頑張った。アリシアがいてくれて助かった」

 私はなんにもしていないんだけどな、と思いながら、私は笑みを浮かべた。

「アリシアがいなければ、俺はもっと攻撃的になっていたと思う」

「惚れた女の前ではできるだけ理性的でいたいとかそういう感じですか?」

「ああ、そうだ」

 私が少しふざけて言った言葉に、デューク様は爽やかに肯定した。

 まさか肯定されるとは思わなかったから、顔が熱くなる。デューク様のそういうところ、本当にせこい。

「アリシアのおかげで俺は怒りをコントロールできている」

 もしかして、私がメルビン国に呼ばれた理由って、戦争を起こさないためのストッパーみたいな役割ってこと……?

 感情的になって争いを大きくしないための私? 充分あり得るわね。

「その通りだ」

 デューク様はそう言って、優しく私の頭を撫でた。

 どうしてこの方はいつも私の心が分かるのかしら。……そんなに顔に出ている?

 私は両手で頬を挟むようにペチンッと軽く顔を叩き、気を引き締めた。出来る限り感情は表に出さないでいこう。

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