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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「それで、これからどうするんですか? というか、そもそもどうしてここに?」

 デューク様にマントを買ってもらい、二人でマントを被りながら街を歩く。

 ……最初からこうして入れば良かったわ。私としたことが警戒心がかなり欠落してたわね。……猛省だわ。

「ジルがラヴァール国に外交しに行くのと同時に、デュルキス国は鎖国的な状態から変わる。他国との関わりを重視する方針になるんだ。……だからこそ、メルビン国との関係を良好なものにしなければならない」

「今ってかなりメルビン国との関係って……」

「俺がメルビン国の王宮の侍女を殺してしまってから、最悪だな」

「ですよね……」

 デューク様は一呼吸置いた後に、また話を始めた。

「そもそも母がデュルキス国に嫁いだのも外交のためだった。メルビン国とデュルキス国は支え合っていこう、という政略結婚だ。政治利用されたとはいえ、母と父は本当に愛し合っていたが。……両親の結婚によりメルビン国との交流は少ないとはいえ、今よりはかなりあった。双方警戒した状態ではあったけど、悪いものではなかった。……そして、ある日に、母と一緒にここを訪れた」

 急にデューク様の表情が暗くなったのが分かった。

 その際ににデューク様のお母様は亡くなったのだと分かった。

 きっと、まだ幼いデューク様からしたら立ち直れないほどのショックだったはず。……というか、当時に侍女を殺したのよね? ……若すぎない? 

 私がそんなことを考えていると、また横から押し売りがやって来た。

「美味しい牛の串刺しはいかがですかい?」

 私はその匂いに思わずお腹が鳴ってしまった。スパイシーな食欲を刺激する良い匂いがする。

 ずっとライに乗って移動して、水しか飲んでいなかったから、随分とお腹が減ったのよね。

「一つくれ」

 私が串刺しを美味しそうに眺めているがバレたのか、気付けばデューク様が買ってくれていた。

 大丈夫です、と言おうと思ったが、もう既に「ほら」と私に串刺しを手渡してくれた。

「ありがとうございます」

 お腹が鳴るなんて、恥ずかし過ぎるわ。……けど、この匂いとジューシーな見た目。ああ、思わず涎が垂れてしまいそうだわ。

「召し上がれ」

 デューク様は優しく笑ってそう言ってくれた。

 私は牛肉を豪快に一口食いちぎった。その瞬間、肉のうま味が口の中で広がり私は思わず「おいひい」と口にまだ牛肉が入った状態で呟く。

「それは良かった」

 なんだかデューク様、小動物にエサを与えているような感覚で私のことを見ているような気がする。

 ……まぁ、いっか。美味しいもの食べれて幸せだもの!

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