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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 私たちは無事に城の敷地内へと入ることができた。

 ……意外とバレないものなのね。

 私とデューク様は城の敷地内に入ったことを確認してすぐに荷台から飛び降りた。

 ずっとうつ伏せになった状態で、荷台に揺られていたせいか、体中が痛い。私は体を伸ばしながら、デューク様に耳打ちする。

「それで、これからどうするんですか?」

「この中に入る」

 まさに異国に来たと思わせられる立派な王宮をデューク様は指差した。初めて見るドーム屋根で壮麗な建物に私は内心興奮しながらも、私はデューク様の言葉に冷静に反応する。

「正面からですか?」

「ああ」

「……え? 本当に言ってます?」

 なんのために目立たずにここまで来たの……?

「城門で衛兵に見つかる面倒事とここに来るまでの手段を省きたかっただけだ。別に城内で捕獲されることには問題ない」

 問題ありまくりな気が……。

 デューク様が言うんだから何とかなるわよね。うん、そうよ、何も疑問を抱かない方が良い。

 デューク様はこの国の王の親族なんだから! 私はデューク様の隣で胸張っていればいいのよ!

 ……なんだか虎の威を借りる狐みたいで嫌だわ。

「正式な招待でもないのに、デュルキス国の王子が侵入したとなれば大問題になりませんか?」

 国際問題になる。……とりあえず、私はデューク様の命を自分の命に代えてでも守らねば。

「良好な関係を築くには多少荒いこともしないとな」

 表情を変えずにそんなことを言われても……。

 普段私は突っ走るタイプだけれど、デューク様がいたらストッパーになっている気がするわ。……なんだかいつもと立場が逆な気がする。

「こんな風に二人で何かをするのは初めてだな」

 確かにデューク様と二人っきりで冒険するようなことは今までに一度もない。

 なんだか改めて不思議な感じがするわ。近づいたかと思えば、離れたり、みたいなことが多かったもの。

 ようやくデューク様と二人で過ごせる時間だわ、と思うけれど、その反面、それが王宮潜入の共犯でいいのか? とも思う。

「てか、デューク様、この状況を楽しんでるでしょ」

「……よく分かったな」

「そりゃ顔を見ていれば分かりますよ」

「窮屈な王宮での仕事には随分と飽きてきていたんだ。こんな刺激的なこと楽しまない方が難しい」

 デューク様の少年のような表情を初めてみたような気がする。そんな側面もあるのかと少し嬉しくなった。

 ここにいる間はデューク様の楽しみに付き合うことにしましょ。

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